第17話

 さて、いまさら言うことでもないかもしれないけど、このお話は『ボク』が語り手である。

 実は今までのすべての話に、ボクがいたりする。

 なんでだれもボクに言及しないかというと、当たり前すぎてだれもと思ってるほど、透明とうめいな人間そんざいだってことだ。

 で、ボクが何者かというと、夏緒の護衛みたいなもんだ。




「やあ、キミちょっと頼まれてくれないかい?」

 夏緒がニコニコしながら、ボクに言う。

「選択の余地はなさそうなんですが」

 なにせ、ボクは片足をロープに縛られて逆さにされているからね。

「うん、そうだね、わたしを暗殺ころそうとするやつにこんな頼みもどうかと思うけど」

と、彼女はクスクスわらいながら、こう問いかけた。

「それと逆のこと、つまりは護衛を頼みたいんだ」

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