第13話 なに見て移動したんだぁぁツ、こんなの天国のようで地獄じゃん!! 男のサガよぉ、堪忍してくれよぉ!!
どこでも魔法陣が発動し、行き先が判らない場所に、魔法陣が現れ、二人は一瞬でワープした。
「着いたよ!」
「ぽちゃん? な、何だ、ここは?」
ゆーまは、辺りの異変に気付き、水音がした足元を見遣った。
「キャァ、変態!」
バスタオルで、上半身を隠した女性が悲鳴を上げた。
「へ、変態? って、まさか、お、女風呂ぉ?」
「きゃぁ、男よ、男がいるわぁ!」
「お前ぇ、何、見て、瞬間移動したんだぁッ!」
「ゆーまが、棚に置いてた雑誌だよ。ユニも、こんな大きなお風呂入りたかったの!」
ユニが嬉しそうな感じで、に頬(ほお)に両手を置き、エヘッと、カワイイ愛嬌(あいきょう)を振りまく。
「って、女風呂日記みたのかぁっぁぁっぁ!」
そういう間にも、裸にバスタオルやら身体(からだ)を隠し、桶(おけ)やら銭湯の凶器を持った女性が闘争
本能、剥(む)き出しで、ゆーまの周りを囲んだ。もう、逃げ道はない。
ユニは、不思議そうな顔で、平然とし、口に指を咥(くわ)えて、首を傾げている。
一触即発の状況で、次の瞬間、悲劇は起こった。
BOKOSUKA!
ゆーまの周りを囲んでいた女性達が、桶やら凶器で一斉に、反撃に出た。
「ぎゃぁぁぁあぁぁぁっぁぁぁっぁッ! 天国のようで地獄だぁッ」
何人もの女性に桶やら凶器で殴られ、ボコボコにされる。
どうにかして、ゆーまは、隙を見て、女性たちの合間を潜(くぐ)り抜け、何とか入り口の方へ走り、女湯脱出に成功した。
「結局、こうなるわけね……」
ボコボコの顔で、ゆーまは、女湯の外にあったホテルの椅子(いす)に座り、叩かれて、腫(は)れた箇所を痛そうに撫でた。ユニが、心配そうに近付いてきた。
「お前といると、楽しいけど、災難ばっかりだ。あはは、おー、いてて!」
「ゴメン、ゆーま。だけど、私の国では許婚(いいなずけ)は一緒に入るものなの」
てへへと、心配そうな顔で、ゆーまを見詰め、ゆーまの傷口をユニは触り、愛嬌(あいきょう)たっぷりの笑顔で応えた。
「あはは、もういいよ、ユニは、こっちの国のこと、シンねーンだし」
「えへへ、ゆーまのそういう優しいとこ、あたし好きだよ」
「へ?」
一瞬、間が開いた。頓狂(とんきょう)な顔をする。
「ゆーま、お風呂に入ってから、帰るから、待っててネ!」
ユニは行き成り着ていた魔法服を脱ぐような素振りを見せる。
「な、生身? ま、まさか、裸になるんじゃ?」
「チェンジ!」
「わぁ、待て、ユニ!」
ピカァ!
ユニの服が、光り輝き、一瞬にして、服装が変わった。果たして、裸か否か?
ゆーまは、照れくさそうに手を前に出し、目を瞑(つむ)り、バタバタと体を動かす。女免疫ゼロだ。
「じゃーん、どう? バスタオル姿だよーん。ゆーまの好きな雑誌で見たんだ!」
「ば、バスタオル? (って、あれか。バスタオル日記みたのね……)でも、良かった。裸じゃなくて。俺、困るもん」
「あん、ゆーまったら、あたしの裸みたいんだ。素直にそういえば良いのに」
いいながら、嬉しそうな顔をユニは見せ、顔を赤らめる。
「あ、いや、そのな……」
「顔、赤くして、かわいいんだから。ユニは、別にいいよ。だって、夫婦だもん」
「ねぇ、ねっ、ユニの裸みたい? みたい?」
「いや、そういうのじゃなくて、その、あの、あれだ、ラクリに殺されるし、俺たち、許婚(いいなずけ)みたいだけど、結婚もしてないし」
ユニは、にこやかな笑顔で応え、至近距離まで胸元を近づける。ゆーまは、女免疫ゼロなのか、赤面で身体が硬直し、言葉までも硬直しかけている。
「ねぇ、ユニの姿、可愛い?」
「ハイハイ、とっても可愛いです。俺は、休憩所で、POKKARIのフルーツジュース飲んでるわ」
そういい、近くにあった自動販売機の前まで、ゆーまは、照れくさそうに椅子から立ち上がり歩いて行く。休憩所は、目と鼻の先だった。
「可愛いでしょ。じゃーね、入ってくるねぇ!」
「おん、またな」
ユニは、ゆーまの返事を聞くと、手を振りながら、女湯にバスタオルを巻いた姿で入っていった。
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