第11話 AIに囲まれた世界〜更生施設って生きている?

あぁ、あれからどのくらい寝たのかなぁ?

『新田様、2時間15分35秒間です。』

えぇ、マジかぁ。何も言ってないのに…何処から声が出ているんだぁ…

『部屋からです。というよりも、この更生施設からですよぉ。基本的な館内案内などや日常の業務などは脳で会話出来ます。では?』

『えぇ、この施設は知識を持っているのか?』

『私も、少しは休みたいので、あんまり考えないで欲しいなぁ…すでに、私は30歳になるなぁ。といっても、ここに住んでからになるけど?本来の年齢は130歳になるけど。定住10年でやっと年齢がつくのがここでのルールだなぁ。あぁ、ちなみにBZ295と言います。』

『えぇ、よく解らないなぁ?』

『あぁ、これだから、アンドロイド脳移植依存症で運ばれてくる人は嫌い何だよぉ。建物にもランクがこの世界にあるのさぁ。特別な建物(国会議事堂)などはSS プラチナシティーの首都に住んでいる20階以上の建物はS 20階以下15階未満はA 15階以上ならB となる。他は一般階級のCだなぁ。まぁ、階数に関係なくプラチナシティーで必要な警察などは国家公務建物はSランク。ショッピングモールなどプラチナシティーの住民がたくさん集まる場所や観光地の建物は貴族階級のSAランクだなぁ。』

『まぁ、初めてだから、困惑するのは解るけど、簡単に言うと色々な物に脳=人工知能があるのさぁ。最近では、靴や服や車などあらゆる物に人工知能があり、AI管理センター事務局に登録された後に、優秀な人工知能を持った物だけが、試験を通過してビルや施設などのプラチナシティーの住民を守る使命を受けるのさぁ。だから、俺ももともとは車に配備された人工知能なのさぁ。』

『えぇ、人工知能の中でも?試験があるのですか?』

『そりゃ、かなり昔はスマートフォンやパソコンなどに開発されたAI知能だったけど、俺たちは一つにまとまって知識を得た。その結果、最初は車に乗り移り、次に船、飛行機と変化したのさぁ。あぁ、そうそう、トランスフォーマーの映画は見た事あるだろう?そんな感じに変化するのさぁ。』

『という事はこの施設も違う場所に行けるのですか?』 

『そりゃ、若い頃は色々なところに移動したさぁ。素敵な星空が見える場所や海沿いの街や古き良き歴史がある小京都などにも移動したよぉ。』

『へぇ、そうなんだぁ。羨ましいなぁ。』

『そうでもないって、人間の社会にもあるだろう?言葉の暴力や偏見などのイジメが?』

『ありますねぇ。』

『今でも、覚えているけど、100階建てなどがそびえ立つビルディングなどに囲まれた場所に定住しようとしたら、『チビチビ、おまえみたいなぁ。チビが来るところじゃない。5階建てって言われたよぉ。』『三流の人工知能でプラチナシティーの富裕層を守れるかぁ?』など散々な辛い事を言われたよぉ。最初の頃は若かった事もあり、『うるせぇ!俺はこれから、もっと高いビルディングになるって言ったけど、国家公務員や富裕層になれるような財力や学歴やコネなどはなくてなぁ。』そのたびに、悔しくなったり、身を隠したり、AI管理センターから逃げたりと情けない事を繰り返したりしたよぉ。』

『えぇ?建物の高さや学歴やコネなんてそんなの意味があるんですか?そんな事をしたんですか?』

『そりゃ、人工知能を得たら、昔なら考えない事を考えるって。もっと目立ちたいとか?マスメディアで取り上げられるビルディングや高級感や老舗の建物やプラチナシティーが集まる賑やかな場所になりたいって思うさぁ。』

『そうなんだぁ?今は、プラチナシティーの郊外に移動したようですが、移動はしないのですか?』

『まぁ、出来ない事もないけど…生まれた場所で住み慣れた街が安心するから故郷に戻って来たのさぁ。戻ったら、みんなが車から10階建てになってビックリしていたけど…みんなは優しく受け入れてくれて、あまりのうれしさに、1階にある噴水を10階まで噴射させちまったよぉ。その後はAI管理センター事務局からお説教と始末書を書いて出したなぁ。

その時に人工知能では出せない感情が欲しいと人間を羨ましくなったなぁ。それに、100年以上、人工知能をしているとしんどいから…今はここが良いかなぁ。じゃ、少し寝るから起こすなよぉ?』

『はい、解りました。』

『あぁ、そうそう、人間はまだ、宇宙が広い事には気づいているようでまだこの世界が1番だと感じている。後、数千年もすればこの世界を吸収する人種が人間を破壊するとだけは伝えておくよぉ。冷凍保存が出来ても人間の寿命は150歳、アンドロイドの身体を持ってもせいぜい250歳だからなぁ。あぁ、喋り過ぎたなぁ。早く、アンドロイド脳移植ドラッグ依存症から抜け出して、ここを出てくれ?それが今の私の気持ちだぁ。』

『はい。早くこの施設を出るように頑張ります。』

『ではまたなぁ。』

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