第5話  AIに囲まれた世界〜レンタルされたら…

『あぁ…名残惜しなぁ。』

『もう、お母さん大丈夫だよぉ。ちゃんと、新しいお母さんとお父さんの言う事は聞きますよぉ。私って、性格は良いんだよぉ。』

『それにしても、大丈夫なのかなぁ…。富裕層がレンタルするには色々と事情はあるとは思うけど…不安だなぁ…。事前に面談などがあれば少しは解消されるけど…それもないんだからねぇ?』

『そうだねぇ…。顔写真も見れないのは怖いけど…大丈夫かなぁ。』


『ピンポン。あぁ…大変遅くなりました。厚生省雇用推進法AI管理センターレンタル人材部より派遣されました。社会福祉士の米山 幸治です。昨日はどうも。』

『では、レンタル先の富裕層宅へ参りましょうか?百合さん。』

『あぁ…ちょっと待ってもらっても宜しいですか?』

『あのぉ、恐れ入りますが、取り消しは契約した方からしか出来ませんよぉ…。』

『そうじゃないんです。』

『と言いますと…質問ですか?』

『はい、百合がちゃんと、衣食住と勉強が出来る環境で過ごす事が出来るのですか?それが心配で…それに、富裕層宅はメリットはあるんですか?』

『お気持ちは解ります。もちろん、書類審査とAIによる一時審査、家庭環境、経済的な配慮などをした上で雇用推進法人材レンタルが成立されます。特に児童福祉においては児童憲章、児童権利宣言、児童権利条約(児童の権利に関する条約)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律、児童虐待防止法、DV防止法などがありますが、あくまでも契約の範囲内となります。』

『という事は?』

『あくまでも、雇用主との関係においては雇用関係が成立される為、18歳以下の児童に関してかなりの勉強という責務はして頂くと思います。もちろん、それについての投資を行い、なおかつ、対価は要求されます。(癒しや家庭でのお仕事がそれにあたるかと…)。しかし、富裕層がレンタルするのは、たいていは将来事業を継いでもらいたいのが一番の理由だと思います。今回もそのケースだと言われておりますが…』

『なるほど…それなら、大丈夫ですねぇ。』

『とは言えないかも知れませんよぉ…。富裕層はわがままですから、試用期間3ヶ月で返品されるケースもありますから、頑張ってもらわないとならないですねぇ。』

『えぇ…そうなった場合は?』

『ここにも、記載がありますが、児童福祉施設に送られてしまいます。』

『えぇ…それは聞いていないですが…』

『ちょっと待って下さい。ここに太字でなおかつ、赤字で記載されてますよぉ。』

『という事は、私も子供も頑張らなければならないのですか?』

『もちろん、そうなりますねぇ?』

『富裕層から返品されないようにするには…どうすれば…』

『逆にあなたが富裕層にレンタルされて、生活する事になるかと…』

『子供は18歳以下なので児童福祉施設から学校に通わなければならないので、月30万円は子供に振り込まれます。』

『しかし…20歳以上になれば、富裕層の愛人になるケースがほとんどなのでおすすめは出来ませんよぉ…。それに、富裕層は熱しやすく冷めやすいので数ヶ月で奴隷的な扱いになる事になるかと…現に、毎日皿洗いと介護を行っている人もいます。それに加え、毎月30万円を払って、衣食住も世話する富裕層は国内にはいないかと思いますよぉ。どうしますか?』

『今なら、富裕層にレンタルされる前に登録を解消して、キャンセル料を払ってもらいますが…』

『えぇ…そんなぁ…。』

『だから、しっかりと娘さんと話して下さいとお話しましたけど…』

『なんとかならないですか?』

『無理ですよぉ。』

『では?どうすれば良いのですか?』

『今回のケースは二人揃って富裕層にレンタルされるケースになります。』

『えぇ…そうなるんですか?』

『もちろんそうなりますよぉ。』

『こちらに記載がありますが…保険として、子供のレンタルの保険として、父子ならびに母子ともに生活を雇用される事を条件に子供が大学を卒業まで雇用する事が出来ます。そのような場合は母親は8時間の雇用と2時間の資格の勉強を行って頂きます。資格取得に関しての費用はかかりません。』

『えぇ…こちらの方が良いのでは?』

『いやぁ、そうとも限りませんよぉ。常に二人揃って雇用されますが…子供が途中で勉強をやらなくなったり、母親が8時間の雇用と資格の勉強を2時間行うのはかなり、しんどいですし、なおかつ、合宿場みたいで3日で嫌になりますよぉ。でも、逃げ出す事が出来ないですが…』

『えぇ…そう何ですか?他に方法はないのですか?』

『後はレンタル父親を受け入れるしか…方法がありせんが…どうしますか?』

『解りました。百合、あんたが頑張ってねぇ?』

『えぇ!そんなぁ…嫌だなぁ…試用期間で駄目になったら…返品されるよぉ…。』

『大丈夫よぉ…。返品されたら、又、違うところで生活しなぁ。』

『いやぁ、返品されたら、申し上げにくいのですが…次はないんですよぉ。天国と地獄しか選択はないんですよぉ。』

『ちょっと、私の学校生活はどうなるのぉ?』

『そうですよねぇ…それが1番の問題でして、試用期間中に返品された場合は申し訳ないのですが…こちらの高校で寮生活をして頂くか、児童福祉施設から通う方法しかないです。』

『こちらは?』

『『防衛省防衛大学付属国防国際高校』です。』

『という事は、学費をもらって勉強してなおかつ、就職は自衛隊ですか?』

『えぇ…そんなぁ…自衛隊何て嫌だよぉ…。』

『とはいえ、その方法しか今はないんですよぉ。しかし、防衛大学に入れるのはエリートだけですが…東大や京大、防衛大、防衛医科大はエリートの集団ですが…』

『えぇ…そうなんですか?』

『そうですよぉ。わざと、このような方法を取る母子家庭や父子家庭もあるぐらいですよぉ。とはいえ、中国が崩壊した後、各地で戦争や自然災害も起こり、国力は落ちていますし、なおかつ、10年前から徴兵制を導入しても、愛国心もなくて、幹部としての教育を途中で投げ出すようなエリートばかりで困るみたいですが…家庭環境が困窮している学生は必死に勉強するので貴重な戦力になるようですよぉ。』

『なら、大丈夫ねぇ?』

『そんなぁ…今からレンタル父親を受け入れてよぉ…嫌だよぉ…。お母さん、助けてよぉ…。』

『頑張って!あぁ…これで、少しは楽になったなった。これからが楽しみ。』


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