第21話 技能+※

今日も今日とてデブリ回収を終えたフリッケフライ号は宇宙の片隅の片隅を漂っていた。

宇宙港を停泊すればその分のお金がかかり、おまけに宇宙船は大きいとそれだけ場所を取る。フリッケフライ号の場合はトラクタシャトル以外は追加で付けただけのモノだがいちいちそれらを売ったり買ったりするのも面倒な上。更に組み直す必要が有るのだ。

艦橋内でリッカが密かに持ち込んだゲーム機で交代して遊んでいた、

どんなゲームなのかと言うと変形するバイクに乗って他の車等にぶつからず制限時間まで走りきると言うモノ、

そのゲームの成績はと言うと、

制作したリッカが10回やって10ゴール、

コニは3回ぶつかり7回ゴール、

アイネは4回ぶつかり3回時間切れゴールは2回、

セラは6回ぶつかり時間切れ4回、

カイアは出来ないのでやらないがリボートはマニュピレータの調整がまだなので出来ないと言うか壊れる。

「船長はこう言うのは下手っぴデスね~」

「ムチャ言わないで下さいよ大体このゲーム、プログラミングしたのはリッカではないですか」

「私は反射神経がいるものよりもチェスの方が性に合うな」

「そりゃセラがそれだけ下手くそなのはそんだけやって無いからじゃなんか?」

「あっ!また傷付きました!何ですか下手くそだなんて!!」

「まっセラ君が20式に振り回されたのは資質が有っても技能が其処まで伴って無いからな」

これはどういう事か、

雪山に埋もれ不法投棄されたジャンクを広い集めた時の事。

同じ20式でもコニの機体はバーニアを駆使して問題無く着地出来たが、同じ事をセラでやると着地した瞬間、

雪で数tする機体が沈み脚を取られそのまま転倒した。

作業用デバイスは元々の経緯から腕を脚の代用には出来るが転倒前に其が出来無かった。

「無理言わないで下さいよ、其処まで頭回りませんし機転が効きません」

「船長だから言い訳出来るか!船長だから口答え出来るのか?」

「うむ、私も其処は賛同出来よう。何せ作業用デバイス教習所は基礎しか教えてくれないからな」

同じ艦橋内にいるカイアはこの光景を美談に見えてそうで、

この数日間時間を見つけては作業用デバイスの応用の練習をさせられた。

基礎の訓練は思ったより簡単だったが応用と成るととんでも無く大変だった、

それからは...

20式か転倒しそうに成っても両腕で咄嗟に支えたりは出来る様にはなって来た。

フリッケフライ号の艦橋内にて、

アイネが幾つかの記録映像を見て言った「この数日間のセラの作業用デバイスの操作技能だが...」

回りが息を飲む、

「何と現在のコニに匹敵する位には成って来たぞ」

「現在って何だ!現在ってオレは今も現役バリバリだろうが」

コニがそう言い張っているがドラス人の平均寿命の点から言うと銀河連邦軍所属時が最盛期と言えた、この頃のコニの実力と今のセラとの差は雲泥の差と言えた。

ドラス人の平均寿命は大体30~40とされた過酷な環境の上に筋肉の総負荷等の点からとの事らどうやらそうなってしまった様だ、

コニが退役した時の年齢が28歳と考えると納得出来なくもない。

「宇宙空間での軌道も二人共同じ位でしたからこれは正解と言えやす」

リッカがそうセラを評した。

後日。

今度は砂漠で破棄された砂上戦艦の回収に向かった。2機の20式は砂上や水上での移動用にホバーが装備されてる。フリッケフライ号をわざわざ砂漠の上に着地出来ないので後からリッカの運転する牽引用トレーラーが到着するとの事、

目当ての砂上戦艦の近くに到着した。

ここでホバーを切って砂の上に着地するのだが、

コニの乗る20式は普通に着地出来たが、

セラの乗る20式は着地と同時に前のめりに成りまた転倒しそうに成った。

『接地圧が安定して無いぞオートバランサーに頼るな手動で整えろ!』

通信機越しでコニがアドバイスしたがセラは懸命にしたにも関わらず転倒した。

リッカ達の乗る牽引用トレーラーが到着した時。

「うわっ!何でそうなっちゃたのデス」

セラの乗る20式が転倒してた、しかも自力では起こせないとの事、

やむ無くリッカは牽引用トレーラーのクレーンのワイヤーで20式を巻き付けて牽引して起こした。

乗っていたセラを出した際に皆に色々言われた、

「砂漠のど真ん中で熱中症に成ってません~?」

「全く君は砂とか泥とか柔らかい地面が駄目なのか?」

「転倒して傷着いたら一体誰が直すんでしたが」

「転ぶの かっこ 良くない」

此れには心が折れそうに成った。

もしも次がありそうだったらあの時見たレースデバイスの猿真似をしてみようと思ってた。

end

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