第28話 顛末
結局、あの後僕は、すぐにその場で退出するよう命じられ、生徒指導室で控えているよう指示された。
向かう途中、僕は頭が真っ白になって、放心していた。
何が起きたのか。なぜ、こんなことになってしまったのか。わけが分からなかった。
試験終了後、すぐに根本先生がやって来た。
僕はもう一度身の潔白を訴えるが、根本先生が聞く耳を持ってくれることはなかった。
「お前の処分は、職員会議で話し合い、追って伝える」
それだけ伝えられた。
僕はもう、これ以上なにも言えなかった。言っても無駄だと思った。
理由はふたつ。
ひとつは、僕の話に耳を傾けようとする姿勢が、根本先生からは感じられなかったこと。
もうひとつは……たぶん、こちらの理由の方が決め手になったと思う。
今回僕は、いい結果を残したくて今日まで努力してきた。
いい結果を残して、皆に認めてもらいたくて。由加里先生に、褒めてもらいたくて。
けど、その目標にケチが付いてしまった。
仮に、僕の身の潔白が証明されたとする。けど、中間試験であれだけ酷い結果だった僕が好成績を残せば、それは努力の賞賛ではなく、今回の件の疑惑に変わる。
そしたらもう、皆に認めてもらうなんてことは、絶対に不可能だ。
それに、試験だけじゃない。
この先とか、自分の気持ちだとか、全部、全部……
不敵に微笑む、由加里先生の顔が頭に浮かぶ――――
痛い――――
全部―――終わった……
根本先生との話が終わってからすぐ、由加里先生がやって来た。
困惑と、僕を心配してくれているような表情をしていた。
僕はもう、先生の顔をまともに見ることができなかった。
今日まで忙しい時間を割いてまで協力してくれたのに。
けど僕は、結局彼らの悪意から逃れることができなかった。
それが悔しくて、情けなくて、なにより申し訳なくて。
「今日は、自分の家に帰ります……」
先生と話をするのが辛くて、僕は一方的にそう告げて、その場を後にした。
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