4-1

 まだ暗い朝の6時過ぎのいつもの公園。今日は特段に寒いと予報で言われており、ルイミに行くにはいい日だろう。というか、寒さの底かもしれないので、このシーズン最後のチャンスかもしれないと思うくらいには寒かった。

颯がつくと入口にはもうすっかり見慣れた白いバイクがあった。だが、前の方に白いシールドがついていたり、他にも少し形が変わっているようだった。

 池と公園の境目の階段にミイナは座っていた。服装はいつもの白いコートではなくいかにも冬山に行くといったような黒のダウンジャケットだった。白い服の印象が強いミイナだったので、少し新鮮に感じた。対する颯も同じような服装で中にはもちろん以前の店で買ったインナーを着こんでいる。

 ミイナは振り向いて颯の姿を見つけると、

 「早かったね」

 と声をかけてきた。

 「ミイナさんもいつも通り早いですね」

 そう言いながら、ミイナが座っている隣に腰掛ける。肩が触れ合う距離だと変な感じなので一人分くらいの隙間を開ける。

 ミイナが立ち上がって山の奥にあるであろう白い壁を指さす。

 「これからあそこに行きます、ってまだ見えないか」

 なぜか、誇らしげに言うミイナもやはり少し興奮しているのかその言葉はいつもより弾んで聞こえた。

 「見つかるといいですね」

 颯は素直に思ったことを言う。

 「うん、きっと見つかるよ、ううん、見つけるの」

 真剣な表情で首元のネックレスの先についた青い宝石を握りしめながら、覚悟を口にする。

 颯も口にはしないが心の中でルイミの方向に向かって祈る。

 「じゃあ、行こうか」

 ミイナは公園の入り口に向かっていく。颯もついていく。

 「この一週間、改造していたんですか?」

 「そうなの、レヴィンに戻って妹にも手伝ってもらってね」

 以前もそうだったが妹の話になるとより嬉しそうになる。その絆は姉妹でレヴィンとルイミに分かれた200年前と同じということなのかと颯は思った。

 そして、ミイナはさらっと言ったが、この短期間でルイミ用に改造ができる設備があるのにも驚くしそのためにレヴィンまで気軽に帰れるというのが、やはり王族の血を引いている人間だということを改めて意識させられる。

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