第6話  AIに囲まれた世界〜本当の事実…

『もう、離してよぉ…。どうせ、私なんて…最初から好きで生んだんじゃないのよぉ…。どうせなら、死ねば良かったよぉ。家族から見捨てられるとは思わなかったよぉ。もう…いやぁ!』

『ごめんねぇ。でも、母親と離れなければ…最悪な結末を送っていたんだぁ。AI管理センターで100年分の蓄積されたデータを元に私達は今回、動いていたんです。今のままだと無理心中又はDVや虐待をやるのが100%と出てしまった。それに、母子家庭の現状は年収200万円以下でダブルワークをしているのは事実で、なおかつ、正社員でダブルワークは基本的にはタブーされていたが、100年前から政府が容認するようになった。しかし、正社員になっても、パートに力を注いで、正社員であっても、パートの感覚が抜けずに働くようになってしまっている。つまり、責任を取りたくない集団が生まれてしまった。本来なら、正社員がしっかりと教える立場の人間が少なくなってしまった。残業を頼めば…すぐに、『業務外です。予定がありますとすぐに退社してしまう。』。次のパートがあるからだけど…。それで、挙げ句の果てには、給料が安いと言ってくる。だから、母子家庭の採用は必然的に辞めて、東南アジアなどの優秀な人材を採用するようになった。その為、これからは母子家庭の締め付けはより一層、厳しくなる。実は、先程のお話は私達が作り上げた嘘が含まれておりますが、富裕層でも、しっかりとした人に助けてもらえるようにAI管理センターはレンタル人材雇用を前提に終身雇用出来ますのでご安心下さい。先程お伝えしましたが、3ヶ月でレンタル終了はありませんのでご安心下さい。ちゃんと、先方からは大学院まで育てたいと申しております。出来れば、社長になってもらいたいとの事です。』

『えぇ?そんな事があるんですか?夢のような現実なんてあるんですか?まだ、信じる事が出来ませんよぉ。それに、レンタルなら、何時かは返却されるのでしょ?』

『もしかしたら、レンタルされたと思っておりますか?』

『違うんですか?』

『レンタルではないですよぉ。終身雇用ですよぉ。あなたは、新しい人生を歩むんですよぉ。もちろん、あなたのお母さんもそうなります。』

『だって、私達は血の繋がった家族ですよぉ。』

『もちろん、今まではそうですが…』

『という事は母親には逢えないかも知れないのですか?』

『そうかも知れませんねぇ?では、これより、富裕層の家族の元に出発です。』

『はい、宜しくお願い致します。えぇ?リムジンですか?』

『はい、リムジンでご案内致します。』

『あぁ…こちらに、これからお世話になる富裕層の家族の動画を流しますので、リラックスして見て下さい。なお、リムジンの中に冷蔵庫に飲み物やお菓子などが入ってますのでご自由にどうぞ。』

『初めましてこんにちは。私達はロサンゼルスのマリオットホテルチェーンを運営しております。

マイケル・ジョーンスタン金村です。そして、妻のスミスです。日系3世です。私達には、子供がおりません。その為、AI管理センターに依頼をして、人材レンタル雇用推進法で今回、あなたの終身雇用を強く希望致しました。長旅になるとは思いますので、気をつけてお越し下さい。ピシュ〜!』

『凄いなぁ…楽しみだなぁ…。えぇ?何、何…この煙は…あぁ…意識がとうのいていくぅ…グゥグゥ〜。』


『ありがとうございます。今回も上手くいきましたねぇ?』

『すっかり、寝てますねぇ?』

『それにしても、母子家庭を分離するメリットはあるんですか?』

『そりゃあるさぁ!両親が性欲を抑えられずに、中に出されて結婚して、両親の性格の不一致で離婚する。挙げ句の果てには、ダブルワークをして働き、休みなく無理をして、身体を壊す。そして、無駄なプライドで子供を生んだ責任は私にあるって言い出す。いやぁ、違うだろぉ?お互いに愛しあったなら、慰謝料は払えってなぁ。でも、子供には両親が離婚せずに仲良く過ごしてもらいたいと思うんだぁ。父親、母親の両方の記憶は大事なんだよぉ。』

『ですよねぇ?』

『だろぉ?だから、記憶を入れ替えて新しい人生を歩むのに力を注ごうと思ってなぁ…。』

『なるほどねぇ?ところでリサーチは出来ているんですか?』

『そりゃ、大丈夫だよぉ。ここには行方不明になった子供のDNAのカプセルがあるから、それを今から脳に移植して記憶を交換すれば、行方不明になった子供になる。すでに、あの夫妻には行方不明になった子供の記憶としてこの娘の記憶を入れておいた。』

『いやぁ、やる事が早いですねぇ?他にはどのような夫婦がいるのですか?』

『交通事故で亡くなった子供を持つ夫婦や妊娠したくても妊娠出来なかった夫婦などさまざまな人に育ててもらうよぉ。』

『なるほどねぇ?それなら、きっと幸せになりますよねぇ?でも、母親の記憶もすり替えないと駄目ですよねぇ?』

『もちろんそうだなぁ…』


一方その頃

『あぁ…どうも、こんにちは?私、厚生省AI管理センター人材レンタル雇用推進センターより参りました。今回は、母子家庭で子供をレンタルされた母親の為のアフターサービスに伺いました。』

『えぇ?どういう事ですか?』

『あれぇ、お聞きしてませんでしたか?まぁ、簡単にお伝え致しますが、お腹を痛めた子供を一時的といえレンタルするのは辛い決断だったと感じます。その辛い決断を私達が全力でサポートさせて頂ければと思いまして…』

『あぁ…なるほどねぇ?有難いお話だわぁ。何でもして頂けるのですか?』

『もちろんですよぉ。』

『なら、たまには温泉旅行にでも行きたいわぁ。』

『もちろん大丈夫ですよぉ。』

『でも、一人は嫌だなぁ…出来れば、イケメンでたくましい男性と行きたいかなぁ…』

『あぁ…なるほど。という事は夜も楽しみたいという事ですよねぇ?』

『まぁ、ご無沙汰ですからねぇ…たまには、禁断の恋なんてしてみたいかなぁ…』

『なるほど…。でも、子供の事は気になさらないのですか?』

『はぁ?子供なんて荷物みたいなものよぉ。殺すわけにはいかないから、無理して育てたけど…あいつのDNAが入っているから嫌いだったわぁ。それに、離婚した時は悔しくて育てるって意地をはったけど…間違いだったと一人になって気付いたわぁ。あぁ…一人って、最高!って。』

『なるほど…。なら、今回の子供のレンタルは最高なのでは?』

『そりゃ、最高よぉ!』

『なら、もしも、子供をレンタルではなくて買いたいと言ってきたらどうしますか?』

『もちろん、あげるわよぉ。でも、子供の将来的価値やこれまで育てたお金ぐらいは頂きたいわぁ。そうねぇ…月に10万円はかかっていると考えたら年間120万でしょ?だから、15年で1800万となるから、倍の5000万は欲しいなぁ…。』

『というと、子供の価値は5000万円ですか?』

『そのぐらいではないのぉ?』

『なるほど…5000万円ですか?でも、あなたにはそれほどの価値はなさそうですが…』

『そうねぇ…バツイチで子持ちは価値はないわぁ。それに、お金もなければ誰も見てくれないのが現実かなぁ。』

『なら、あなたはいくらぐらいの価値がありますか?』

『そうねぇ…-500万といったところかなぁ…』

『なら、独身になれたら価値が上がりますかなぁ?』

『そりゃ、バツイチで子供なしなら、価値は上がるわぁ。そうねぇ…500万にはなるかなぁ。』

『でも、バツイチですよねぇ?価値はありますか?』

『ですよねぇ…せいぜい、300万かなぁ。』

『はい、ありがとうございます。では、300万円を振り込みさせて頂きます。』

『えぇ?良いんですか?』

『もちろんですよぉ。』

『では、温泉旅行に行きましょう。こちらへどうぞ。』

『いやだぁ…本当についているわぁ。ありがとうございます。えぇ?リムジンですか?』

『はい、そうですよぉ。あぁ…これより、一緒に同行するイケメンの紹介動画を流しますので、気にいったら伝えて下さい。』

『いやだぁ、素敵!迷うなぁ…どれにしようかなぁ…。あれぇ、急に眠くなってきたわぁ…プシュ〜。』


『やりましたねぇ!大成功ですよぉ。』

『なぁ、こんな女には天罰だなぁ…。』

『どんなお仕置きをするのですか?』

『今回は、ゴミ屋敷の住民の記憶を入れておいたよぉ。』

『という事は…ゴミ屋敷に住まわせるのですか?』

『そうさぁ…ホスト遊びにはまっているキャバクラ嬢でゴミ屋敷なら悪くないだろぉ?』

『お金と男にしか興味がない女には天誅さぁ!』

さてぇ、次は誰の依頼を受けるかなぁ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る