第76話 AIに囲まれた世界~サファイア様の野望
『そうねぇ…確かに、人工的に夢を叶えているけど…私は神ではないわぁ。でもねぇ…前世の夢を叶えるのは必要だと思うのよぉ。もちろん、この世界には寿命があるわぁ。例えば、チューリップと人間のDNAが結合しても寿命をコントロールする事は私にも出来ないわぁ。せいぜい生きられて10年よぉ。人間の寿命を越える事が出来るのは亀と人間のDNAを結合した亀人間ぐらいな者よぉ。』
『その真実を伝えなくてよいのですか?』
『なら聞くけど…あなたはその真実を知ったら幸せだと感じますか?後悔しませんか?』
『そりゃ後悔はするとは思うけど…』
『そうですよねぇ?きっと後悔をすると思うわぁ。でもねぇ、次は人間になりたいと感じるのでは?』
『えぇ?もしかして…』
『そうよぉ。どんなに苦しくても辛くても、悲しくても、裏切られても、探せばきっと幸せになる事が出来るのは人間だけなのよぉ。弱肉強食の世界が必要だと感じるけどそれを遮断した世界でのリスクを知る事はこの世界を満喫している人達には必要なのよぉ。』
『ちょっと、ちょっと、悪魔じゃないですか?』
『そうですよぉ。人間にしてあげた方が良いでしょ?』
『なら聞くわぁ。彼女は『殺し合いをする人間になりたくない』と言ったわぁ…あなたは人間にした方が良いと思うかしら?』
『仮に人間にしたら…きっと自ら命を無駄にするわぁ。精神を病んで自殺をするのが自然の流れではないかしら?』
『確かになぁ…遠回りでも気付かせるのは必要なのかも知れないなぁ。』
『もしかして…あの平和な世界にも…』
『そうねぇ…弱肉強食の世界を考えているわぁ。自然の原理だからやむを得ないわぁ。』
『止めましょうよぉ。』
『それが出来るのは『神』だけですけど…』
『はい、はい、呼びました?『神』ですよぉ。』
『ちょっと、ちょっと、あなたは『神』じゃないでしょ?』
『おいおい、寂しいなぁ…』
『こんな世界にしておいて何が『神』だよぉ。』
『今頃になって現れて!ふざけているのぉ!』
『ちょっと待って下さいよぉ。確かに、UFOに乗って恐怖の巨大な大魔王として姿を現しましたけど…これも人間との契約でしたけど…。国境をなくす為に、最新技術や情報を提供して欲しいと言われまして、命と引き換えにしてねぇ…。私も最初は『命』何ていらないって…言いましたけど…それでも、しつこく言われて仕方がなく。』
『本当に納得したのですか?』
『そりゃ納得させたのはフリーメイソンやロシアなどの闇の組織ですけど…宗教法人などにも拡張されましたけど…』
『最終的には中途半端になったじゃないですか…』
『いやいや、それを言われるのは違うけどなぁ…人間にはその為の手段や方法は与えたけどそれをまとめるカリスマ的な存在が命と引き換えに混乱させたじゃないですか…大塚首相という神に近いカリスマを…。』
『えぇ!そうだったのですか?知らなかったなぁ。』
『本来なら大塚首相とサファイア様がタッグになって国境をなくすと思ったさぁ。でもねぇ…羅針盤をなくしたら争いを始めてしまってなぁ。止める事が出来なくなってサファイア様にはDNAの採取をする事だけを頼む事になったけどなぁ…。でもなぁ…愚かな人間の野望を見たらサファイア様も眠りについた訳なんだなぁ。』
『そうだったのですか?』
『そうねぇ…確かにそのとおりよぉ。』
『ところで、先程見た植物の他には動物なども同じように人間とのDNAによって過ごしている人もいるのですか?』
『そうねぇ…。いるわよぉ…犬人間、猫人間、牛男、鮪男、孔雀女などなどねぇ…』
『そうなんだぁ…。でも、強い想いがあるからですよねぇ…?』
『そうよぉ。見に行きます?』
『いえいえ、植物園だけでなんとなく解ったように感じます。』
『私も大丈夫です。お互いに知らない事も必要ですから…』
『そうですねぇ。知らない方が幸せな事もありますからねぇ?』
『ところで、人間としてもう1度過ごしたいと感じている人はどうするのですか?』
『もちろん、元に戻すけど…今の植物や動物達が人間との融合を終えた後になるかなぁ…。』
『という事は?』
『これから、時間を速めるわぁ。もちろん、本人達は時間を速めた事には気付かないわぁ。さり気なく、AIを組込んでいるから時間の感覚は変える事は可能なのよぉ。』
『そう何ですか…不思議ですねぇ?』
『そろそろ、砂漠になっている外の世界を人間の住めるようにしなきゃなぁ…』
『どうやってですか?』
『ちょっと、鉛筆とか持っていない?』
『あぁ、ありますよぉ。これどうぞ?』
『あぁ、有難う。この鉛筆に木だった頃の記憶と足と手を付けますねぇ?』
『どうなるのですか?』
『見ていてねぇ?この鉛筆をダストから外に投げますねぇ?』
『えぇ!急に走り出しましたけど…大丈夫ですか?』
『うぅ…気持ちが悪い。ウゲぇ、ゲホゲホ…』
『えぇ?急に吐き出しましたけど…』
『そりゃそうよぉ。元は木でしょ?鉛筆の芯は邪魔物でしょ?芯を吐いたのよぉ。』
『あぁ…なるほど…。次は何をするのですか?』
『見ていてねぇ?』
『えぇ?砂漠に穴を掘り出しましたけど…』
『見ていてねぇ?』
『どんどん、穴が大きくなって来ていますけど…』
『止めないで良いのですか?かれこれ4時間以上穴を掘っていますけど…』
『良いから、見ていて…そろそろかしら?』
『えぇ!水ですか?水ですよねぇ?』
『そうよぉ。昔は木だったから昔の記憶が水の場所を解るのよぉ。』
『なるほど…水を出す為に、鉛筆を使ったのですねぇ…。』
『そうよぉ。』
『すごいですねぇ…。小さな池が出来ましたねぇ?』
『でしょ?今は生きる為に、小さな池を作ったけど…後、数ヶ月もしたら、たくさんの池を作って繋げるわぁ。気付いた時には大きな木になっているわぁ。』
『でも、知能を持った鉛筆は元の木に戻るのですか?』
『大丈夫よぉ。最終的には昔の記憶は消えて、気付いたら、手は枝になり足は根っこになっているから。』
『なるほど…。もしかして?』
『そうよぉ。地球を元の姿に戻すのよぉ。』
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