第281話

 僕は土下座をして渡瀬家の方々に頼んだ。


 無力な僕に出来ることと言えば、このくらいだ。



「くゥ……」尚も母親らは上から目線で睨んだ。


 真莉愛マリアは大きく息を吸い込んだ。



「私は、法的には彼の……

 佑真の妻です。彼の遺産の半分は私が相続する権利があります」



「えェ……」妻……。

 すでに役所へ婚姻届けを出したのか。



「うゥ……」ジュリアも呻いた。

「あなたねぇ…… そんな勝手が通ると思ってェ……」

 義母は怒りの表情で睨んだ。


「ええ、ですが……😔💦💦💦 

 一切の遺産相続を放棄します。

 ですから……」

 マリアの声が震えていた。


「最後に…… 最後に彼とお別れをさせて下さい❗❗ お願いです❗❗」

 真莉愛マリアは涙ながらに訴えた。



「くゥ……」

 母親も忸怩じくじたる思いなのだろう。

 小さく『チィッ』と舌打ちをした。



「ふン……、行くわよ…… ジュリア」

「え、ママァ~……。でも……」

 ジュリアは納得できないようだ。



「5分だけあげるわ。マリア…… 

 勝手にしなさい」

 義母は、いっさいこっちを見ずに吐き捨てた。


「あ、ありがとうございます。

 お義母様……」


「これで本当に最後よ。もう二度と渡瀬家とは関わらないでェ……」



「ハイ……」

 マリアは義母らに深々と頭を下げた。



 





∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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