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ミイナに顔を上げられて、初めて少しゆっくりとミイナの顔を見ることができた。大きい瞳に長いまつげ、スッと通った鼻筋、そして口元のにこやかな笑み。それがこの美女を構成する主なパーツだった。
そして、この前会った時には気が付かなかったがミイナがネックレスをしているのも分かった。だが、見えたのはチェーンの部分だけであり、何かがついているであろう部分はコートに隠れて見えなかった。
真っ赤になった颯と無理やり目を合わせながら
「一緒に、ルイミ山に行くんだから緊張してちゃだめだよ」
その言葉に颯は、はい、とだけ答えるのが精いっぱいだった。
ミイナがその答えで満足したのかは分からないが、颯の顔から両手を離すと、
「分かれば、よろしい」
と、少し大仰な様子で頷きながら言った。
先ほど突然恥ずかしいことをされたためかようやく颯はミイナの顔を見て話すことができるようになった。
「それで今日は何をするんですか?」
「もちろんトレーニングよ」
トレーニングと言われてもいまいちイメージがわかない。
「どんなことをするんですか?」
「うーん、まずは走ろっか」
颯はミイナのその言葉を聞いて、ミイナは実は今日の内容をあまり考えておらず走るというのも今考えたことなのではないかと思った。大体ルイミにはあの先日乗せてもらったバイクで行くはずであるので走ったりする必要はないはずである。
走ることと何の関係があるのかとも思ったが口には出さない。
だが、視線には出ていたらしく、ミイナは慌てたように、
「今、思いついたわけではないぞ、筋肉は熱を貯めることができるからこの特訓がまずは最初なんだ」
と、少し早口で言った。
筋肉が熱を蓄えることができるかの真意はともかく、今思いついたことには違いないとその様子を見て颯の考えは確信へと変わった。
その後、公園の周りを何周かミイナについていく形で走ったのだが、受験を言い訳にして運動不足気味の感がある颯に対して、ミイナは息が荒くなることもなく、本に載っているお手本のようなフォームで走り続けた。
その後姿を必死に追いかけ颯も揺れる上体を必死に前に進めた。
走り終わった後は、腹筋をした。
順番に足を押さえてやっていくのであるが、ミイナの上体があがってくる時は必然的に距離が近くなるので、やはり緊張をした。
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