第10話



3年の春。


もうすぐ卒業なんて、信じられない。


あれからというものミナと私は親友へと戻り、バスケ部内も平和になって引退へ近づいていた。


そんなとき、


「おつかれー。」


バスケ部の練習を終え、部室で着替えていると、退部したはずのサチが部室をあけて入ってきた。


「え」


みんな固まって、ミナは青ざめている。


「なにみんな、どしたの?」


サチは笑いながら私たちを見渡した。


「サチ、休学してたんじゃ…」


ミナが口を開くと


「今日から復活よ!」


ピースを右手で作ってニッと笑ってみせた。


「え、右手…」


部員の誰かが驚き、声を出す


「あ、そうそう。神経には及んでなくてなんとかリハビリでここまで回復したの」


サチは笑いながらミナの元へ駆け寄る


「ミーナ!寂しかったでしょー?今日からまた親友だよ?」


そう言うとミナの肩へ自分の腕をのせ、ポンっと叩いた


ミナはどうしようと言うような顔で私を見た。


私もミナを見つめていた


「んー?ミナ?」


サチはミナの視線の先を追うと、


「ちっ、何見てんだよカス」


私の視線に気づいたのか、前のように蹴りあげる


「ぅ、」


久々の痛みで足をつく。


(ミナ、ミナ!もう裏切らないよね?大丈夫だよね??)


私は必死に心の中でみなに訴えかけた


「ミナ、どうしたの?あんたもやりなよー」


サチはミナを前に出し、私の方へ連れてくる。


(ミナ…もう2度目はないんだよ?)


私は縋る気持ちでみなへ視線をやる。


ミナは汗が溢れ出て迷っているようだった。


「やるよね?」


「で、でも、」


(ミナ…ミナ!)


「やれよ。」


サチはミナの耳元でそう囁く。


すると、ミナは私に



「ぐっぅ、」


「…み…な」


蹴りを入れたんだ。

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