第275話 ジュリア

 僕らは、まさに息を詰めて葬儀場へ足を踏み入れた。


 ほのかに葬儀場内は、お香の匂いが漂っている。



 真莉愛かのじょは大胆な喪服に身を包んでいた。



 喪服なのに彼女が着こなすと、どこか妖艶でセクシーだ。



 白い柔肌に漆黒の喪服が似合っている。



 真莉愛マリアはピンクゴールドの髪の毛を隠すため、ベール付きのトークハットをかぶっていた。



 だが、一般人とは明らかに違うプロポーションだ。


 目を見張るほどの巨乳に関係者の男性たちの視線が釘付けだ。

 プリンプリンとした桃尻がなんとも魅惑的と言えよう。


 まるで外国のセレブ女優のような装いだ。


 嫌でも目立って仕方がない。




『ザワザワッ……』

 真莉愛マリアが場内へ入ると、一斉に関係者らがザワめいた。



「あ、見ろよ❗❗ 彼女は……」

「うむゥッ、佑真君の… 元フィアンセの」

「スゴいプロポーションだな……」

「なんだ。あの巨乳は…… オッパイを見せに来たのか❓」


「ストリッパーじゃあるまいしィ~……」

「ッたく…… セクシー女優かよ」 

「よく、ここへ来られたモノだなァ~…」


「誰か、ドブねずみが紛れ込んだぞ❗❗❗

 奥様に報せろ❗❗」

 各々おのおの、ヒソヒソと口汚くののしっていた。



 冷たい視線が真莉愛マリアと僕に注がれた。




 祭壇へと足を運ぶと、次々と関係者らが飛んできて僕たちの前をさえぎった。



「ちょっと、あなたたち、待ちたまえ!」

 屈強な守衛らしきモノも現れた。


「ン……」

 これ以上、祭壇へは容易に近づけない

「すみません……😔💦💦💦 少しで良いので通して下さい」

 僕は頭を下げ様子をうかがった。



 その時、関係者の中から声がした。

「あァ~ら、誰かと思えば……

 真莉愛マリアじゃないのォ~…❓」

 アイドルのような美少女だ。


 高校生くらいだろうか。

 ほとんどスッピンだが綺麗な子だ。



 どうやら、渡瀬佑真の妹さんのようだ。

 茶髪でショートカットが良く似合った。


「……😒✨✨✨」

 真莉愛マリアを睨みつけるような眼差まなざしをしている。

 憎しみの目だ。



「ジュリアさん、この度は、御愁傷様です」

 だが、大人の真莉愛マリアうやうやしく頭を下げて応えた。


 




∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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