死んだのは誰?

かしまからこ

第1話

ある女の子が交差点で信号待ちをしていると、向かいの道路に男の子がやってきて、同じように信号待ちをしています。

車の走行が途切れる間から少しだけ見える男の子には、なぜか見覚えがありました。


信号が青に変わりました。


二人は道の両側から歩いて行きました。

近づくにつれ、さらに会ったことがあるような気がします。

男の子の方も女の子をじっと見つめているようでした。


顔がはっきり見えるところまでくると、女の子はゾッとしました。


男の子は無表情で自分をにらんでいるのです。

それと同時に彼が誰か思い出しました。


四年前、保育園で仲の良かった男の子です。

その時、確か交通事故で亡くなったはずの。


一気に鳥肌が立ち、女の子は本能的にあの男の子に近づいてはいけないと思いました。

しかし、気付いた時にはもう遅く、目の前に男の子がいました。


「僕はずっとこの日を待っていたんだよ」


そう言って笑うと、固まって動けない女の子の手を握りました。


信号が点滅し始めました。

二人は道路の真ん中で突っ立っています。


赤になってしまう、女の子が心の中で呟いた瞬間、トラックが二人に突っ込んできました。


道路が一面、血で染まりました。




「だから言ってるじゃん、俺は確かによく見ないで青になったからって飛び出したけど、子供は2人いたんだよ、女の子と男の子が!!」


「そんなはずはありません。女の子の死体なんて出ていません。男の子だけです」


「嘘だ!女の子もいたはずだ!」




四年前に死んでいたのは女の子の方でした。

それを理解できず、ずっと人間界を彷徨っていたのです。


そして今日、男の子は女の子の姿を見て自分も死ぬんだと悟り、女の子の手を繋いだのです。


2人はとても仲良しで、男の子は女の子のことをとても好きでしたから、いつか女の子が迎えに来る、とわかっていたのでした。




「絶対2人いた…、だって手を繋いで、……笑ってたから」



終わり

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死んだのは誰? かしまからこ @karako

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