第69話 AIに囲まれた世界~こんな事があったとは…

『それじゃ、手分けして取り掛かろう。』 

『あぁ、もしもし、社会福祉士ですが…民生委員から…ガチャ。』

『はい、そうなんですけど…結構です。同情するなら金をくれ!ガチャ。』

『もしもし、えぇ、そうなんですか…いえいえ、なるほど…。ガチャ。』

『いやぁ、参ったなぁ。この時代は生活困窮者でもなかなか寄り付かないのかぁ…。』

『ですねぇ。生活困窮者はすぐに生活保護とはいかないですねぇ?昔は政府もあてにはならなかったみたいですし、バブルがはじけて大変だと思いますよぉ。リストがあっても、情報が古いし顧客リストはすでに闇金に回っていますからねぇ。確か、当時はサラ金や闇金が流行っていたから、生活保護になるぐらいなら金貸しで現金を作った方が良い風潮があったとは聞いていますからねぇ?』

『そうなんだぁ…。とはいえ、返金出来るのかぁ?』

『出来ないわよぉ。闇金に借りたらすぐに顧客リストは次の闇金に回るし、あの手この手で契約する流れよぉ。それから自転車操業で支払いは滞り、職場には嫌がらせで解雇され、次の職場が見つかっても催促の電話は頻繁になり、居留守つかっても、嫌がらせのビラや落書きなどを配られたり、しまいには毎日のように取り立てに来るでしょ…それに、運よく外に出ても張り込んでいる取り立て屋に捕まれば女性は監禁されて強姦の上にシャブヅケにされて沈められて最後は東京湾コースかヤクザの愛人になるかなぁ…。男性はもっとシドいはよぉ。たいていは風俗のキャッチしてキャバクラを経てソープという流れをしてドラッグの売人を経てヤクザになるか?青木ヶ原樹海コースねぇ…。あぁ、こわぁ!想像するだけで嫌だわぁ。』

『何とか出来ないのですか…?』

『そうねぇ…夜の高層ビル群がある公園周辺に行けば自殺志願者やホームレスになった人やお金がなくて悩んでいる人がいるわぁ。たいていは服装で解るわぁ。身なりがキチンとしている人は金を借りるか迷っていて、挙動不審はサラ金から追われているでしょ…それから、大きい荷物を背負っていればホームレスのビギナーでしょ…。朝から酒を飲んでたむろしていればスーパーホームレスだなぁ。でもねぇ、サラ金業者、風俗勧誘などもいるから気をつけないとねぇ?』

『何処で解るのですか?』

『簡単よぉ。歩き方よぉ。サラ金業者は座ってジロジロ、さり気なく道を尋ねる。景気の話などしてきたらサラ金ねぇ…。風俗勧誘はたいてい3人ねぇ…1人はさえないオタクなような服装で『秋葉原は何処ですか…』と尋ねる。すると、たいていは気持ち悪いと言って逃げるけど…逆に、しっかりと受け答えしたり、スキンシップしながら教えたら、絡み役が現れてちょっかいを出してくる。するとイケメンが助けに入る。『この出逢いも何かのに縁ですねぇ?』と言いながら素敵な喫茶店があるからと誘い、自然の流れで気付いたら服を脱がされて強姦されてシャブヅケの上に風俗にいるなぁ。最悪のパターンは動画を取られてアダルト女優にされてヤクザに全額持っていかれて最後は東京湾にダイブかなぁ?』

『すごいですねぇ…何処で知ったのですか?』

『そんなの東京や横浜では常識よぉ。たいていは田舎者がひっかかるのよぉ。新宿や渋谷などは田舎者の憧れでしょ?1度は行きたくなるみたいだけど…何が良いのか?他には色々な詐欺があるから気をつけないとねぇ?』

『なるほど…参考になります。』

『ほらぁ、ボサッとしないで行ってきてねぇ?二人とも新人じゃないでしょ?社会福祉士持っていてもお金にならない障害者の相談はしなくて良いからねぇ…。出来れば弱っている高齢者を探して施設に入れるかぁ。又は生活保護を受給するような人よぉ。』

『はい、解りました。では、行ってきます。』

『ちょっと、先輩最低ですよねぇ?本当に困っている人よりもお金になる人って…』

『しょうがないよぉ。この時代は措置制度だからなぁ。社会福祉士とは言ってもあくまでも、施設や病院や役所との癒着があるからなぁ。入れたらお金が入る仕組みだからねぇ…。コモンズという施設がこの当時はCMやる程人気があったから社会福祉法人は入りやすかったみたいらしいけどねぇ。聞いた話では介護度が低い人しかいなかったから遠足や旅行なども行っていて、半公務員だったから良かったと聞いた事があるなぁ。』

『そうなんだぁ…この時代の施設はまさに天国だったのかもなぁ。』

『そんな事はないよぉ。寧ろ地獄だったと思うぞぉ…利用者には説明と同意がないから、突然、風呂になったり、バイタルチェックも介護職の判断だったり、予算を抑えて人件費に当てたり、自分達が好きな場所に行っていたりと好き放題だと聞いているなぁ。もちろん、真実は解らないけどなぁ…。それに介護保険がなかったから金持ちは優遇されて外出も自由だったり、施設の運営に関しても口を出す利用者も至りと大変だったとか…』

『なるほど…介護保険制度になってからは少しはマシになったのかなぁ…』

『どうかなぁ…寧ろ締めつけがあったりと大変になったと思うけどなぁ…。』

『とりあえず、行ってみるかなぁ。』

『そうですねぇ…』

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