第84話 真里姉とメメントモリでの戦い
ちなみに『
冒険者の主力として期待している、と王様から言われたのも影響しているかな?
では私達はというと、戦いに参加しない代わりに大量の生産を依頼されていた。
少しでも兵の力を高め、万が一の時に備えたいと言われては断ることも出来ず。
もうね、クランマスターはカンナさんでいいんじゃないかな?
一瞬そう考えたけれど、それはそれで
結局Mebiusの世界では一週間、ほぼ料理漬けの日々を送ることになってしまった。
料理は私が好きで始めたことだけれど、こんなに料理ばかりしているとジョブの意義を見失いそうになるね。
それでも一つだけ良いことがあって、なんと彼が料理の手伝いをしてくれるようになったのだ。
必要なお皿を並べてくれたり、片付けを済ませてくれたり、目立たない行為だけれど、私はとても助けられた。
なお、彼は私にその行為がバレていないと思っているらしい。
けれど調理場には二人しかいないのだから、隠し切れるはずがないよね。
そんな
そんな感じで
その場所を一言で表すなら、巨大なチェス
現実のチェス盤では、
レギオスの
カルディアの兵が纏う装備の色は、赤。
そして私がなんでそんな
「なかなか
「そう、ですね……」
それぞれの
おかげで
ちなみに『幼聖教団』の人達は、既に
そして冒険者の中には、バルトさんの姿もあった。
その名前は
きっと、
それが一つの救いの形のように思えて、私は
「あの女帝、やはりマリアに会ってみたいというのはただの
じっと遠くを
「どうかしたんですか?」
「こちらと同じように、レギオスも櫓を建てておる。その中央にいるのが女帝なのだが、何故か他に二人も
王様の言葉が気になって、【
あの人が女帝かな? 盤上の兵よりも一層深い青色の鎧を身に纏っている。
そして王様が言った通り、その右後ろに男の人が立っていた。
鎧の色合いや面影が、どことなく女帝に似ているような気がしなくもない。
けれど、私が気になったのはもう一人の方。
その服は二人と違い、
服の感じと体格から、おそらく女性だと思うけれど、男の人にピタリと
「何やら悪い予感がする……
「分かりました」
私は答えてから、ネロと
二人には【
「そういえばお主、こやつの名を呼ばぬな。まだ名を与えておらんのか?」
「彼が私の家族であることを受け入れてくれたら、呼ぼうと思っています。名前自体は、もう考えてあるんですよ」
「よせ、さすがにこいつが
「マリアちゃん、人には向き不向きがあるって、もう分かるわね?」
「私達にお任せですよぉ」
……3人の考えは良く分かりました!
特にルレットさん、それはフォローしているようで『お前には任せられない』って言っているのと同じですよね?
確かに、これまでの実績がアレなのを認めるのは、
でも、今回はそういう訳にはいかない。
彼と、彼に
彼に合う名前は何がいいか、
そこで私は、今の彼に合う名前ではなく、私がこれからの彼に願うことを名前にしようと思った。
そんな時、ふとある有名な言葉を目にし、私は彼の名前を決めたのだ。
「もう少し胸の内に
「ふっ、ふんっ……勝手にしろっ!」
その割に、腕を組んだ指先が落ち着きなく動いていて、気にしているのが隠せていない。
あれだね、顔はそっけないのに
生きている狼を見たことが無いから、想像だけれど。
ゴクリ、と誰かが
いや、そんなに
というか何でそんなに心配するんですか、失礼ですよ!
叫びたくなる気持ちを必死に
「君の名前、それは……」
その時、
事実、王様や3人は『何だって?』と聴き返してきたけれど、私の
黒い
私が名前に込めた
その想いが、どうか彼と彼に宿るモノに、届きますように……。
王様と女帝が示し合わせたかのように両手を天に
それが合図となり、戦いの
数は1000対1000、そのうち500は国の兵で、もう半分が冒険者。
戦いは様子見など無く、いきなり始まった。
まず攻撃の早い弓矢や、溜めを必要としない遠距離攻撃の
それで時間を
その流れはイベントでも見たように思うのだけれど、
彼は
「そういえば、彼の眼はどうして
「それはですねぇ、
「拒絶された?」
「ワタシ達3人の
「何しろモノが
「そうですか……」
彼の
私がMebiusに来て、世界が色付いて見えたように……。
戦いは王様の予想通り、帝国有利で進んでいた。
特に兵の強さに差があって、カルディアの兵は
それでも王様が『例年より良く
でもそこまでの戦力差を分かっていて放っておくのは、さすがにどうなんだろう?
そして王様をして良く保っていると言わせるもう一つの理由が、あの人達の存在だった。
「進め! ここで我ら『幼聖教団』の、いや、
「「「おおおっ!!!」」」
グレアムさん、私の名前は轟かせなくていいですからね?
けれど私の願いに反し、
そのあまりの
ある程度の傷を
教団所属のあの戦士っぽい人、どうして
そしてグレアムさん、貴方は
そしてグレアムさんが最前線に出ることで、カルディアの冒険者の士気はいよいよ高まり、レギオスの冒険者は自陣奥へと押し込まれていった。
「進めっ! 我々は教祖様の聖なる
いえ、私にそんなスキルはありません。
これでそんなスキル持っているなんて間違った噂が広がったら、どうしてくれるのかな?
けれどその言葉に、残念ながらグレアムさんに率いられた人達の士気はかつて無い程に高まった。
その戦う姿は、まるで
あの人達に迫られたら、普通に怖いだろうなあ……。
私がそんなことを思っていると、視界の
見ればバルトさんが、たった一人で帝国の冒険者相手に罠をしかけ足止めしたり、後衛の集団にちょっかいをかけ
あの素早い動き、バルトさんは
相手を倒すようなことは
ただ、グレアムさん達の活躍やバルトさんの働きがあったとはいえ、帝国側の冒険者には
帝国には、おそらくたくさんの攻略組の人が所属していると思う。
対して、カルディアは生産メインの人が多い。
それなのに、果たしてこんな一方的な展開になるだろうか?
そんな私の
「予想よりもはるかに
王様がそう呟くのと、盤面を覆っていた光が消えるのは同時だった。
そして王様の言葉通り、冒険者の数はカルディアの方が多く残っていたけれど、兵の数は圧倒的にレギオスの方が多く残っていた。
戦争は、レギオスの勝利で幕を閉じたのだ。
戦いが終わり、それぞれの陣営に兵や冒険者が引き上げていく。
ここからは、ある意味私の戦いだね。
王様に
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