第83話 真里姉と隣国のレギオス
「レギオスとの戦争……」
王様に言われたことを理解するまで、だいぶ時間がかかったように思う。
歴史でも習ったし、過去にはテレビで『〜戦争』として、実際に起きたことだってある。
けれど、私が知り合った人の口から直接聞かされたその言葉は、想像を
あまりの重さに、私は心を安定させるのに
「そう、戦争だ。ただし、これは
「あっ、いえ……」
その後、気を
多分、このまま私に話をするのは危ないと思ったんだろうね。
正解です。
何を言われても、冷静に受け止めることなんて出来なかったと思う。
レイティアさんに呼ばれ何事かと
仮にも王様がいるんだよ?
特にカンナさん、いきなり王様に結婚アピールする程だったのに……最近は大きな子供だとばかり思っていたけれど、仲間って頼もしいね。
そう思い、私は心の中で3人に謝った。
そしてクランメンバー全員が
「なるほど。戦争という名の、一種の競技みたいな物なのね。決められた数の
王様の話した内容を整理し、最初に口にしたのはカンナさん。
「けれど、それだと
「その点は心配
「戦いの場?」
王様は断言するけれど、新たな謎の言葉の登場で、私の思考は周回遅れですよ?
それを察してくれたのか、より詳しい説明が続いた。
「隣国レギオスはカルディアの北に位置しており、その国境付近に”メメントモリ”という名で呼ばれる場所が存在する」
「”メメントモリ”っていうと、確かラテン語で『死を忘れるなかれ』って意味だったか」
私はラテン語だということすら知りませんでしたよ。
「ほお、良く知っておるな。その場所には
「なるほど、それで残った兵の数を数えて優劣を決めるって訳か」
「その通りだ。その場所につけられた名の意味を思えば、
苦笑しながら口にするのを私が不思議に思っていると、カンナさんが勢い込んで王様に話しかけた。
「つまり王様は、
助力については置いておくとして、そこはせめてワタシ達にして下さいね?
さっきまで私を心配してくれた頼もしさは、一体どこへ行ってしまったのだろう……。
「いや、帝国に勝つ必要はないのだ。勝てぬし、むしろ勝っては面倒なのだ」
「どういうことですかぁ?」
ええ、私も分からないので助かります。
「レギオスは実力主義を
「それだとぉ、なおさら負けられないのではありませんかぁ?」
確かに、負けてしまえばカルディアにとって損をすることになる。
するとマレウスさんが、はっとしたように顔を上げて
「ガス抜きか……レギオスの軍事力を
「マレウスといったか、お主なかなか鋭いの」
「なるほど、それで茶番か。
その問いに、王様の表情が苦しげに
「……レギオスから提案されたのだ。今後、冒険者も国の力となりうると。であれば、
王様がこっちを見た。
3人もこっちを見た。
えっ、私のことですか?
恐る恐る自分自身を指差すと、
「いやいや、私は英雄なんかじゃありませんよ!?」
「周囲はそう見ておらんということだ、
「そんなっ」
救いを求めて3人を見ると、揃って首を横に振られた。
その眼は王様と同じく、『諦めろ』と言っている。
「マリアちゃんがどう見られているのかは、この際どうでもいいとして」
「どうでもいい!?」
「マリアちゃんが指名された理由と、それに
私の反応は無視され、会話が進んでいく。
もう、私は
そんな風に思っていたら、さらなる爆弾が投下された。
「レギオスの
「なっ……」
本日三度目の
えっ、女帝ということは、レギオスで一番偉い人だよね?
そんな人が、どうして私と会いたがるかな……。
「そして応えなければならぬ理由だが、マリアが来なければ女帝自ら会いに行くと言っておるのだ。
「あからさまな
おっとりした口調だけれど、口の
今にも
「それで、王様はどうするつもりなんですか?」
いつに無く、真面目な様子でカンナさんが続けていた。
本来の
「そうさな……ここに来る前は、迷っておったよ。だがこうしてお主らと話し、迷いは晴れた。向こうが護衛を引き連れて来るというのだ。なら
そう言った王様の表情は、どこか
王様のその言葉を聞いて、カンナさんがニヤリと笑う。
「さすがワタシの王様ね! 上に立つ者としての覚悟、惚れ直してしまったわ。安心して
ちょっとカンナさん!
今クランの名前出しましたよね?
つまりクランメンバー全員ってことですよね!?
「最近全然レベル上げてなかったからな。久々に狩りでも行くか」
「腕がなりますねぇ」
マレウスさんとルレットさんは既に戦う気満々ですか、そうですか。
「話は聞かせて貰いました! クラン『
「どっから
ババーンッと扉が
思わず悲鳴じみた声を上げた私を、誰が責められるだろう。
「お主ら……
心からの言葉を
そして、その視線はじっと私の方にも向けられてきて……ああ、もうっ!!
「分かりましたっ! 行きますよっ!!」
こうして私達『ルナ・マ・リ・ア』と『
元々私は困っている王様を助けるつもりだったけれど、どうしてこんなに
私の
そう心に誓った私の肩を、誰かがそっと
振り向けばそこに、彼がいた。
(マリア:マリオネーターLv20)
カルマ(王都) 100,000 → 140,000
ってまたこんなにカルマが増えてる!?
私をどうしたいの、王様!!!
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