第3話 神の義姉

それから綾瀬は神成と一緒に行動することもあり、また狩野や神愛と三人で話すことはほとんど無かった。

そして、綾瀬が狩野と再び話したのはあの日から数日後のことだった。


「あ、綾瀬! ちょっといいかな? 神月のことなんだけど。 」

「……狩野様、お久し振りですわ。 どうされたんですの? 」

「実は昨日、学校に神月が来てないんだけど、綾瀬は神月を見てない? 」

「え……お見かけしてませんわ。 神奈さんとは最近お話もしておりませんが…… 」

「そっか。 ありがとう。 神月が来てないから心配になったんだ。 もし神月がいたら教えてほしい。 」


心配そうに狩野が言った。

そんな狩野を見て綾瀬は何故かずきん、と胸が痛んだが、胸の痛みは無視し、少し考えた後に提案した。


「かしこまりましたわ。 神奈さんの従兄という方を存じておりますので、その方に確認してみますね。 」

「え、この学校にいたんだ? 僕も一緒に行っていいかな? 」

「もちろんですわ。 多分今頃は中庭におられると思いますし、今から行きませんか。 」


そう言って二人で中庭に行くと、やはり神成がいた。

神成はこちらに気がつくとおーい、と手を振った。


「おー花恋さん。 それと……狩野さま、か? どうしたんだよ? 」

「……綾瀬ですわ。 あの、神愛さんをご存じないですか? ここ数日、学校に来ておられないようなのですが…… 」

「あ、神愛?神愛なら今日には退院するから、明日には学校に来るはずだよ。 」

「退院? 神月に何があったんだい?」

「んー、神愛には内緒にしてっていわれたんだけど、どーしよっかなー。 ……これは独り言なんだけど。 実は先日の狩野と綾瀬の会話を聞いてたやつがいて、そいつがその内容を綾瀬ファンの男子達に伝えたんだよねえ。 そしたらファンが狩野に怒鳴り込みに行こうとしてさあ! それを偶々見つけた神愛が止めに入ったら軽く押し退けられて転んだんだけど、運悪くその時に頭打ったから念のために検査入院してたんだよな。 」


そう言って、神成はあ、と声を上げた。


「今の、聞こえてないよな? 内緒にしてくれよ? 神愛に内緒だと言われてるんだから。 もし心配なら、今日には神愛、家にいるはずだから、お見舞い行ったらいいんじゃないか? もちろん、昨日から学校に来ないのを心配してという設定でね。 俺もたまたま今日神愛の家に行くつもりだし。 」

「もし迷惑でなければお邪魔したい。 綾瀬はどうする? 」

「もちろん、私も神愛さんのことが心配ですし、ご一緒しますわ。」

「なら今日の放課後校門前で集合しよう。 俺が二人を案内するよ。」


かくしていろいろとややこしい関係の三人が一緒に神愛の家に行くことになったのだった。

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