第15話 VS悪魔
ループ能力。深海理人は旅に出た。何度も何度も繰り返す旅。
ある旅ではいじめられた女子中学生を救い、フラグを立てた。ある旅では売れない地下アイドルのプロデュースに成功し、グループ全員からモテモテになった。
ある旅ではパワハラに苦しんでいる冴えないリーマンを助け、ホワイト企業に転職を成功させ、彼はぬくぬくホワイト企業に勤めながらユーチューブをやっている。また、ある旅ではパチンコ好きの中年をギャンブル依存症から直して、彼にスロットの面白さを伝え、パチプロになることを成功させた。
4人だけじゃない。
深海理人は、悪魔の日葵を倒すために、地球から善に選ばれた1000人のすべてを救った。何度も何度も繰り返して。彼らの悩みは常に人間関係にあり、改善に取り組んだ。白い猫は餌をあげた。捨て猫だった彼は、理人の家で飼うことにした。白い猫は人間の飼い主から捨てられた悩みを、能力に昇華させていた。
これで舞台は整った。
理人は最後のワープを行う。日時は、海上日葵と初めて会ったとき。の少し前。
「大丈夫、大丈夫、俺はできる。何度でもやり直せる。人生は素晴らしい」
今まで読書に励んできた引きこもり生活は無駄じゃなかった。一人の女の子を救うために、1000人以上におよびコンサルティングを成し遂げた。
理人ならできる。自分自身にそう思い込ませた。
「グッドラック」
ループ能力で自分の部屋に戻る。意味不明な電波女が初めて訪れた日。決着の時。
引きこもりだった理人はドアを開け、外に出る。勇気を踏みしめ、一歩。場所は、おのずと分かる。公園だ。そして、ラスボスに声をかけた。
「やあ、リココス星雲から降臨した天使さん。僕の名前は深海理人、初めまして」
理人は後ろから声をかけ、振り返った彼女の横顔を見た。海上日葵は驚いた顔をし瞬間、すべてを理解したかのように笑う。にやり。もう悪魔の顔だった。
「ほう、人間。私が誰だか理解しているのかね?」
「ああ、あなたの名前は海上日葵。悪魔に則られる前にすんでのところでチャネリングし、僕に助けを求める少女だ」
「くっくっく。そうじゃのう。半分、私。半分、本物の日葵といったところか。今は混ざり合っておる」
「表面的には悪魔がいる。でも本物の日葵さんはまだ負けていない。最後に力を振り絞って僕に助けを求めた。そう、ファックしてください、ってね」
「なるほど、人間。悪魔を倒す力を持っているらしい、しかしむず痒い能力じゃな。どうする? 私を押し倒すかい?」
「いや、僕は能力を使わない。なぜなら、あることに気付いたからだ」
「ほほう」
にやりと笑う悪魔。理人は1000人を超えるループの結果、あることに気付いた。
「僕に『セ〇クスをすると悪魔を封じる』という能力は存在しない。最初から悪魔を倒す善なんてないんだ」
「無い? なぜ私を倒す能力が無いと言える?」
「あるというなら僕に教えてくれ。もし無いのなら悪魔の証明だ」
悪魔を倒す方法はない。
1000人以上の善なる能力者と関わった理人だが、その中で悪魔にダメージを与えるものはなかった。つまり、本物の海上日葵は騙されていたことになる。
すべては理人が悪魔をレイプするよう誘導するための仕組まれた罠だった。そう、結論付けた。
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