第3話 魔王様とレベル
なるほどレベル検査水晶か。我の城にも同じものがあったな。
まあ、魔王城の水晶は四角だったのだが。
さて、俺の実力はいかほどか,と言いたいところだが俺は今弱体化している。
以前、俺のレベルが97だった。このレベルは当時、世界で最も高かった。
それどころかここ半世紀で最も高かったといわれている。
それ故に史上初のレベル100に到達するのではないかと言われていた。
ちなみに人類の今までの最高到達レベルは99。
今から300年目エルフの男が到達したといわれている。
だが、今の我は二回も死んだ影響で水晶玉で測らずとも、
分かるほど弱体化していた。
「ではまず私から行きます。」
そう言ってシエルが水晶に手をかざした。
うむ、秘書と言えどシエルの実力は我のお墨付きだ。
四天王や八将軍に及ばずともそれに次ぐ実力はあるはずだ。
八将軍のレベルが70後半ぐらいから80前半だった。
シエルだったら60ぐらいありそうなものだが結果はいかに。
しばらく手をかざしていると、数字が表れゆっくりと動き出した。
次々と数字が大きくなっていく、40、55、60、65、
おいおい、そんな強いのかシエルは。
そして70丁度で数字の動きは止まった。
「はい、アリシエルちゃ......シエルさんのレベル70にゃ」
なんでこの受付、本当の名前知ってるんだろう。まあそれは置いといて
シエルが強いのが分かった。今の魔王軍に戻れば八将軍になれるのではないだろうか。
さて当然、我はこのレベルを超えなくてはいけない。
まあいくら弱体化してるとはいえ70ぐらいはいけるだろ。多分絶対いけるはずだ。
「まあ見せてやろう我の実力を!!」
我が手をかざすと数字が動き出す!!
だが、60辺りから明らかに数字の動きが遅い。
──そして69で止まった。
「では、レベル69.......」
「まだだ!!!!!」
我はこんなところであきらめるのか? 違う
──我は史上最強の魔人族にして人類最強の男、魔王アバドンだ!!!!!
「いけえええええええ我の限界を見せてみろ!!! うおおおおおおおぉぉぉぉ!!」
「あの~魔力をそんな流し込んでもレベルは変わらにゃいんだけど
それに魔力を流しすぎると水晶が割れちゃうにゃ」
だから何だ、分からんではないか
するとゆっくりだが数字が動き出した。
そしてついにレベルは70を指した。だが、ダメだ超えなくては!!
「うううううううおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ああ!! 水晶壊れちゃうにゃあああああ!!やめろにゃあああ」
受付の静止を振り切り魔力を流し続けた。
そしてレベル71まで到達したところで止まった。
「どうだ!! みたか我が実力を」
「お、おめでとうにゃレベル71にゃ」
「あっ」
シエルがそう言って水晶を指さしたので見てみると
水晶に徐々に亀裂が走っる。─そしてついには水晶は真っ二つに割れた。
「.......」
「........」
「...........すまん」
「いいですニャ」
「そうか! ありがとう」
「ハイこれあげるにゃ」
そう言って受付の人が一枚の紙を俺に手渡した。
なになに『弁償金10000G也 納付期限は30日以内』
「なんだこれは」
「弁償ですにゃ」
「え~っとシエル『
うちの『円』に直すとどのくらいなんだ?」
「100万円あたりでしょうか」
「.......30日は厳しいではないか」
「まあ厳しいです」
「はい、冒険者バッチお二人にあげるニャ。実績がないから『鉛等級』という一番下の
等級だけどお二人はレベルが高いから実績があればすぐに上に上がれるニャ頑張ってにゃ」
「は.......」
「冒険者活動は明日からできるから頑張ってくださいニャ、あとはギルドのルールなんだけど」
俺はそのあとの説明は全く頭に入らなかった。
まさか無一文から負債持ちに転落するなんて夢に思ってなかった。
◇
「魔王様 魔王様」
「あっうん」
「お兄様呼びもいいですけど、やっぱり魔王様の方がしっくりきますね」
「お、うん」
我はボケえ~としていた魔王だのなんだの呼んでいるが我は生返事しかできない。
金、この世は金なのか。
「魔王様、今日の宿なのですけど」
そうか、もうそんな時間か。気づいたら辺りはすっかり暗くなっていた。
というか街灯の光すらないような?
あれここは?辺りを見回すと草原だった。ここはシエルに腹パンを食らった場所ではないか。
「なぜここにいるのだ?」
「なぜって寝るためですよ」
「寝るってここに建物はないぞ」
「ない方がいいじゃないですか野宿するのですから」
「野宿?」
「はい」
ああ、そうだ我は国外に追い出されたんだった。
その上、今は借金持ちだ。当然宿賃も払えない
今更実感がわいてきた。あの魔王城で生活を思い出すと泣けてくる。
「はぁ」
「ほら、魔王様ここにちょうどいい縦穴があるんです」
シエルに案内されてみてみると、深さ1m程で二人ぐらいなら入れそう穴があった。
こんな穴が我の寝床なのか、これじゃ幼少期と同じじゃないか。もう二度とこんな生活は
しないと思ったのに。
我たちは二人で穴に入った。流石に横になって寝れるほど広くないので足を抱えて寝ることにした。
疲れているのか我はすぐに眠りについた。我は眠る瞬間思い出していた、幼少期の夢を
それは「億万長者になって何不自由なく暮らすこと」だった。
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