帰宅部女子高生、ゲームで遊ぶ。

ジョン

キングロードクエスト1

ピンポーン。

「はいよー」

インターホンに呼ばれ、帰宅部女子高生の江奈は玄関の戸を開けた。

「おっすー」

そこには同じく帰宅部女子高生の美子の姿があった。

「なんだあんたか、新作のゲームが届いたのかと期待したじゃないのよ」

「おいおい、何だその心底残念そうなツラは」

「帰宅部の暇人が何の用よ?」

「お前も帰宅部だろ。まあいいや、ちょっと遊び相手を探していてね」

「遊び相手? 何のよ」

「ふふふ、これさ」

そう言うと美子はカバンから何かを取り出した。

「これは……ゲームソフト?」

江奈が尋ねた。美子が取り出したのは手のひら大のゲームのソフトだった。

「一昔前の、な」

美子が得意気に言った。

「あんたこんなものどっからパクってきたのよ?」

「人聞きの悪い。ウチのおばさんからもらったんだよ」

「ああ、あの服のセンスのないゲーマーおばさんね」

「服のセンスがないは余計だろ。まあ、もらったはいいけどウチん家にはこいつを使えるゲーム機がないからな。ゲーム廃人のお前なら持ってるんじゃないかと思ってな」

「廃人って……悪いけどそんなもの持ってない」

「……」

「……と、言うとでも?」

「流石」

「まあ、いいわ。新作ゲームが届くまでの暇潰しにはなりそうだし、どうぞ上がりなさい」

「おじゃましまーす……って、やっぱり暇人なんじゃないか」

「う、うるさい!」

二人は江奈の部屋に移動した。


「うっーし、始めようぜ」

美子はテレビの前に腰を下ろした。

「ソフトを入れてっ……と。はい、起動!」

江奈がゲーム機の電源を入れた。

テレビ画面が切り替わり、スタート画面が表情された。

「ゲームタイトルは「キングロードクエスト」か。王道って感じがするな」

「感じも何も文字通りでしょ。操作はあんたに任せるわ」

「ん? いいのか?」

「私、他人がゲームしてるの見るの結構好きなのよ」

「……なるほどね。いいだろう、圧倒的な匠プレイを見せてやる」

「いや、どっちかっていうと下手な方が見てて面白いんだけど」

「だと思ったよ」

「ま、そんなことはいいから、さっさと始めなさい」

「よし、スタートボタン……オン!」

美子のその声と共にテレビ画面が暗転した。

「……ん?」

「あー、ありがちね。ソフト差しなおして」

「何だよ、出鼻くじいてくれるなよなー、もー」

美子はソフトを入れ直した。

「えーオホン、改めまして……スタートボタン入力の儀を」

「ささっと始めろ」

江奈はスタートボタンを押した。

「あっ、オイ!」

ゲームが開始した。

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