第2話 RPG ── 3
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マリ博士の到着後、セリナに簡易的な説明がなされた。
まずはEEE災害対処職員2名のこと。
災害対処職員は他にもいるが、セリナが今日会う予定だったのは彼らだけだった。
ほかの人間との挨拶はそのうち、という形でIIIランク職員の間で話し合いが進んでいるらしい。
ミラもレイジも異世界人で、CODEを持っている。収容所の人間は、こちら側の世界で生きる人間のほうが少ないのかもしれない。セリナは感覚がマヒしてしまい、異世界人の比率が多い場所にすっかり慣れてしまっている。
また、今回のEEEは条件つきで3人が必要であったため、ミラ、セリナ、レイジが選ばれたとのことであった。
そこまで説明が進んだところで、3人が実験室へ入室。
セリナはそこで、EEEの性質や対応策を聞くのを忘れたことに気が付いた。
セリナがミラにそのことを打ち明けると、実験室で説明するとのことだった。
そんなに悠長な時間はあるのだろうかと疑問に思いつつも、実験室へ入る。
ありえない光景が広がっていた。
セリナは異世界で撮影された写真で見たことがあった。
しかし、本物を見たのは当然初めてだった。
異世界における、日本という国の、一般家屋──その、居間だ。
中央にテーブル。椅子が四脚。テレビと呼ばれる四角いモニタは野球中継を映し出している。椅子のひとつに座っているのは、中年男性。その膝の上には黒い猫。どれがEEEなのかもわからない。あるいはすべてEEEなのかもしれなかった。
殴り肉の時とは違う意味で、セリナは呆然とする。
それは誰が見ても、異常な光景だった。
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