第7話 捜索
その頃、第3分団のIたちが3人で国道を歩いて捜索していた。 この村唯一の国道で大通りである。疲れ果てながら3人がとぼとぼとトンネルに入って行く。
ここは、川を挟んで左右がトンネルになっている。その間を村で一番大きく高い橋が架かっている。この橋は国道が通る鉄筋コンクリート造りの大きく立派な橋で、左右に幅の広い歩道と頑丈な
3人がトンネルを抜け、橋の歩道に出た時に1人が言い出した。
「おい、ちょっと休もうぜ。もう歩けねぇ、そこに座って一服しようぜ!」
「そうだな、一休みしよう」
そう言って3人は歩道に座り込んだ。夜通しの捜索で疲れ切っていたのだ。 おのおの持ってきた水筒に口を付け喉を潤す。そしてタバコに火をつけて、
「しかし、あそこんちは、何であんなことになっちまったんだ? 一体何があったんだ??」
「Eちゃんはどこ行っちまったんだろう?」
「確かに変な噂は出てたけどなぁ~、なにもあんな事になるなんて・・・。びっくりしたぜ!」
「Nちゃんもそうとう荒れてたらしいけどなぁ、まさか鉄砲持ち出すなんてなぁ~!」
3人は休憩を取ってしばらく雑談をしていたが、だんだん夜も明けてきて空もうっすらと白くなり、灯りが無くても周囲が見える様になって来た頃だった。 欄干にもたれかかっていたIが橋の中央近くに目をやると、反対側の欄干に何やらひらひら舞っている。
「何だあれ??
「ほんとだ、行ってみるか?」
そう言って3人は腰を上げて歩き出した。
橋の中央辺りにまでやって来て欄干を見ると・・・。
「何だこりゃ? 白い紐に見えたけど、裏は赤だな?」
「紅白のハチマキみてぇだな~?」
「え~ッ!! もしかして、小学校の運動会で使うヤツか??」
「・・・。 そうかもな!」
そう言ってIが恐る恐る橋の下を覗き込む。
「おい、とりあえずお巡りに連絡するべぇ~!」
Iが携帯を取り出し巡査に連絡を入れる。
「もしもし、第三分団のIだけど、今、大橋にいるんだ。橋の欄干に変な物が結びつけてあるんだ。小学校の運動会で使うようなあれ、・・・ハチマキ、・・ハチマキだ! 頼むから応援に来てくれ!!」
「わかった。じゃ、すぐにそっちに向かうよ!」
そう言って巡査は警官3人と消防団員の4人でパトカーに乗り込んだ。
5分くらいしてから彼らがやって来た。 警官がハチマキを確認して橋の下を見下ろしたが良く分からない。このため人を集めて橋の下を捜索することになった。
橋の下の捜索が始まった。
警官と消防団、合わせて30人弱の男たちが周囲をくまなく探しまわっていた。
「居ない。どこにも見当たらない! ここじゃねぇのかなぁ~。 どこかに無事でいりゃ良いんだけど・・・。」
橋の下の河原は谷底で雑草だらけ、なおかつすぐに急斜面になり大木が連なっているので橋の上からでは到底見つけることはできないだろう。昼間でも薄暗い所で捜索は困難を極めた。
分団員の一人が声を上げた。
「お~い、なんだこれ~~!?」
数人が駆け寄って来て確認する。
「ゲェッ、 血みてぇだな!?」
そう言って辺りを見回すが何もない。
「こんなに暗くっちゃ~見えねえなぁ。ここはほったらかしで枝打ちもしてねえから陽の光が入らなくって見えにくいなぁ~。」
男はそう言って日光を見ようとして何気なく上を見上げた。
「ウヮぁ~~~~~~ッ!、 あ~~~、あ~~~~!!!。」
男は大声で悲鳴を上げ腰を抜かして倒れこんだ。 それを聞きつけて、みんなが集まって来た。
「あッ、・・・。」
「見るな~!!、警官に任せろ~~! みんな見るな!」
やっと、E子が見つかった。 あまりにも無残で変わり果てた姿となって。
E子の身体は背中から腹にかけて枝に突き刺さり、片手と片足はあらぬ方向にねじ曲がって、もう片方の足からは骨がむき出しになっていた。そして首は背中に折れ曲がり、髪の毛が少し削り取られて頭蓋骨が見えている。頭と顔は血だらけで、パッチリと見開いた目から少し眼球が飛び出しそうになっている。丁度、捜査員たちを覗き込むような形になっていた。
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