第52話

「ンゥ~、ふン……👄✨💕」徐々に真莉愛マリアの呼吸も荒くなっていた。

「はァ~はァ~ー……」

 僕も全身を使ってマッサージするので汗まみれだ。つい下半身もふれ合ってしまう。


 こすれ合うたびに、下に敷いたブルーシートがキュッキュッと音を立てた。


「ユーマ……👄✨ スゴく気持ち良ィ~よ」

 くすぐったいのか、真莉愛マリアは身体をくねらせた。


「うン……」次第に僕らは重なりあい、身も心もひとつになっていった。



 ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆



 遠くで子供たちのはしゃぐ歓声が聴こえた。


「ねぇ……👄✨」

 不意に、真莉愛マリアが僕の肩に頭を乗せ声を掛けた。

「ハ、ハイ……」

 すっかり疲れ切って、僕はブルーシートへ横になっていた。


「私が、小学校の五年生だった頃ねぇ……」

 彼女は、懐かしそう微笑んで昔話を始めた。

「ええ……」

「この海岸で……、男の子と出会ったの」

 

「ハイ…、美浦海岸ですか……」

「そ、ママは病気がちで入退院を繰り返していたわ」

「はァ~……」


「ママがまだ元気な時、一緒にお買い物に行ったの……」

「はァ~……」


「その時、真っ白でツバの大きな女優帽を買って貰ったの……」


「ええ……」きっと可愛らしい美少女だったに違いない。

 ナゼかその時の情景が目に浮かんだ。


 大きくて真っ白な帽子に白いワンピースを着た美少女が母親らしき女性と歩く姿だ。


「ママと二人で、この海岸を散歩してたら、急に強い突風が吹いて…… その白い帽子が海へ吹き飛んで行ったの」


「うン……」突風に舞う真っ白な帽子が見えるようだ。


「すぐに私は追いかけようとしたけど、ママは危ないからッて、制止した」

「うン……」


「帽子は、波間に飲み込まれそうになった瞬間……、ひとりの少年が海に飛び込んで間一髪、帽子を取ってきてくれたのよ」


「はァ~……」何でだろう。

 その話を良く知っている。


「その少年は、笑顔で真っ白な帽子を手渡して名前も言わず、どこかへ行ってしまった……」


「うン……」小さく頷いた。

「その少年の顔は覚えてないンだけど…… 肩に龍みたいなキズ痕があったのだけは記憶に有るの」


「え……、龍みたいな……❓❓」サッと肩のキズ痕を見た。

「そ、このユーマみたいに、ねェ……」

 真莉愛マリアは、僕の肩のキズ痕を撫でた。


「そ、そうか……❗❗」

 その時、やっと僕も思い出した。



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