第11話 不死身
昔から、「死ぬ」という言葉を使ってはダメだと、親から教わっていた。
でも、
意図も簡単に
「死にたい」という言葉は溢れてきた。
死にたい、けど死ぬ勇気はないし
私は長男だ。下の子にそんなことは背負わせたくないし。
しかし、分離した体と心は、意見が一致しなくなった。
12月後半、赤い服で白い髭のおじさんは、
どうやら不幸を私にさずけたようだ。
この頃から、遅刻が多くなった。
寝坊とかじゃないんだけど。
ただ、毎朝吐いては泣いての繰り返しで
なかなか外へ出れないんだ。
頑張らなきゃという心と
危険信号を発する体。
なかなか寝れない夜。
毎日みる悪夢。
嘔吐、涙、毎朝の日課。
考え事が常時、頭に居座り、
答えがでない脳内会議。
外に出ては、そこに地獄があり、
死んだような顔で、また一人の部屋に帰ってくる。
食事は段々と味がしなくなり。
睡眠不足で、頭がおかしくなりそうだった。
考え、出てくる言葉はネガティブ思考で、
毎日、生きているのに必死だった。
そんな日々が続いた。
年を越す前には、
言葉が口からでなくなっていた。
いや、正確には、
口から出す言葉が頭から出てこなくなった。
耳から入ってくる言葉は、雑音となり、
理解できなくなった。
そして、体が動かなくなった。
不死身なんて、意味はなかった。
精神の前では、そんなのは無意味だった。
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