第10話 AIに囲まれた世界〜更生施設では
新田 悟はアンドロイドドラッグ依存症更生施設に収容された。
しかし、更生施設とはいえ、プラチナシティーの住民を更生する施設には看護師を始め、医師などもセンターシティーから派遣されている優秀な人財であり、美貌も知識も完璧に近いものであった。
センターシティーにおいては、難関の試験に合格した中で選抜されCAS (センターシティー宇宙ステーション)で過酷な訓練を受けた後に派遣されるのであった。
しかし、現実はセンターシティーの住民にはプラチナシティーでは自由はなく、常にAIの管理により、感情をコントロールされていた。
その一方でプラチナシティーのアンドロイド依存症が回復に近づくと五感を取り戻し、肉体関係を求めるようになる為に、プラチナシティーからセンターシティーに闇ルートでレンタル売買業者に連絡を入れ、一時的に性欲を満たす為だけに風俗嬢が派遣されるのであった。
その大半は子供の虐待などで、DVをした女性で、子供を富裕層にレンタルした人やショッピング依存症やアルコール依存症などさまざまな女性であった。
しかし、プラチナシティーのアンドロイド依存症が回復すると風俗嬢を派遣した自分を責めて、プラチナシティーの住民であった誇りがある為に性交渉をする人はいなかった。
というのも、CZ999Aから始まる番号が右手にバーコードが刻印されていたからである。
その番号はセンターシティーのCZから始まる番号は犯罪者、又は予備軍の為、次はフリーダムシティーに行く事が決まっているからであった。
つまり、性交渉をした段階でセンターシティーから派遣された女性はフリーダムシティーに行く事が決まってしまうからである。
しかし、プラチナシティーの住民だけはその番号の意味を知っているが、センターシティーの住民は知らない事実であり、その事実を仮にセンターシティーの住民に伝えた段階でプラチナシティーの住民はセンターシティーの住民になるという事になる。
過去に、一度だけ、その事実を伝えて、センターシティーの住民となり、結婚した話が伝説として残っているが…本当の事は今でも解らない。
では、話を戻そう…
『初めまして、こんにちは。私は、ネオ東京センターシティーより、派遣されました。看護師のCA243です。宜しくお願い致します。』
『自己紹介は後にして、それより、アンドロイド脳移植ドラッグをくれないかぁ?』
『申し訳ございません。出来かねます。』
『私はそれが欲しいんだぁ。センターシティーから派遣されたら、言う事を聞けよぉ!お金が欲しいから来ているんだろ?違うのかぁ?』
『痛ぁ、それはないですって、止めて下さい。』
『よろしい。私達が派遣しただけのある、優秀な看護師で良かったです。』
『はぁ、SA243なめているのかぁ?誰もいないのに?誰と喋っているんだぁ?返事も出来ないのかぁ?』
『なんだぁ、これは?読めって?何なに、監視カメラで監視されており、AIにより感情を管理されており、感情を制御されている。』
『なるほどなぁ。ごめんなぁ。悪かったなぁ。それなら、五感ウォーターをくれないかぁ?』
『…』
『えぇ、出来ないって。口を聞けないのかぁ?』
『…』
『あぁ、解ったよぉ。』
『ありがとう。』
『口を聞けるじゃないかぁ?』
『…』
『なるほどなぁ。更生に必要でない事は喋ってはいけないのかぁ?』
『…』
『解ったよぉ。』
『ありがとう。』
『あぁ、綺麗な看護師なのになぁ…寂しいなぁ。』
『…』
『笑ってるなぁ?まぁ、顔の表情は制御されていなくて良かったよぉ。』
『ありがとう。では、また明日。』
『食事、19時、地下の食堂。』
『あぁ、解ったよぉ。行ってみるよぉ。』
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