私は誰でしょう?

 どうして私だけ。

 ずっとそう思ってきた。

 どうして私だけ強く叩かれるのだろう。

 他のみんなも叩かれてはいるけど、私を叩く手にはより一層ちからがこめられている。

 みんなより大きくて目立つからなのだろうか。

 でも誤解しないでほしいのは、嫌ではないということ。むしろ強く叩かれることによって、特別扱いされているような、私という存在を確かめられているような、そんな気がする。

 叩く側にしても、私をみんなよりも少しだけ強く叩くことによって多少の快感を得て、次第にもっと軽快に叩いていくのだから、相思相愛というところだろうか。

 それでも時々、私を叩く手から怒りを感じることはあるのだけれど。

 ちなみに遠くに住んでる「Qさん」は、全然相手にされないから、私のことが羨ましいんだってさ。たまには叩いてあげてね。











【エンターキー】



<了>

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