第4話

今の様に介護施設が充実し、世間の見方も施設に預けることが必然の様な時代と違い、一昔、ニ昔前の時代は、施設に預けるなんて、可哀想、非情ななどと言われてる時代だった。

年寄りを家で看取るのが当然。

嫁が世話するのが当然。


認知症で、夜中に徘徊する年寄りを寝ずに世話をする介護人の精神状態など誰も理解しない。


その事で家族が壊れていくことを誰一人、心を寄せる事もしない。


峰子は、今、自分が介護職に就いて改めて、自宅介護を強いられた人たちの過酷な日々に胸が痛んだ。


仕事として介護することは、良い意味で他人として客観的な介護ができる。

二十四時間、三百六十五日、心身共に休む暇のない家族の介護と違って交代制で関わることができる。

何より、報酬をもらっているのだ。

仕事として、どの様に大変な状況でも介護することは当たり前なのだ。


介護職は、これからの社会全体に大きな役割を持っていく職業だとの自負が峰子の中に生まれてきた。

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還暦介護 霧谷葉月 @hazuki82

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