第16話

「それから私は、あの人を探して旅してる」


「まあ手がかりは全くつかめていないんだけどねー」


「魔導書との融合なんて」



 魔導書が作られ、誰でも魔法が扱えるようになった。それでも、そのことに満足しない人たちは多くいた。それは人それぞれ持っている魔力の核の魔力量が原因。魔力の核は身体の成長と共に成長するが、人によってその魔力量の最大値には差が生まれる。

 魔導師と呼ばれる人の中でも、小さい魔法をやっと出すことができる人もいれば、中、大魔法を軽々と扱うことができる人もいる。

 それに劣等感を抱いた魔力量が少ない魔導師の一部は、どうにかして自身の持つ魔力の核の増大させることはできないか研究が行われることに。


 その中で、生まれたのが、魔導書を人間に融合させるというもの。

 人間の魔力の核に魔導書分の核を足すことにより、魔力量を飛躍的に上げることが可能となる。

 しかし現在この研究は、多くの罪のない人間を実験のためのモルモットに使用したことが問題となり、研究を行うこと自体が中止され、行ったものは即死罪となる程の禁忌となっている。


「もしかして、私と一緒に戦った時に魔物の動きが急に鈍くなったのも……」


「まあ、私の力だねー。私の力はそっち方面に強いから。最も、私としてはそんなことよりも、もっとエロい方に使ってほしいんだけどねー」


「魔導書との融合は、どんなに魔導書の中の魔力の核と相性が良くても、魔力が暴走して内側から身体を破壊すると、研究がでています。セシルさんの場合は魔神書。魔導書なんかと危険性はは非じゃないはずです」


「最初はワタシ達もいろいろあったねー。ま、今じゃあ大の仲良しだけどね」


「違う」


 リリスの言葉に即答するセシル。


「そんなことよりセシルー、お腹すいた~。魔力欲しい~~。最近は魔物の魔力ばかりで飽きたから、偶には人間の魔力が欲しいな♪」


「魔力……魔物……人間の……」


 リリスの言葉を聞いたアシュリーは、その言葉の中にいくつか気になる部分があった。


 今の言葉と、アシュリーが最近かかわった事件。

 森で魔物から助けてくれた人が使った消滅魔法。

 リサをはじめとした、都市の女性が次々と襲われる事件。


 これらの事件が、アシュリーの頭の中で一つになろうとしている。

 

 そして、アシュリーは一つの仮説にたどり着く。



「リリスさん。この前、魔物から私を助けてくれたのって……もしかして」


「へぇ。覚えてるんだ。こんなの初めてだね」


「……街の女の人たちを襲ってたのも」


「そうだよー♪」

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