第16話

 東の外れに住む先生が賢者に尋ねた。

「きみたちがよく言う道ってのは、どこにあるにゃ?」

「にゃいところにはにゃい」

「もっと限定わかるようにしてもらいたいにゃ」

 賢者は答えた。

「そこらへんにいる虫にあるにゃ」

「つまんねえとこにあるにゃ」

「道ばたにはえてる草にもあるにゃ」

「さらにつまらんとこにゃ」

「そこらへんに転がってる石ころにもあるにゃ」

「どんどんヒドクにゃってるにゃ」

「わたしたちが排せつしてるモノにもあるにゃ」

 東の外れに住む先生はだまってしまった。




「……とまあ、キミのにも意味があるってことさ」

 夏緒がそう言うと、生徒はホッとしたようにこう返した。

「そうかあ、これでいいんだねえ」

「いや、良くはないんだろうけどね」

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