嘘だろ

ここに居るだけでイケメン達がイチャつき出す、何それエロい!男と男の恋、ちょっと危険な恋は同性同士だから。躊躇いともどかしさ、それすらもスパイスになり加熱する禁断の思い


鼻血でそう。


あぁ、でも1対1の恋もオールオーケーだけど。でもね、私、3pとか普通に萌えるし。なんなら奪い合いも主食レベル。白ご飯と妄想で食事が進む。


唯一、地雷なのは自分が恋愛対象になる事。だがしかし、BL本は勿論の事、主役は男。感情移入はあまりなく、どちらかというと見守っているような、そんな心情。モブ?通行人?いやいや、その立ち位置、最強じゃないか


なんならそこらに咲いてる草でも電柱でもいい


『私、ここの住人になったの?』


《うん!あ、でもね?ちゃんと帰れるのっ》


え、いやいやいやいや、待って、帰りたくない。

ここBL世界なんでしょ?私、モブなんでしょ?つまり生でパープル世界が拝めるんでしょ?


え?帰る意味が分かんない、え?



《ナノのお願いを聞いて欲しいの、そしたら元いた世界に帰れるよぉ》


『お願い‥‥?』


それは私なんかが叶えられるものなのか。だって普通の25才でただの社会人。因みに職業は介護福祉士。国家試験に高校の時受かって、気付けば初めて就職したとこにずっとい続けている。


何気、よく馬鹿にされる職業。底辺の仕事だと見られがちなのは、場所によって資格がなくても働ける施設があるから。皆が皆、そうではないが良く聞く意見ではガラが悪いとか、態度が悪いとか。様々な理由で見下されてしまう。


私もその内の1人、


今の職場で声を殺して何度も何度も泣いた。もし私に願いを叶える力があるのなら‥‥どんなにいい事だろう。諦めた夢も、その力があれば––––


うんん、違う、そんなの無いものねだりだ


《ここはユズさまが貴女に送る世界、ナノとユズさまが願うのはただ1つ。この世界をうんっと楽しんで》


『–––––‥‥たのし、む?』


《そう!楽しい時間を貴女に捧げるわ》



でも聞いて?楽しい事ばかりが、この世界じゃない

だから貴女はここで過ごす1日1日を、青春を、謳歌してね


と、ナノがやわらかい笑顔で告げた。


『ねぇナノちゃん、』


《ナノ、って呼び捨てで良いわよ相棒》


『ありがとう、ありがとう“ナノ” でもね、』


25才の私が青春生活を送るって、どうなの?

お肌も10代に比べてプルプルじゃないのよ、

自慢できないけど、20代になったらプルプルというよりカサカサになる一歩手前


誰だよハタチ過ぎたらニギビじゃなくてふきでものだよ、なんて言った奴は。


頑張ってサバ読んでも19才までなら許されそうだが、それ以上は訴えられるぞ絶対


まぁ、多分、日本にいらっしゃる20代の皆さんは私より若々しいだろうけれども、しかしながら残念な事に召喚されたのは私なわけで


頑張ってサバ読んで19才の私が果たして、青春を謳歌できるのか。ついでにもって言わせてもらうと、ナノはまだ説明してくれてはいないが、その青春を謳歌する場所って––––––




《さぁ、今、貴女が目の前にしている“ここ”が青春の1ページだよぉ。がんばってね!》


風に誘われ、ゆれるスカート。チェックの柄は、学生気分を呼び起こす。可愛く結ばれたリボンに、紺色の上着、胸元には校章が‥‥って、嘘だろ


いや、ここに来た時、私は気づいていた。


自身が纏う–––––‥‥制服に。

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