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「やっぱり餅は餅屋じゃろ」


 おばあさんはそう言うと、ポンと手を打ちます。その足で早速最寄りの交番に向かいました。そこでは、気の良さそうなおまわりさんが1人で対応しています。


「あのぉ~」

「おや、おばあさん、どうしたの?」

「ワシ、財布を落としてしもうて……」

「そりゃあ大変だ、ちょっと待ってね」


 おまわりさんはすぐに取得物を調べてみますが、該当する財布の届出はありませんでした。後で届けてくれる人が現れるかも知れないと言う事で、必要書類に個人情報などを記入します。


「今必要だったらいくらかでも貸せるけど、どうします?」

「いや、そこまではお世話になれませんじゃ……」


 交番に財布がない事がショックで気が動転していたおばあさんは、おまわりさんの申し出を断ると交番を後にします。そうして、自力で財布を探そうと今日見て回った場所を思い出しながら歩いていくのでした。



https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894316629

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