理由




 前回、不審な男を見つけ実咲と尾行し、その正体を突き止めた沙羅。

 その男は合衆国の黒忍者、つまり上級スパイであり、沙羅と実咲はひとまず彼を空き地に連行し、沙羅が尋問官、実咲が書記役を務め、尋問を行う。



「あなた、日系人よね?」



「ああ、日本語は自然に覚えたし、日本国籍も持ってる」



「この地域で他の黒忍者、若しくは合衆国の普通の忍者は何人いる?」



「いや、この辺では日本の忍者しか見ていない」



「そう・・・・・・まあいいわ。それで、SI情報の他に何か私に合衆国は求めてるの?」



「合衆国だけじゃない、この日本もSI情報にはない君の記憶、知識を求めてる」



「なんでかねえ」



「主に文化面での君の記憶や知識が日本も合衆国も欲しているそうだ」



 意外な答えに沙羅も実咲もキョトンと顔を見合せる。そして、そんな事だからすんなり答えてんのかと半ば呆れてしまう。



「は?文化?なんで?!」



「SI情報は主に防災や軍事面なんかの情報を知りたかったみたいだが、そっちよりもこれが重要らしい」



「ええ・・・・・・でも私の前世の文化知識なんて聞いてどうすんのよ」



「どうやらそろそろ事が起こるかも知れないからな、米日協同でプロパガンダ映画でも作りたいんだろう」



「それなら分かるけど・・・・・・なんで黒忍者なんか寄越したのよ合衆国は」



「実はその国の者がこの辺で暗躍しているらしくて、もしもの時の為の君や家族の護衛にとの事だったが・・・・・・」




 周りを取り囲む日本の忍者達を見て、なんで俺が来させられたのだと少し消沈する男。

 ともかく、敵ではなさそうという事が判明し、沙羅も安心するが、安心してばかりでもいられない。帰宅した沙羅は、すぐ様博文に電話をかける。




「博さん、今日黒忍者に会ったの・・・で、うん・・・・・・そう・・・・・・」



「ひとまず沙羅さん達に影響はないかもですが、もしもの時は僕も・・・・・・」ガチャ




 沙羅は合衆国と日本のプロパガンダへの協力を断ったものの、情勢は不穏なようで、何とか巻き込まれない事を祈るばかりであった





























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