第8話 偽装魔法



シータラーはキュラに化けて、城内に潜入していた。


「兵士よ、王の間はこっちか?」


「これは、キュラ様。はて、知っているのではありませんか? そこをまッ…」

 シータラーはキュラに化けて持っていた、魔法剣レイジングライアのレプリカで、


兵士の腹を無残にも抉り貫通させた。その刺された箇所からは、血が噴き出て床のブロックにドロドロと落ちていく。剣が血で赤く染まった。その返り血をシータラーは剣を振り、血を弾いた。



 見張りの兵士は一人しかいなく、叫び声をあげなかったので、城内のものに気づかれずに済んだようだった。



「場所がわかれば、お前に用はない。グヘへへ、いつみても人間の血はいい彩をしておるのぅ」


 返り血をみてシータラーはえげつない表情をし、剣を舌で啜った。


 人間の血が美味しいのか、獰悪で狡猾な面構えは加速度を増していく。


「どれ、王の間はまっすぐか。変化魔法フォーマーでうまくキュラに化けるのに成功したぞ、外見だけでは、見抜けまい。グヘへ、王と王妃を血祭りにしてくれるわ」



 そういい、シータラーは歩哨の場から城内にゆっくりと入っていった。


 一体の、悪鬼が城に潜入した。その事実に誰も気づいていなかった。


 シータラーは王の命を奪う気だ。




☆☆   ☆☆



「今のところ、我が国に魔王軍の侵攻はまだありません。ソレイユ騎士団を魔物が巣食っているのではないかという、フレアチジナ湖に向かわせました」



「うむ、しかし、王族直属の近衛騎士団がいないのはちと、苦しいのぅ。もしものことがあれば」



 シルバ王がいったそのときだった。



「シルバ王様、私たちがいるではありませんか」



 シータラーが化けた偽物のキュラが王の前に現れた。


 だが、その偽工作に、その場にいる誰もが気づかなかった。確かに、外見はキュラそっくりだったのだ。


「おお、これは大将軍キュラか。しかし、ソレイユ騎士団の指揮は大丈夫なのか」


 シルバ王が問う。キュラは不敵な笑みを見せ、話し出した。


「なにを仰います。軍法会議が済んだ後に目的地へ向かうと隊のものには伝えてありますので」



「そうか、そうであったか」



「王様に献上したく、持って上がった、リングがあります」



「おお、そうか、ちこうよれ。持ってまいれ」



「ハッ」



 歪な形をした、邪気を放つようなリングを王に渡そうと近づいたときだった。


「……(なんだ、あの影は? 耳がとがっている)」


「ま、待て、ええい!」



 王の側近と思われる人物が持っていたナイフをキュラに放った。



 それは偽キュラの顔を掠めた。



「テアフレナ、何をする?」



「シルバ王様、私がなげうって切った、ナイフの後をよくみてください。血の色が違います」



「な、なに緑色!」



ZUSAA!



「ぐはぁ!」



 もう、手遅れだった。近づいていた矢先、偽キュラは王の近くにいた戦士の風貌をした男の腹を剣で突き刺した。



 刺された男はその場に倒れ伏した。



「アザレ副将軍!」



「アザレ副将軍、気をしっかりと」



 年老いた博士のような爺さんがアザレ副将軍の体を労るように抱きかかえた。



 アザレ副将軍は口から血を吐き出していた。



「ぐは、きゅ、キュラさ…ま、なぜ?」



「ダメですじゃ、テアフレナ様」



 博士のような側近の爺さんはいう。



「(物凄い、邪気を感じる、もしや魔族?)貴様よくも、正体を見せろ!」



「聖なるリング!」



PIKAAAAA!



 テアフレナが偽キュラのほうに聖なるリングを突き出し、効果を引き出したときだった。



「な、なに我の変化魔法をかき消しただと?」



 なんと、化けていたはずのキュラの格好が、掻き消され、元のシータラーの姿に戻っていた。みな、息をのんだ。



 すぐさま、戦闘態勢のような緊迫感が生じ、身構えた。シルバ王と、王妃を取り囲むように側近たちが一歩前に出た。



 テアフレナが第一声を発した。



「やはり、魔族だったか。残念ながら邪気は隠せなかったみたいだな」



「クッ、おのれぃ、宮神官のテアフレナか。貴様さえいなければ、簡単に王など葬

れたものを」



「私がいる限り、殺させはしない」



「我は、悪魔術師シータラー様だ。フハハ、だが、イーミ姫は、もうこの世にはいない。キュラもだ」



「な、なに?」



 テアフレナの顔がその言葉を聞いた瞬間くもっていく。まさかと思ったのだ。


 だが、あのキュラが死ぬということはその場にいる誰しも、考えられなかったのだ。


「イーミ姫はベルフェゴール様のうちに封印させてもらった。永遠にでてはこれまい」



 シータラーは皮肉ったようにいう。獰悪な邪気が漂っていた。



「封印? ベ、ベルフェゴールだと?」



 シルバ王があまりの状況に、声音をあげた。王妃は、フラッと前屈みになり、意識が朦朧としている。



「高位魔族だ!」



 テアフレナの表情が一変した。魔族でも、名前が地上界に知れ渡るくらい、高位だったからだ。



「むすめが、まさか」



 シルバ王がそういったときだった。



 なにやら、けたたましい、足音が聞こえてきた。



「いたぞ、やつだ、やつが魔族だ。王様を守れー」



「後手が回ってきたか。やむを得んな。ここは撤退させてもらう。フハハ、イーミ姫を助けたければ、古城ゴルティメートまで来るのだな」



「ゴルティメートだと? 逃がすか」



 テアフレナは魔法の詠唱に取り掛かっていた。



 次の瞬間、それは発動した。



「『炎固撃(ファイヤーブリッド)!』」



 宮神官テアフレナの魔力でアレンジが施されているであろう、強力で速い、炎魔法の玉をいとも簡単にシータラーは身を翻し躱す。テアフレナが悔しそうな顔をした。



「クケケ、威勢のいいことだ。だが、そんな攻撃では我は倒せない」



 シータラーはそう言い残すと、姿を消した。



 どこかに、まだ、いるはず。透明人間になったのか。テアフレナたちが、その場を手で探るようにあちこち注意深く見遣っていく。



「くそ、逃がしたか」



「消えたといえど、四次元光の魔法ではない限り、姿を隠して近くにいるやもしれん。警備を強化しろ。非常事態だ」



「ハッ」



 シルバ王の命令を聞くと、数人の兵士だけが残り、兵士は伝達しようと、その場を去っていった。



 テアフレナが倒れていたアザレ副将軍に歩みを寄せた。



「アザレ副将軍」



 問うが、当然の如く、返事はなかった。即死状態だった。



「なんてやつだ、鎧服を貫通している」



「おそらく魔法で鍛えられていたのでしょう」



 そのときだった。シルバ王が重い口を開いた。



「テアフレナよ、あれを使え」



「『天使のわっか』をですか。しかし、魔法アイテムの金額が」



「100万ルフであろうとも、よい。予算は国家が持とう。私を守ってくれようとして、殺されたんだ。それくらいよきに計らう」



「ハっ、では、部下のものにもってこさせます」



 テアフレナは近くにいた部下に、目で合図をし、天使のわっかをもってくるように図らった



 しかし、シータラーの余韻は消えなかった。 



 まだ、近くに潜んでいるのではないかと、王と王妃はビクビクして震えていた。



 一番に殺されるのは、王族には間違いなかったからだ。




☆☆  ☆☆



 テアフレナの部下が足音をたてて、頼んでいた天使のわっかを持ってきた。



 天使のわっかは丸く、黄色い色をしていた。 



 テアフレナはそれを手に取り、アザレ副将軍のほうに近づいていく。



 側近の博士のような爺が口を開いた。



「『天使のわっか』は、成功するかどうか、確率は二分の一じゃ」



「祈るしかない。お願い」



 そういい、天使のわっかをテアフレナは寝そべっているアザレ副将軍の心臓の上に置いた。



「天よりいでし、聖なる光りのわっかよ、邪によって殺されたこのものを助けたまえ!」



 テアフレナが発動させる言葉をいうと、天使のわっかは黄金に光りだした。



 すると、心の臓の中に天使のわっかは吸い込まれていくように消えた。



「生き返るのだ、アザレ副将軍!」



PIKAAA!



 次の瞬間、アザレ副将軍の身体が光輝いた。



「ん、私は一体? ここは天国か? あのとき、私は魔族に殺されたはず」



 アザレ副将軍の目が開き、上半身を起こした。生き返ったのだ。



 皆の顔が喜色満面になる。



「成功じゃ」



「よかった、アザレ副将軍。あなたは『天使のわっか』で生き返ったのですよ」



「ほんとなのか」



「あなたの精神力が勝ったのですよ。まだ死ぬのは惜しいかただ」



 テアフレナはアザレ副将軍を褒め称えて、肩をポンと叩いた。



「シルバ王、アリスマリア王妃」



 アザレ副将軍は、近くにいたシルバ王と心配そうな顔でみつめるアリスマリア王妃をみやった。シルバ王は何か言いたそうな顔をしていた。自分を庇って死ぬ想いをさせたのだ。当然か。



「よかったぞ、アザレ、世が助かったのはそちのお陰じゃ」



 シルバ王が喜んだ顔でそういった矢先だった。



 状況は一変した。辺りに邪気が発生した。



「(『シャドウリング』影に生まれし、邪念の物の怪を復活させるのじゃ)」



 どこからか、シータラーの声が聞こえてくる。



 偽キュラが始めにもってきた歪なリングが紫色に輝きだした。



 あのリングは、偽キュラが落として、部屋の隅のほうに転げていたのだ。



 『シャドウリング』から、影が複数飛び出した。一体、これは?



「な、なに? 影から、モンスターだと? そんなバカな」



 なんと一瞬のうちの剣のような敵と、武器を持った黒いオークのような敵が現れて、動いた。



「この声はどこから聞こえる?」



 テアフレナは警戒し、身構えた。



 しかし、邪気と影がシャドウリングから発生した後では遅かった。



「ぐはぁ」「がはぁ」「ぐあぁ」



 一瞬のうちの影が地面を這い、オークと剣のようなモンスターが兵士をひとり残し、皆殺しにしていた。



 もう、息のある兵士はいない。残されたのは、テアフレナと爺とアザレ副将軍、

それにシルバ王、アリスマリア王妃だけだった。



「おのれぃ、シータラーめ」



 アザレ副将軍が兵士の無残な姿を見て、憤った。



「(シャドウオーク、シャドウブレイダーよ、シルバ王を仕留めよ)」



 シータラーの声だ。またどこからともなく聞こえてきた。



 この命に影の物の怪たちは士気をあげて、雄叫びをあげた。



 テアフレナがあることに気づいた。



「あのリングよ、あのリングを通じて魔力を作用させてるのよ」



「ふんぬぅ!」


 アザレ副将軍は持っていた剣でリングを叩き割った。



「(ふはは、壊したところでもう遅いわ。物の怪は現れておる)」



「(フハハ、皆殺しにしろ)」



 シャドウリングのかけらが作用して、シータラーの声が聞こえてきた。これが最後の言葉になり、シャドウリングは壊れて、輝きを失った。アイテムとしての力を消失したのだ。



 だが、リングが壊れても、物の怪は消えなかった。



「ぐはぁ」



 最後の一人だった、兵士も無残に殺された。一薙ぎだった。



 シャドウオークが斬ると、シャドウブレイダーが追って、追撃し、止めをさされていた。



 テアフレナは、庇うこともできず、辛そうな顔をし、殺される瞬間、目を逸らした。



 シャドウオークがシルバ王たちに近づいてくる。



「クケケ、兵士はもういないぞ。皆殺しだ」



「あとは、お前たちだけだ」



 そういい、シャドウオークは武器についた血を舌で啜った。



「く、くそ、こんなときにキュラ様がいてくだされば」



 アザレは剣を構え身構えた。どうにかして、王と王妃は守りたかったのだ。



 守るように王と王妃の前に立ちはだかった。



「シルバ王さま、アリスマリア王妃、テアフレナとともに、逃げてください。私が盾になります」



 そうアザレはいうと、テアフレナに目利きし、合図を送った。



「テアフレナいけ、いくのだ」



「アザレ』



 テアフレナが王たちと逃げようとしたそのときだった。



 シャドウオークがアザレに切りかかってきた。



「ほざけぇ」



「ぐ、ぐっぐ(なんて重い攻撃だ)」



 アザレは、シャドウオークの強力な斬撃を剣でどうにか受け止めた。



 だが、シャドウオークの斬る力は人間が斬る力よりも何倍も強かった。



 当然、受け止めるだけで、精一杯だったのだ。



「ほう、受け止めたな。だが、ひとりでは、無謀だな」



「なんのぉ」



 アザレは素早く反撃に出た。



 しかし、相手は強い上に、数が多かった。



 さすが剣達者のアザレでも歩が合わなかった。



「しねやぁ」



 そのときだった。



「おらぁ」



DOSUU!



 アザレ副将軍に斬りかかったオークを誰かが、血祭りにしていた。一体、誰が。



 この場にはアザレたち以外に守るものはいなかった。



 シャドウオークは後ろを振り返った。



「な、なにもの?」



「へっ、ちょうどいい、お前らの汚いやり方は気に入らなかったんでな、俺が地獄の川へ送ってやるよ」



 ファイだ。ファイが、剣の段平を裏返して剣の切っ先をオークにかざした。



「お前は、ソレイユ騎士団の」



「アザレ副将軍さま覚えてくれてたみたいだな。俺はファイ。騎士だ」



 そのときだった。後ろから闘志に漲る鎧とマントを着た女性が現れ、声音をあげた。



「テアフレナよく守った。王様もう大丈夫です。キュラです」


「おお、キュラか。本物か?」



「シータラーめ、やはり、私に化けていたのか。死にかけの兵士に一部始終きいたとおりだ」



 キュラの顔つきは、いつにも増して、鋭かった。


 自分の部下、殺されたものの気持ちも募り、悔しみに満ちていたのだろう。



 キュラの怒りは、頂点に達していた。剣を裏返し、戦闘態勢に入った。



「ファイ、ここは任せろ。私の名をかたり、王の命を狙うとは、ふとどきものめ。私は怒ったぞ」



 次の瞬間、キュラは怒涛の如く動いた。



「ゆるさん!」



 凄まじいスピードでシャドウオークのほうへ駆けていく。



「『魔法剣ライジングザンバー!』」


DOOOON!



「ぐはぁ」「ぐぎゃぁ」



 なんと、瞬きする一瞬のうちに雷光の稲光とともに、雷属性の魔法剣でシャドウ

オークを一匹残らず、斬殺していた。



 勝負は一瞬だった。



「す、すごい、一瞬であの怪力のオークをみんな殺すなんて」



「なんて速さだ」



 テアフレナとアザレは感心しきっていた。



 シャドウオークの血で床が赤色に染まっていく。



キュラは剣にかかった血を飛ばした。



テアフレナの近くにいた博士のような爺が言葉を紡いだ。



「さすがキュラ様。天才魔法騎士の異名は伊達ではありませんな」



 そのときだった。



「あ、あぶないキュラ様」



 アザレからはキュラの後ろから、シャドウブレイダーが襲い掛かってくるのはみえていた。



 レイティスとオネイロスもやっとのことで到着し、キュラが襲われるところを目の当たりにした。



 助けようとしたが、オネイロスたちには距離があった。



 キュラが後ろを振り向いた瞬間、間合いはなく、シャドウブレイダーが襲い掛かってきた。



 このままでは、斬殺される。



「(しまった、やられる)」



「ええい、間に合え」



 ファイがどうにか助けようと、左手の紋章を光らせた。炎の光りで左手が立ち込めた。



「『炎拳(フレアナックル)!』」



ZUDWOOON!



ファイは猛スピードで動き、シャドウブレイダーがキュラを斬る瞬間に自身の左手の拳でシャドウブレイダーの刀身を叩き、遠くに殴り飛ばした。



炎の力が付加され、叩いた瞬間に、炎が満ち溢れた。シャドウブレイダーの刀身がファイの炎拳(フレアナックル)で一部が燃え落ちた。



可也の熱量だ。軽い刀剣なら焼き切ることができるのか。


 キュラは、自身を助けてくれたことに喜びを感じていた。



「すまないな、ファイ」



「へへ、間に合ってよかったぜ」



「ファイ、やるぅ」



 近くに、ニミュエもいた。ニミュエは両手を上にあげて、ファイの周りを飛び跳ねるように背中の羽で舞った。



「シータラーめ、妙な術を使うな」



 キュラはそういうと一呼吸おいた。



「恐らく、私を封じ込めたときに襲ってきた、シャドウディーパーと同じような原理なのだろう」



 キュラは額の汗を拭って、身構えた。



「あぁ、気を付けないとな、後は任せておけ。俺が一人で片付ける」



 ファイはそういうと、シャドウブレイダー三体に向かって駆け出した。炎の拳が唸る。



「いくぞ、シャドウブレイダー!」



 右手と左手に、炎の闘気(ラスタ)が漲る。



 次の瞬間、それはシャドウブレイダーを叩きのめした。



「てやぁ」



「ぐがぎゃ、ぎゃぎゃが」



 シャドウブレイダーの刀身にヒットした。シャドウブレイダーがフレアナックルの熱量で溶けて、跡形もなくなっていく。シャドウブレイダーも剣筋を一閃させ、反撃してきたが、軽くファイは受け流した。



 相手の数が多くても、それ以上のスピードで攻撃を上手く躱していた。



「へ、鋭い矛先も、当たらなきゃ、どうにもならないぜ」



 ファイがそういってジャンプした時には、もうシャドウブレイダーは一体しか残っていなかった。この短時間で四体いたのを三体、三途の川に送っていた。



「あと、一体! 炎拳(フレアナックル)」



「ぐがあぁ」



 ファイの拳が見事にジャンプしていた状態から、落下し刀身にぶち当てて、叩きのめした。力の反動で壁際にシャドウブレイダーはすっ飛んだ。



 弾けて、当たった瞬間、いとも簡単に粉々にひび割れ倒すのに成功した。


 剣も当たれば、致命傷になる。しかし、当たらなければ、どうとしたこともない敵だったのだ。



 キュラがファイの動向を様子み、感心したような顔つきをしていた。



「ほう、魔剣士というだけあって、流石だな、褒美を取らすぞ」



「へ、キュラ様、俺は当然のことをしたまでだ。褒美なんていらねーぜ」



「そうか、なら、水魔竜戦の功績を称えて、突撃長に昇進するように話を進めてやるぞ」



「と、突撃長? うそだろ?」



 ファイが、困った顔をした。まさか、配属されたばかりで、役職がつくとは思わ

なかったのだ。ファイは、へへと笑った。



「ハハ、お前にピッタリの役職だな」


「うるせー、レイティス」


後ろからレイティスが、ちょっかいを出してきた。ファイは不貞腐れた顔で言い返すと、踵を返した。



シルバ王とアリスマリア王妃も、ファイのこの力に感心していた。もちろん、戦いぶりをみても勇ましさを与えていた。








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