平成18年 1月12日



 沙羅の弟となる子が、遂にこの世に産み落とされた。

 沙羅が自ら決めた弟の名前は千寿ちひろ。無事に産まれてきてくれた弟の健康長寿を願っての命名であった。

 そして沙羅は、前世では一人っ子だった事もあって千寿を溺愛するようになり、そんな姉の愛情を受け、千寿もすくすくと育っていった。



 平成19年 2月13日 夜



 1歳2ヶ月になった千寿はだんだんと言葉を覚えてきていた。

 おんぶ紐をしながら俊弥に渡すバレンタインのチョコを作る沙羅はまだ小さい弟に惚気る。



「まーま」



「まんまねえ、ばってんあんたはまだ食べれんけんね、にーににあげると」



「にーに!」



「そう、ちーちゃんもにーに好きだんねえ、ねーねもにーに大好きよ」



「にーには最近どんどんかっこよくなっちゃうのよねえ、チームの女の子達の間でもトシちゃん結構人気だし、私としては複雑ばってんね、まあ赤ちゃんにこんな話したっちゃしょんにゃーよね」



 と、千寿は沙羅の背中をトントンと叩く。



「ふふ、そうね、大丈夫よね」



 まだ乳飲み子の弟に励まされ、沙羅は顔を上げる。

 この翌日、登校時等二人きりになる時間はあるのに、わざわざ学校に着いて教室で皆の前で俊弥にバレンタインチョコを渡した沙羅。



「沙羅ちゃん、恥ずかしいよ」



「こういうのはこっそりじゃダメと」



 そう言ってにやりと笑う沙羅。赤面する俊弥と、他の生徒達。



(不安だったけど、千寿が背中押してくれた・・・・・・お姉ちゃん、もっと胸張らなきゃね)



 そう、心の中で弟の助力に感謝する沙羅であった。



























































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