第32話 『渡瀬佑磨』

 すぐさまネームプレートを確認すると、『渡瀬 佑磨』と書かれてあった。



「ン…、渡瀬 佑磨ユウマか……」

 ちなみに僕の『優真ユウマ』とは漢字の表記は違っているが、読み方は一緒の『ユウマ』だ。



 だから何かにつけて、真莉愛マリアは『……』と僕に言ったのだろうか。

 


 なかの様子をうかがおうとして、個室の前を右往左往していると不意に病室内から真莉愛マリアの声がした。



『ユーマ❗❗ 何してるのよ。

 それでも後を着けているつもり……』



「え……❓」ヤバい……


 どうやら真莉愛マリアには僕が尾行していたのはバレていたようだ。

 



「あ……、どうも」

 なんともが悪い。

 照れ臭くなって頭をポリポリと掻いた。



「どうぞ…… いらっしゃい。

 中へ入って彼を紹介するわ」

 彼女から手招てまねきされた。



「ハ…、ハイ……」彼か…… 

 いったい、どんな人なのだろう?



 おもむろに個室へ入ると、既に真莉愛マリアはベッドの横に腰かけていた。



 ベッドには一人の青年が鼻からチューブを付けられ眠っていた。


 顔が蒼白あおしろく端正な顔をしたイケメンだ。


 年齢は僕より幾分、歳上に思えた。




「……😓💦💦」おそらく、この青年がネームプレイトに書かれていた『渡瀬 佑磨ユウマ』なのだろう。



「……」

 僕は、ただ真莉愛マリアと彼を見つめたたずんだ。






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