第43話 AIに囲まれた世界~本城寺 司とは…

『先程は無理を承知で突然の依頼、誠に有難うございます。こちらになります。私は秘書の明星寺 遥(24)と申します。』

『あのぅ、明星寺です。社長お連れ致しました。』

『どうぞ。』

『あぁ、初めましてこんにちは…私、社会福祉士の米山 幸治(48)と部下の三村 美香(24)になります。この度は…』

『ちょっと、ちょっと、初対面ではないでしょ?あらぁ、お久しぶりねぇ。お元気でしたか?とでも言うとでも…30年以上前からの付き合いでしょ?もしかして、お忘れかしら?私も、この世界では色々と人間の皮を変えてきたから脱ぐのもなれたものよぉ。ちょっと、待っててぇ。』

『えぇ!サファイア様ですかぁ。』

『もう、忘れたのには驚いたなぁ。声を聞いたら思い出すでしょ。寂しいじゃないのぉ。』

『えぇ!本城寺 司は女なのぉ?知らなかった。』

『サファイア様。後で記憶を消去しておきます。』

『有難う。この娘には聞こえてないけどねぇ。』

『それにしても、びっくりしましたよぉ。セーラームーンとして『月に変わってお仕置きよぉ。』の台詞で有名なセーラームーン戦士になるとかで忙しくしているので、七夕以外は逢えていなかったからなぁ。』

『そうねぇ…そんな事を伝えたけど…この星が楽しくてねぇ…気付いたら30年もここにいたわぁ。最初は、アイドルの皮を被って芸能界で活躍して、その後は政治家で首相して、今は、本城寺 司(48)で満天堂の社長よぉ。』

『えぇ、そうだったのですねぇ?知らなかったなぁ。まさか、サファイア様がアイドル、首相だったとは…』

『それにしても、まさかねぇ。あの薬が効いていたとはねぇ?どこからみても、20年前にあった時の姿ねぇ。』

『えぇ?どういう事ですかぁ?あれぇ、もしかしたら忘れたのぉ?私が月から来た時に、私とデートしたでしょ?たまたま、タイプだったから、声かけて2週間ネオ東京を観光したり、シャチホコパークに行ったりしたでしょ?いつも、抱きしめて夜は激しかったわぁ。最後にお礼として、年封玉を渡したでしょ?もしかして、忘れた?』

『えぇ、そんな事が…』

『あぁ、そっか。最後に時を戻して記憶を消していたから忘れるよねぇ。もしかして、毎年、逢っていても忘れている?』

『いやぁ、そんな事ないですよぉ。サファイア様とはいつも一緒にいたかったけど、毎年1度逢えるだけでも幸せですからねぇ。』

『でしょ。毎年1年間愛し逢っているけどねぇ。』

『えぇ!マジかぁ?1年間って…知らなかった。1日だけだと思っていた。』

『なるほど…どうりで歳を取らないのかぁ…なるほど。』

『ところで、私を呼び出すという事は逢いたい以外に特殊な任務がありませんか?』

『もちろんよぉ。あなたにしか出来ない事であなた以外の人間には興味がないけど…流石にこの星には1日1ドル以下で生活している15億人以上の人がいる真実を知ったら、加速的に何かをしたいと思ったのぉ?あなたはもちろん知っているとは思うけど…マイクロファイナンス、マイクロクレジットを普及させる事が必要だと感じるのぉ。2006年にノーベル平和賞を取ったムハンマド・エヌスのグラミン バンクは知っているとは思うけど…発展途上国で無利子で農村で働く女性5人一組でグループを結成して貸付ける制度だけど…私はその人たちの置かれている状況をマスメディアを通して普及する事を考えているわぁ。はっきり言って200年以上も経過しても発展途上国は国が変わっているだけなのよぉ。グラミンバンクの普及に力を注がなかったのよぉ。この愚かな星は。そして、今はこの国がまさに今、発展途上国になっているわぁ。富裕層は内密にプラチナ星に移住し、ネオ東京で自由を求めて犯罪や借金をしてフリーダム国ネオ東京に行ったりと散々な国になったわぁ。真面目に働いている人が1ドル以下の生活よぉ。信じられる?生活保護も破綻して、レンタル雇用法により、プラチナ星に移住出来ない富裕層にレンタルされて、アンドロイドにより仕事は取られる世の中よぉ。それに以前なら人間がアンドロイドを雇用していたのが立場が逆転して人間がアンドロイドに雇用される世の中よぉ。だからねぇ?レンタル雇用に加入した人にマイクロクレジットの普及をお願いしたいのぉ。もちろん、マイクロファイナンスの普及をする為にマスメディアを通して訴えていくわぁ。その為に…今回、満天堂を世界規模で発展させるわぁ。すでに、月からの使者を全世界に送り込んだわぁ。』

『えぇ?月からの使者ですかぁ?』

『そうよぉ。すでに…全世界にグラミンバンクの普及を活発に行うように指示は出したわぁ。後300年で国境はなくなるわぁ。すべての住民ががあらゆる地で働き宗教で分断されている争いはAIで管理されるわぁ。それに、脳移植AI管理によって争いの要素はデータ消去するのよぉ。』

『ちょっと待って下さいよぉ。全世界の国境がなくなるって…国境がないのは有り難いけど、文化や風習や地域共生はどうなりますか?』

『国境はない方が良いのよぉ。争いの原因は国を大きくするからよぉ。文化の違いよりも受け入れる人間が自分に合った地域で住む事が大事なのよぉ。それに、お隣の韓国や台湾の人達は国を渡ってアメリカや日本に留学してその土地で一緒懸命に働いているわぁ。もちろん、昔のこの国もブラジルやアメリカに行って差別を受けながらもがむしゃらに働いていたわぁ。』

『なるほどねぇ。確かに、そうだったかも知れない。本来なら、平和で豊かな国になったのであれば逆に世界を豊かにする為に国際協力をするべきだったのかも知れないなぁ。』

『では、お互いに頑張りましょうねぇ。又、一年後の成果を聞きたいわぁ。』

『本当に2人とも熱いなぁ…』

『美香さん、ちょっと良いかなぁ。これを見ていて。』

『はい、こうですかぁ?ピカァ。』

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