6月
あれから大体二ヶ月が過ぎた。
入学式の日以来、仲良くなった俺達は、クラスが同じになったこともあり、毎日のように行動を共にした。
俺も玲桜も、同じ中学だった人がいなかったので、すっかり意気投合した。
ただ、この二ヶ月で分かったことは、玲桜が二週に一度くらいの確率で欠席すること、体育の授業はいつも見学をしていること。
あと、よく咳込んでいることだ。
以前、体調が悪いのかと尋ねたことがあったが、何でもないよ、と苦しそうに微笑みながら誤魔化されたので、それ以上問い詰めることは無かった。
六月になると毎日のように雨が振り続け、どこか気鬱になってしまい何もやる気が起きない。
雲の所為で暗くなった教室を幾つもの蛍光灯が煌々と照らしている。
あんなに綺麗に咲き誇っていた桜は、入学式の次の日に降った雨に打たれ、跡形もなく散ってしまった。
桜の木の下では緑色の葉が水溜まりに浮かんでいる。
鮮やかな色に染まった紫陽花の葉に大きな蝸牛が如何にも気怠いそうに乗っていた。
雨は嫌いだ。
雲が嫌いだ。
雲一つない満天の星空を見たいと、強く思った。
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