4-7
颯は、「さっきはいいって言ったじゃないですか」
と嫌味を言ってやろうかとも思ったが、ミイナの声を聞いたら助けに行かないといけないと思う気持ちの方が勝った。
すぐに向かおうとするが、ブリザードのせいと、颯自身それなりの距離を歩いてきていたためかバイクに戻るのにも時間がかかってしまった。
「すいません、今バイクに戻りました、今から向かいます」
「慌てなくていいから」
ロープをたどりながら颯はミイナのもとを目指す。ミイナもそれなりの距離を進んでいるのかまだたどり着かない。
「多分もうすぐだと思います」
「慌てなくていいから」
さっきと同じ言葉がミイナからは返ってきた。
さらに進むとやっとその視界にミイナの姿をとらえることができた。
「そっちはどうだった?」
颯の姿を見かけるなりミイナが声をかけてきた。
「多分いなかったと思いますが、それより何でよんだんですか?」
嬉しさもあり、ついぶっきらぼうな言い方になってしまう。
「ごめんなさい」
ミイナが頭を下げながらそう言ってきた。
「さっきは心配であんな言い方になってしまったの」
「いえ、こっちも声を荒げてしまってすいませんでした」
颯もそれに合わせて頭を下げる。
「でもやっぱり一人だとこの視界では見れる範囲が狭くって。一緒についてきてくれますか?」
そうやって不安そうに見つめられるとやっぱり弱いのである。もともとそのつもりで来たのだから結果としては良かったのであるが。
「あっち側は何かあった?」
「いえ、それらしき人はいなかったと思います。そもそもどんな感じなんですか?」
「うーん私もあんまり知らないんだよね、夫婦で挑戦したことは分かっているんだけど」
どうやらミイナもあまりよくは知らないらしい。200年も前のことである。写真などもないし、文献なども数えるほどしかないのだろう。そもそも歴史的にはレヴィンから人が来たのはそれより後の時代の話である。ミイナといえども知らないことの方が多いのだろう。
「じゃあ颯君はあっち側を探して」
「はい」
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