第4話生きたい
1か月後
「おはよう」と、学校の正門前で真一と、進に会う。「おはよう、真一今日は気分は?」
「ああ、まあまあ。でも学校側がいつでも早退できるようにしてくれたから、気分的に楽なんだ。でも進も香枝も俺みたいな、病人といても楽しくないでしょ。」
「こういう突っ込みやめてくれない」香枝が、睨む。
「でも、倒れた時にそばにいてくれると、便利だからな。君たちを、離さないよ」と、いって二人の間に、入って腕を肩にからませる。真一は、少しづつ私たちに打ち解けてきた。
そう進とはあの帰り道から、私たちは友達としてできるだけのことをしていこうと、いうことになった。元来、進はテニス部では後輩に面倒みがいい方である。
「おれは、いいけど。香枝は、ほとんどマネージャーみたいなもんだからな」
「・・・な、なんの話」ほら、聞いてないと、真一と進は、笑いあう。
真一が、テニス部を見学したいといいだしたのだ。
最初、乗り気でなかった進も今は、すっかり凸凹コンビである。
放課後
本当は、香枝も俺も真一が本当にグランドに来るなんて期待はしてなかった。1日授業を受けることさえ、今の彼には難題なのだから。
だから、彼の姿が見えた時、僕はとてもうれしかった。その反面、気分は悪くないか倒れないか、余計な心配をしておちつかなかった。香枝も、同じ心境だろう。
30分ぐらいは、見ててくれただろうか。時々、俺たちのどちらかに大袈裟に手を振ってくれた。
コート内では、同級生の緑子が「アンタのファンが、来たね。」と、からかう。今までにも、周りからはいいろんなことを言われてきた。
(先輩達最近、病弱そうな男子を連れてる)
(ボランティア?)心無い声が、つきささる。
(なんか、陰と陽じゃねえ)
(お前ら、先生にたのまれてるの?)真一にも、聞こえてるだろう。
(点数稼ぎ?)
そんな、耳障りな言葉に
(うるさい、うるさい、黙れ自分達は何もしないくせに。真一のことを、何も分かろうとしないくせに・・・)
押しつぶされそうになった時もあった。でも、進も香枝もお互いに励ましあって、真一と共に歩んで来た。
真一は、友達であり、時にはシャイで可愛い弟であり、同じ歳でありながら、生と死を一人孤独にずっと戦ってきた、戦士だ。
真一を知れば、知るほど進と私は彼のか弱い身体付きからは、はかりしれない。パワーや、思いやりがあることを知った。
同じ部活の緑子と、進との帰り道
「ねえ。進路そろそろ考えてる?」緑子が、不意に話しかける。
「おれは、テニスが盛んな大学に進学してしばらくテニスを続けたいなあ」進はいう。
「叔母さんがねぇ、リフレクソロジーをやってるでしょう。一緒にやらないかって誘われてる」そう、進も私も足がつったり、痛みがあった時に何十回も揉みほぐしてもらった。小柄なのに、声の大きなインパクトがある女の人。学生だし友達だからと無料にしてくれたが、さすがに3回目からは半額は払うようにはしたが。出世払いでいいのよ。どう暇なんだから。と言って受け取ってくれてない。
「私は・・・何も考えてないかも」
「香枝らしいね、でもまあ、あと半年はあるからね」「遅くねえ?香枝のことだから、どうせ安全パイの人生だろう。のらりくらり楽しみながらマイペース」「なによ。それ、誉めてないでしょ?!」
「誉める所あるのかよ。」
「まあまあまあ、私ね。香枝の面倒身がいいところと、テニスに一生懸命な所。といってもボール拾いしたり、コート整備したり、肩をもんであげたりそういう所好きだな。損得考えてない性格。」「これ、誉められてる?」私がふくれっつらで言い返すと、緑子は笑いながら香枝こそリフレクソロジーや、介護職に向いていると、提案してくれた。
進むは、「まあ。運動神経がなくても出来る裏方仕事なら、向いてるかも。」だな。と、チラッと香枝を見ながら答える。「それ、どういう意味よー。」
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