第283話

 僕と真莉愛マリアは帰り道、海岸沿いを歩いていた。

 

 わずかに頬を撫でていく潮風が心地好い。



 まだ深夜の海は暗くさざ波の音だけが響いてきた。




 遠くから救急車のサイレンの音が聞こえた。




 マリアは、1メートルほど高い堤防の上に昇り歩いていた。

 喪服のままなので、奇妙な感じだ。

 


 ピンクゴールドの髪が潮風に舞った。


 僕は下からハラハラしながら彼女を見守っていた。



「ねぇ、危ないよ…… 真莉愛マリア

 街路灯で照らされているが、昼間ほど明るくないので足元は良く見えない。 


 間違って足でも踏み外せば、向こうはテトラポットだ。

 こっち側に落ちてもアスファルトなので、打ち所が悪ければ重傷だろう。



「フフ…… 落ちたら抱き止めてェ……」

 まるで、女子中学生のように無邪気だ。

 ピョンピョン飛び跳ねている。



「もちろん…… でもあんまり無茶をしないでェ……」

 万が一にも真莉愛マリアに怪我はさせられない。



「ありがとう…… 優真のおかげだよ。

 あのとき背中を押してくれたから」


「別に……😅💦💦 決断したのは真莉愛さんだから~ーー……

 でも良かったですねぇ。

 佑真さんと出来てェ……」



「ええ…… そうね」夜空を見上げ微笑みを浮かべたが、あまり力がない。





∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る