第169話

 その時、着信音が響いた。


「えェ~……😲💦💦💦」

 一瞬、僕も身体が固まった。


 着信音のした方へ視線を向けた。

 僕のスマホではない。



「ン…、ゴメン……😔💦💦💦」

 どうやら由莉愛のスマホらしい。



 すぐに彼女は手を伸ばし、スマホの着信画面を確認した。


「ちィ……ッ」

 画面を見た途端、小さく舌打ちをし眉をひそめた。

 その様子では、かなり深刻な感じだ。



「あ、あのォ~…… もしかして……

 彼氏からですか」

 心配になって僕は彼女に訊いた。

 すでに時刻は十一時を回っている。



「ふゥ~ン……、言っただろう……😒💦💦💦

 二股掛けていた元彼氏もとカレだってェ……」

 あからさまに視線を逸らした。



「あ……、ああ……😓💦💦💦」

 そう言えば、さっき聞いたことがあったが……



「ゴメン…… ちょっと出掛けてくる」

 由莉愛は立ち上がった。


「え……、な、こんな時間にですか……」

 出掛けるにはかなり遅い。



「うン……」

 慌ただしく由莉愛は着替えを済ませ部屋を出ていった。




「ユ、由莉愛……」

 僕は心配で堪らない。



 二股を掛けていた元カレと言っても、まだ未練があるのだろうか。




 結局、その夜は由莉愛が帰ってくる事はなかった。







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