第3話 生まれ〇
フリッケフライ号はデブリを沢山積んで其所から最寄りの貿易ステーションまで航行している最中の事、
この艦にも少々不便な点があって一つがオートパイロットが扱い難いとの事、具体的にはどういう事かと言うと、
艦を航行してそのコースを記憶してもらいその後そのまま記憶した通りに沿って進むのだが一度記憶するとあくまで『記憶した』通りに進む為、なにかしらの理由で変更が起きると機能しなくなる為。手動に頼らないといけないのである。
貿易ステーションは惑星の衛星軌道上に回る様に飛行している為、その通りに進んでしまうと惑星のあった場所に漂う事に成る。その為いちいち手動でやらないといけない事、指定した場所への誘導装置が有ればだが、矢張此れも何かしらの理由で機能しなかったり位置が変わると其所へ進んでしまうのである。
船長席に座り操舵管を確り握ったセラは視界を前方に見つつ隣に座ってるコニに質問をした。
「コニさんは何処かの産まれ何ですか?」
「何だよ藪から棒に」
「この前何処生まれかって聴かれたじゃないですか、それにこの船をガラクタ呼ばわりされたし」
「ううっ...分かったなら言う前に聞くけど」
「何です?」
「どんなにアレでも決して差別しないのか?」
「しませんが」
「なら良かった、実はなオレ、クローンなんだ」
「えっ!」
「コニの種族ドラス人は発見された時は出産可能な女性が僅か5人しかいなくて5人中3人が晩婚で子も産めないからクローンを実行したのだよ」
「なんも言わないのか...なあ何にも言わないのか?」
「ええ。言いません」
「なら良かった」
コニは安堵の表情を浮かべた、
だがここでセラはある疑問を感じた。
「でも何でクローンが実行されたんでしょうか?アレは確か禁止に成ってた筈じゃ?」
「銀河連邦加盟推進機構エクサスが行ったそうだ」
アイネはその疑問を答えた、
「そーだよな、彼奴ら禁止に成ってる事も出来るんだよな。その上分離独立をしたり加盟しない奴らを容赦無く叩くんだぜ」
コニの愚痴にアイネは溜め息の含みが混じった言い分で。
「まぁ...私の方も違う意味で差別出来ないがな」
「...どういう事です?」
アイネの言い分にセラは疑問を感じた、
「私の故郷の惑星シルヴァランドはもう一つの惑星テセレアと互いがワルツの様な軌道を描いて回る惑星なのは知ってるな?」
「それは知ってます、確かあの二つの惑星だけは往来がしやすかったですし」
「...アンガルシア家の執事はその二つの星の種族のハーフなんだ」
「ええっ!!ガルサー社の社長の側に居た人が!!」
セラは以前デブリと成ったガルサー社の製品のコンピューターを回収して貿易ステーションで売り払おうとした時。
その時その場に居た女の人がそのコンピューターを倍の値段で買い取った、その傍らに居た男の人の事だ水色の髪の目の色で一度物珍しかったがデブリを全部売り払った後、補給を済ませて直ぐ出発した為顔はあまり覚えて無かった、
「そーいやハーフも狩られるんだっけ?」
「狩られるは失礼だよコニ」
コニの軽はずみは言葉にアイネは釘を指した。
「そのお陰で彼女はしなければならない選択をしたのだから」
その後暫しの沈黙に包まれた、
その暫しが終わった。
「航行ルートにデブリを発見」
「金属物ばかりですね...此れは古戦場から流れたモノですね」
「よっしゃー!行って来るか!」
各自仕事に取りかかった、
数時間後、
「いやーもっと積めたな」
「はい。此れなら今月の二人の給料も二割増しに出来そうです」
「それは良かった」
フリッケフライ号はロケットブースターを噴射した、貿易ステーションとは確実に遠く成ってるので数分程加速してブースターの噴射を止めた、
数分が経過して貿易ステーションが在る惑星が見えた。更に噴射してそのまま向かった。
end
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