有事




 平成19年7月



 夏休みまで後少し、沙羅達小学生の間では夏休みの宿題や、夏の地区予選、九州大会を勝ち上がった沙羅達のチームの話題で持ち切りである。



「沙羅、俊くん、全国でも頑張ってね」



 実咲があんた達なら全国でも充分行けるよとはっぱをかけ、沙羅も俊弥も本音はそれほど楽観できないもののそれに応える。



「うん、ありがとう」



「実咲ちゃんが応援してくれるなら何より心強いよ」



 皆、野球の話題で盛り上がるが、これより数分後、そんな少年少女達の顔は凍りつく事になる。



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 沙羅達の担任教師が、厳しい顔で教室のテレビを付ける。


『国防総省発表。本日未明、我が陸海空軍は、南シナ海に於いて中国共産党軍と戦闘状態に入れり。繰り返す、本日未明、我が陸海空軍は南シナ海に於いて中国共産党軍と戦闘状態に・・・・・・』



『兼ねてよりの我が国の警告を無視し続けた中国共産党政府に対し、遂に政府は宣戦布告を決意致し・・・・・・国民の皆様には何卒御迷惑をおかけするかも分かりませんが・・・・・・』



 国家緊急事態を現すチャイムが流れ、国防総省(米のそれ同様、現世大日本国に於いて陸海空軍省を統括する省)発表の報道原稿を読むアナウンサーの顔は、冷静のようでどこか複雑なものがあった。



「皆さん、見てもらった通り、戦争が始まったとの事です。もしかしたら、中国軍の空襲等があるかもしれませんので、その場合の対応を・・・・・・」



 担任が万一の場合の避難の説明等を行う中、沙羅は一人考え込む。



(中共は軍備が強化されてきつつあるとはいえ、まだ動く事はないと思ってたけど・・・こちらから動いた?いや、でも・・・・・・)



 この沙羅の予想は当たらずとも遠からずであった。

 かねてより日本政府は中国共産党への警戒を続けていたのだが、ここ数年、人民解放軍の動きがまた活発化してきており、将来的な事を考えてもいずれ何かしらの手を打たねばならないと考えていた。

 そんな時、内務省情報局に共産中国に関するある報告が上がってくる。




 "人民解放軍に核反応兵器実験の動きあり"



 そして、軍の諜報部や同盟国からも同様の情報が入り、極秘偵察等によってその情報が確信へと変わった時、日本政府は決心を固める。

 中華人民共和国に対して核兵器施設の公開を求め、それが受け入れられぬなら、国交断絶も辞さぬとの最後通牒を突きつけた。

 回答期限を迎えても結局、中国側から明確な回答は得られず、日本軍は行動を開始したのである。




 そして時系列は元に戻る。



「先生、戦争が長引く場合は学校とかどうなるんです?移動制限とかも・・・・・・」



 沙羅がまず一番に気にかかる事を担任に質問する。



「大丈夫、授業は通常通り行います。それに移動制限については国防総省の方から特に規制は設けないと発表されました」



「では最後に、空襲想定避難訓練を行います、皆さんしっかり訓練してください」



 そして、全校避難訓練を行い、この日は解散となった。

 果たして、今回の戦争の行く末は・・・・・・






























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