旅する機械少女
父の車庫に自衛隊の高機動車と似た物があった。こっちでも免許は取ったし、それを拝借しよう。
隣国だし、とりあえず一ヶ月分の着替えと食料を持てばいいか。途中に街もあるだろうし。お金は全部持っていこう。お土産は必須だ。
色々な事を考えながら、レイナは旅の準備を進めていた。旅なんて久しぶりだ。前世、らいとの頃にあの六人で、高校卒業後に京都へ行って以来。
キャリーケースに着替えを入れ終わると、自室へ父コウキチがやって来た。
「本当に、行っちまうのか」
「行くよ。行かなきゃねえ」
「……体には気いつけれよ」
レイナは黙って頷いた。
ヘンゼル王子が日本語を喋ってから、レイナは自分のやりたい事が決まった。
「絶対に見つけるよ、父さん」
歯を出して笑いかけ、キャリーケースを持って部屋を飛び出した。
高機動車のエンジンを駆ける。
「行こうか、ガルルンバ!」
『ケンリ国ニ、案内シマス』
高機動車に搭載されたAI、レイナがガルルンバと呼ぶそれは、車全体の管理をしている。名前の由来はエンジン音。
ガルルルと唸り声を上げ、レイナとガルルンバは旅に出たのだった。
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