#49 ダンジョン進捗と精霊

 26日目。

 密室ガス作戦の効率は上がり続けていた。

 先日、とうとう日給日給22万。リップにして、11万。

 ちなみに俺の日本での"月給"は22万だった。


(もう、こっちで暮らしたほうがいいんじゃないかな?)

 

 インターネットも漫画もテレビもなくなった。

 コンビニにも行けないし、牛丼も食べれない。

 でも、それに代わるものが、こちらにはある。

 はじめは日本食が恋しくなるかと思ったが、気が付けばこちらの食事に馴染んで特に不満もない。

 もともとパン派だったし、米への執着は一般的な日本人より低かったから、全く困っていない。

 

(もっと日本が恋しくなるかと思っていたんだがなぁ)


 俺は初日目に電源を切ったままのスマホを取り出した。

 ソシャゲもいくつか熱心にやっていたのだが、完全に止まってしまっている。

 そして、今はもうそれが気にもならない自分がいる。


(まぁ、それもこれも『帰還チケット』のおかげだろう)


 いつでもDPさえあれば、元に帰れる。その保険は大きい。

 そして今、手持ちのDPは300万を超えている。

 『帰還チケット』の値段は変動して350万。

 少々届かないが、あと2日もあれば買えるようになるだろう。

 もうその気になれば、いつだって帰れるわけだ。しかし……


(数年はこっちでいいかなぁ)


 いつかは帰るだろう。

 親のことだって心配だ。

 でもそれはもっと魔法を体験してからでいい。

 帰った後で、こちらに心残りがあったとしても、どうしようもないのだから。


 まだまだ試してみたい魔法は無数にある。

 日に日に貯まるDPにワクワクしながら、リストを見る毎日は楽しい。

 異世界観光としては、充実した毎日を過ごしていると言えるだろう。

 

(街の人達にはダンジョンの攻略を期待されている

みただけど……)


 俺はDPを稼ぐことに興味はあっても、ダンジョンを攻略することには全く関心がもてなくなっていた。

 ダンジョンは進むほど危険が増す。

 冗談抜きに殺しにきている相手と向き合う覚悟は未だにできていなかった。

 そして、生物を殺す覚悟も。

 最近では魚をさばくように、魔法で撃ち殺すことはできているが、それも小動物だからだ。

 ダンジョンの敵には人型のものもいる。

 きっと、相手が知的生物になってしまったら、俺は躊躇することだろう。


(とはいえ、対策はしておきたいな)


 ダンジョンの外、地上にも魔獣という危険な敵がいる。

 わりかしファンタジーな世界だ。ゴブリンやオークも存在していることだろう。

 彼らに遭遇した時の、対処法はもっておきたかった。

 

(そろそろ、精霊の指輪を買うかなぁ)


 現状保留にしているが、精霊の指輪を買う気持ちは変わっていない。

 俺の代わりに戦ってくれるものを呼べるなら、それにこしたことはないし、魔法が使えるなら、なおのことだ。

 

(問題は、情報が足りないことだなぁ)


 未だにリュシルくんに調べてきてもらった情報が全てで、詳しいことはわかっていない。

 その点が、DPが貯まっても二の足を踏ませている原因なのだが、状況が変わらない以上、そろそろ決断する時かもしれない。


 俺の手持ちで呼び出せる精霊は、4種。

 火、水、土、風、いずれかの小精霊。

 このうちから1種選ぶ必要があるのだが。

 

(性格が合ってないといけないらしいんだよなぁ)


 リュシルくん曰く、小精霊とのやりとりはテレパシーによる気持ちのやりとりらしい。

 その際に性格が合わないとまず間違いなく失敗するだろうと言われた。

 精霊の性格については推測するしかない。

 テンプレ通りなら、火精霊は陽気で風精霊はきまぐれ、避けたほうが無難だろう。

 穏やかそうなのは土精か水精。


(どちらか片方でもわかればな)


 エルフは水精に詳しいという。

 前回彼らに話が聞ければよかったのだが……


(いかん、ムカムカしてきた)


 エルフ思い出すのはやめておこう。

 精神衛生上よくないし、前回の失敗の理由もまるでわかっていない。

 エルフ以外に精霊に詳しい種族を探すべきだ。


(エルフ以外の半人半精といえば、ドワーフか)


 彼らは鍛冶や酒造りのときには精霊と会話しながら作業にのぞむという。

 

(明日、酒場で聞いてみるか)


 彼らは、酒場ではよく見かける。

 俺はドワーフに話が聞けないか検討。






#######################

26日目までの収支

#######################


ジミチ キツト――――――――――――――――

1964958DP【16日目の所持DP】

―――――――――――――――――――――――

+10000【ログインボーナス×10】

+170492【敵4294体合計値(17日目)】

+2064【敵56体合計値(18日目)】

+4002【敵110体合計値(19日目)】

+172150【敵4320体合計値(20日目)】

+339284【敵8536体合計値(21日目)】

+341240【敵8545体合計値(22日目)】

+338402【敵8524体合計値(23日目)】

+348155【敵8497体合計値(24日目)】

+340502【敵8527体合計値(25日目)】

+337824【敵8502体合計値(26日目)】


-1078128【クラウドキルリング(345分)×6 2週間期間限定】

-6448【マジックミサイル発動コスト 10日分】

-84000【クラウドキル発動コスト 10日分】

-7225【カースワードキル発動コスト 10日分】

-4250【ウォールオブアース発動コスト 10日分】

―――――――――――――――――――――――

残3183499DP

累計敵撃破数86378体



イハル ライタ――――――――――――――――

17日目

 ・7Fへ突入

 ・ゼカンは真面目にキノコ対処方法を調べていた。楽々処理できるようになる。

 ・ゼカンが下調べをした結果、このメンバーならすぐ8Fに行けるらしい

 ・8Fへ突入、影犬が少々やっかいだが、問題なく戦える

 ・過去の冒険者の戦法を参考に定点狩り

 ・ゼカンが釣り役で頑張った結果、稼ぎが1.5倍になった

 ・皆でハイタッチ。しかしゼカンは走りすぎて倒れる

 ・酒場で反省会。釣り役を増やすか検討


18日目

 ・結局釣り役はゼカン1人

 ・ただし、ゼカンは定期的に体力回復サポートが行われる

 ・6時間定点狩りを行ったところ、さらに前日の稼ぎを上回る

 ・そろそろ10Fのボス戦をどうするか話し合いがはじまる

 ・ここでもう一段階上の装備を整えることで満場一致

 ・酒場での軽い打ち上げ。今後は飲みは控えめに。


19日目

 ・11時に集合、定点狩り開始。

 ・14時に休憩。みんなで公園にいき、お弁当を広げる。

 ・アリィタは料理が上手い。イハルへのアプローチにイリーナが歯ぎしり。

 ・イリーナが別方面でアプローチ。メンバーそれぞれヒートしすぎる。

 ・17時に定点狩り再開。

 ・20時に切り上げ。本当は3回定点狩りするつもりだったのに……

 ・打ち上げのときに、今後は公園に行くことはやめることに決まった。


20日目

 ・昨日同様11時集合。14時休憩。

 ・今日の休憩はダンジョン内の通路。しかし落ち着かない。

 ・15分で休憩終了。ダンジョン内の休憩は休まらないから今後なしに。

 ・17時に2度目の休憩。外に出たら丁度夕方のコンサート。

 ・みんなで軽食を取りながら、コンサート鑑賞。良いムード。

 ・なんかダンジョンに潜る気分じゃない。

 ・全員で慌てる必要もないし、のんびりやろうということになった。

 ・酒場で乾杯。今後は1日2回の狩りになった。


21日目 堕ち人会合

 ・イリーナの部屋で目が覚めるのが当たり前になった。

 ・もうギルドの部屋いらないんじゃない?

 ・今日は昼の休憩を長くして、イハルの部屋を引き払うことに。

 ・ギルドでジミチとクロモリに会う。食事を一緒にすることに

 ・情報交換&他の堕ち人の現状を知る。あれ、実は出遅れてる?

 ・少し遅れてパーティに合流。メンバーと情報共有。

 ・メンバーにやる気が、定点狩りをいつもよりがんばる。


22日目

 ・10時集合。メンバーみんなやる気だ。

 ・定点狩りも慣れてきた、ゼカンのザコ釣りもだいぶ上達。

 ・午後の休憩。メンバーそれぞれ狙う装備の確認。

 ・必要DPを見積もったところ、あと5日は籠ることが確定。

 ・明日は休みの予定だったが、全員やる気あるので休み返上。

 ・9Fへのチャレンジは29日。30日を休みにして、31日をボスに挑む日に決定。

 ・2回目の定点狩り、いつもより長く行った。

 ・酒場に戻ったところで全員へろへろ。ちょっと疲れすぎ。

 ・がんばりすぎもよくないとなった。必要分は稼げているのでペースを戻すことに。


23日目

 ・11時集合、14時休憩。15時から19時まで狩り。

 ・19時半には酒場でどんちゃん

 ・22時、イリーナの部屋で3人のんびり。

 ・こちらにきて3週間。あっと言う間だった。

 ・充実して楽しい。いいメンバーに恵まれた。

 ・ふと、自分以外の堕ち人2人が思い起こされる。

 ・彼らはパーティを組んでいないという。自分のパーティに誘ってもいいかもしれない


24日目

 ・いつもの定点狩り

 ・ゼカンから、どこかのギルドに所属しないかと持ちかけられる。

 ・ギルドについて知らなかったので、説明を受ける。

 ・MMOのプレイヤーグループみたいなものだと知る。

 ・会費をとられるが特典のメリットが良く、追加メンバーを探しやすいらしい

 ・メニィはすでにギルド『叡智の扉』に所属しているらしい

 ・全員でどこかのギルドに所属することが決定。

 ・酒場の打ち上げでどこにするか話し合い

 ・3つに絞られたので、明日見学に行くことに。


25日目

 ・1度定点狩りをしてから、ギルド見学に

 ・ギルド『スジャンタの尾』で歓迎を受けるも、現時点では入会条件が厳しかった

 ・ギルド『ヴァリンドの黒剣』を訪ねると熱烈歓迎。

 ・ギルド『ヴァリンドの黒剣』では入会すると、メンバー全員がアーティファクト『ヴァリンドの黒剣』をもらえるらしい

 ・特典につられて、即決入会。

 ・特別に5級黒剣を授けられる(通常は6,7級)

 ・メンバー全員、なんとなく予想していたようで、半分諦めぎみ

 ・他のメンバーも6級黒剣を受け取って、火力アップがはかられる

 ・ダンジョンに潜るとサクサク。DPもいらないので効率が上昇

 ・ギルド『ヴァリンドの黒剣』の人たちと酒場で乾杯。大いに盛り上がる


26日目

 ・11時、ギルド『ヴァリンドの黒剣』に集合。

 ・ギルド内所有する、ダンジョン攻略情報を教わる

 ・装備のサポートも受け、ほくほく

 ・攻略情報を元に、9Fへ突入

 ・アーティファクトの恩恵もあって、効率の良い狩りが行える。

 ・しかし、非常に疲れる……

 ・黒剣は精神力を使うので、長期戦は厳しかった

 ・定点狩りに戻るために8Fへ

 ・黒剣のあとの狩りはちょっと辛かった。少しずつ練習が必要だ。

 ・酒場で乾杯。普段より疲れているせいか酒が上手い!

 ・ボス戦用の良い切り札ができたと笑いあう


―――――――――――――――――――――――

406521DP【16日目の所持DP】

―――――――――――――――――――――――

+10000【ログインボーナス×10】


+27782【敵321体合計値(17日目)】

-6000【3000Rに現金化(17日目)】

-4721【炎の剣で消費(17日目)】


+26704【敵345体合計値(18日目)】

-4000【2500Rに現金化(18日目)】

-4840【炎の剣で消費(18日目)】


+23213【敵294体合計値(19日目)】

-5000【4400Rに現金化(19日目)】

-4475【炎の剣で消費(19日目)】


+26854【敵346体合計値(20日目)】

-7000【18600Rに現金化(20日目)】

-4621【炎の剣で消費(20日目)】


+29987【敵388体合計値(21日目)】

-5000【18600Rに現金化(21日目)】

-4812【炎の剣で消費(21日目)】


+33524【敵437体合計値(22日目)】

-6000【13000Rに現金化(22日目)】

-5121【炎の剣で消費(22日目)】


+28894【敵377体合計値(23日目)】

-6000【1950Rに現金化(23日目)】

-4356【炎の剣で消費(23日目)】


+28210【敵365体合計値(24日目)】

-6800【2100Rに現金化(24日目)】

-4227【炎の剣で消費(24日目)】


+28808【敵370体合計値(25日目)】

-7000【6000Rに現金化(25日目)】

-2867【炎の剣で消費(25日目)】


+30166【敵347体合計値(26日目)】

-1600【800Rに現金化(26日目)】

-2470【炎の剣で消費(26日目)】


+500000【累計5000体撃破ボーナス】

+100000【累計6000体撃破ボーナス】

+100000【累計7000体撃破ボーナス】


-30000【暗視ゴーグル】

―――――――――――――――――――――――

残1275353DP

累計敵撃破数7607体

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る