第15話 あの子との出会い

 ぼくは前日にさなちゃんのメールにて午前八時半にぼくの家に来るようにと連絡を入れた。



 人との出会いには必ずしも別れと言うものがあるが――必ず別れが来るとは限らない。



 翌日、

 目覚まし時計が鳴る。

 ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッととても五月蝿い音が鳴る。そして、止める。

 目覚まし時計。目覚まし時計とは目を覚ます為だけに作られた機械作られた物。それは色んな方法で起床させる方法がある。それは、まず、音。音は一般的に使われている機能。他に、振動、光、香り、エアーマット。正直に音以外の目覚まし時計を聞いたことが無いし、見たことも無い。知らない間に見ているのかも知れないが記憶にないのでノーカウント。本当にあると言うのか定かと言う問題だ。

 そして、ぼくたち目覚まし時計に嫌悪感を感じる人は少なからずいるであろう。ゆっくりと朝は寝ていたいと言うにも関わらず、目覚まし時計はぼくたちの気持ち、つまり嫌悪感を感じずにぼくたちを無理矢理に起こしてしまう。毎日に、呆れている人たちもいるであろう。だけれど、この件については目覚まし時計は何も悪く無い。毎日、毎日、嫌悪感を抱くのは自分、我々がいけないことなのだろう。だから、ぼくは目覚まし時計に感謝をする。「――ありがとう」とね。

 ぼくは思考を切り替え洗面台へ行き洗顔をし、歯を磨く。そして、入浴をして、服へと着替えた。

 ピンポーンと音が鳴る。

「うん?さなちゃんか」

 時計を見ると八時半ジャストだった。時間ピッタシに来るさなちゃん。凄い。

 ぼくは玄関へ向かい扉を開ける。

「どうも、おはよう。さなちゃん」

「どうもです!おはようございます!隊長!」

 ビシッと敬礼をするさなちゃん。中々に可愛い。

「うん」

 さなちゃんの左手に持っていた物にぼくは気づき、見る。

「ね。さなちゃん。左手に持っている物は何かな?」とぼくは左手に持っていた物を指す。

「うん?うんうん。隊長の為に朝ごはんを作ってきたのですっ!」

 まあ、朝食は摂ってないから大丈夫か。さなちゃんって本当気が効くよな。将来良いお嫁さんになれそうだ。と独りでうんうんと頷くぼく。

「ありがとう。さあ、上がって」

 無地ブラウスに丸ネックフレアレディースファッションを着ていた。正直に言ってこの名前がまず正解なのかも分からない。だけれども、多分合っているだろう。

 なんか、益々大人びているよな、さなちゃんって、凄いよ。今の流行について行けるなんて、素晴らしい。

「うんっ!」

 ぼくとさなちゃんはリビングへ向かい互いに向かい合い着席をする。

 さなちゃんは先ほどからニヤニヤとしている。笑窪を作り。ぼくの方をずっと見る。凝視する。――ふん。一体何なんだ。

「……あの、さなちゃん。ずっと見られてたら食べにくかったり」

「あっ!ごめんね。見蕩れてしまい」

「あ、そう」

 ぼくはさなちゃんの作ってきてくれた朝食を口にする。それはそれは口の中が蕩けるような感じだった。美味い!旨すぎるぞ!何て表現すれば良いのか分からないが美味すぎる。次の食べ物に手を付け咀嚼する。本当に旨すぎるなあ。先ほどからさなちゃんがぼくの方をじぃーっと見てくる

…………………………なんだ。

「ご馳走様でした」

「お粗末さまですっ!」

「何かな?」

「いーやっ!!」

 ニコニコしながら首を横に振る。

「…………………………………………………………あの、さなちゃん?」

「うん?何かなっ?」

「さっきからなんで笑顔なのかなと思って…………」

「いやーー、そのーー、女の子のお世話するの初めてだからさー」

 …………??

「男の子のお世話はしたことあるの?」

「あるよー」と足をパタパタさせながら言う。

「……ふうん。と言うと…………?」

「弟だよ」

 ……ふうん。初めてだ。初耳。決してさなちゃん家の家庭に興味があるってわけでは無いけれども、何となく思った。

「ふうん。そう」

「やっぱー、年下の子を育てるって言うかー、小さい子といると何か良いよねー」とニコニコと笑うさなちゃん。

「うーん。分からなくも無いけれども。まあ、良いものだよね。桃源郷だね」

「そうっ!天国だねっ!」と両手を広げて言う。

「うん」と頷く。

「そう言えばさー、翠くんってお隣さんといつから関わっていたの?……いや、そう言うわけでは無いけれども、なんとなく気になってしまって……その、あの、単純にどう言う風なのかなーって思って……」

「うん……?前も言ったのだけれども、助けられたんだよ。ぼくが行き倒れている時に、それに、お隣と言う関係もあったからね」

 ぼくは基本的に億劫屋なので細かいところまでは説明するつもりは無い。

「まあ、そんな感じ」

「ふうーん」

「よしっ、もう行こうか」とぼくは時計を見る。と席を立とうとしたら。

「……えっでも……」とさなちゃんがぼくの袖をギュッと持つ。

「……でも、時間だから、またさなちゃんの方に余裕がある時ぼくの家に来れば良いさ。歓迎するよ。さなちゃんが来てくれたら嬉しいからさ」

「――えっ。……ありがとう」

 さなちゃんの頬が少し赤くなりニコッと微笑んだ。

「行こうか」

「うんっ!行こっ!行こっ!」と言い一緒に家を出て楓さん家へ向かう。向かうと言っても隣りなのだけれども。

 ぼくたちは楓さんの家の目の前に立つ。そして、息を吸って吐いて。インターホンを押す。ピンポーンと音が鳴る。そして、ガチャリと扉が開く。出てきたのは楓さんだった。

「どうも、おはようございます。楓さん」

「よう。おはよう……そちらのお嬢ちゃんは?」

 楓さんはさなちゃんの方をじぃーっと見る。

「えーとですね……」と頭を搔く。

「――まあ、いいさ。キミの友人なら歓迎さ。あいつも喜ぶだろうしな。そして、お嬢ちゃん。お嬢ちゃんの名前はなんと言うんだい?俺は鹿奈楓だ。楓と呼んでいいぞ」

「――あ、え、と…………佐々、倉、さなです」とさなちゃんはぼくの背後に隠れる。

「…………」

「…………」

「……そんなに怯えなくてもいいのになあ……」と頭を搔く楓さん。「おーい。兄さん。何やってんだ」と風華さんが出てきた。

「どうも、おはようございます。風華さん」

 風華さんはぼくの顔を見て驚く。そして、頭を搔く。

「もう、そんな時間か。時間ってものは早いものだよな。なんと言うのか。時間のスピードは一定と言うのだけれども一定では無いと、つい最近判明されたらしい。……えっと誰だっけな、忘れた。まあ、そんなことはどうでもよく、本当時間ってものはあっという間に進むよな。知らない間に気づかない間に、あー怖い怖い。何なんだろうな勝手に時間が進み出されていると嫌な感じがするよな。なんか、裏切られた気分でさ。信用してるのにも関わらず勝手に裏切ってよー。本当に困ったものだよなー。こっちとしては裏切る気分は一ミリ単位とも無いのに永遠と信用仕切ってるのに、友情というものがあるのにも関わらず、時間ってものは勝手に破綻させてよう。なんか不倫と言うやつにあったと言うやつ?綻びの欠片も無いんだよなー。あいつ。ちぇっー。まあ、時間はずっと私たちの味方をしてくれるから裏切られてもまあいいか。時間はいつも、私たちの傍にいる。何をしても離れて行くことは一切無い。……本当、時間ってやつは自由気ままなモノだよ。……はあ」と深くため息を吐く。

 長々と喋る。風華さん。饒舌にも程がある。……まあ、それが風華さんの良いところだからな。

「……………………………………」

「まあ!取り敢えずだ。時間は有限ってこった!無駄をせずに生きれよ。若人諸君」とぼくたち……、さなちゃんの肩をポンポンと叩く。とようやくさなちゃんに気づいた風華さん。

「――ん?キミ誰だ」

 風華さんはさなちゃんの方を見る。

「ぼくの友達です。佐々昏さなって言います」とぼくは先手を打って言う。

「――あぁー。そう言えば言ってたわ。そうだったわよね。兄さん?」

 風華さんは手のひらを顔にやり首を横に振る。

 まるで忘れていた自分に呆れている感じだった。

「――あぁ。そうだったな。忘れていた。まあ、今ので憶えた。ちゃんと憶えておくさ」

「――そうです。前回、ぼくを助けてくれた一人の彼女です。優しい友人。命の恩人です」

「ちょっ。翠くん言い過ぎだよっ!」とさなちゃんは頬を膨らませぼくの袖を引っ張り言う。

「――うん?――まあ、実際事実のものだからさ」

「……まあ」

 頭を掻きながら照れて目がキョロキョロと動いていた。

「へえ、キミが佐々昏のお嬢ちゃんか。さっきも言ったように彼からは聞いてたんでね。だけれども、こうして正面に向かって話すのは初めてだろう。改めてよろしく」と手を差し出す風華さん。それに伴うさなちゃん「よろしくお願いします」共に握手をする二人の女性。

「で、話を戻すのだけれども、少年を助けてくれたこと、そればどうもありがとうございます。是非ともお礼がしたいのだけれども……」

 礼儀良く頭を下げる風華さん。さっきまでの表情とは違くて正直びっくりした。……それに、何故さなちゃんに礼儀正しくお礼をしたのだろうか。決して、相手がさなちゃんだからと言うわけでは無いであろう。……だったら何故?

「――いやっ!助けるのは普通ですっ!」

 慌てて自分の顔の前で手を左右に振る。

「普通か。だけれども、お礼はしたいね……」

「――あの、すみません。風華さん。何故そこまで畏まっているんですか?」とぼくはさなちゃんと風華さんとの会話を無理矢理遮った。

「うん?」とこちらを向く風華さん。

「――あぁ、そうか。知らないんか。アノ人から頼まれているのだよ。キミの健康を第一にして把握しておくように、とね」

「…………………………………………」

 アノ人……多分……、些江さんだろう。

 ぼくはどこまであの人に心配されているのだろう。

 畜生。決して嫌みと言う訳ではなく、恩が一切返せなくての畜生と言う意味だ。なんか、ぼく、色んなところで、色んな理由で借りがあるような、いつかは返したいな。

「……そうですか」

「そう」と言ってぼくから目を離しさなちゃんの方をへ向く。

「そう。だからお嬢ちゃんにお礼をしたいのだがね。何を希望かね?」

「……、……」

「――あの、風華さん。さなちゃん相当に困っているので辞めてもらえるとありがたいですけれど……、今、じゃなくても構わないとぼくは思うのですけ……」

「あのっ!だったら翠くんと一緒にいる時にお願いしますっ!」

 ……ぼくは黙り込む。風華さんと楓さんもだった。

「…………、……」

「……、……――……」

「…………」

「あ、あぁ、分かったよ。じゃあ、キミとお嬢ちゃんが一緒にいるときにお礼をさせて貰うよ」

 ニコニコとハニカム用に微笑んだ。

「はい」と頷く。さなちゃん。

「じゃあ」と両手をパチンと鳴らす楓さん。

「そろそろ入って貰おうか」

「「はい」」

「あれ?楓さん。雫ちゃんはどこにいるんですか?」

「――うん?雫ちゃん?誰のこと?翠くん」

「あぁ、その、今日お世話をする子の名前が雫ちゃんって言うんだよ」

「あぁー」と口をポカーンと開きながらうんうんと頷く。

「雫ならまだ寝ているぞ。あいつ、キミが来るってことが楽しみで夜遅くまではしゃいでたらしいんだ。まあ、風華から聞いたんだけれどな。俺は俺のやるべきことがあったからな」

 ふうん。……だから、さっき大きなな欠伸をして出てきたのか。なら納得できる。普段からあんな表情は見せないからさっきから頭の隅で疑問となっていいた。

「分かりました。なら、起きるまで待ちましょう。無理矢理起こすのは可哀想ですし」

「うーん。まあ、それはキミ達に任せるよ。今日の主役はキミ達だからね。まるで夫婦だな」と言うとさなちゃんの顔が真っ赤に染まる。

「――辞めてくださいよ。ご冗談を」とぼくは止める。

「ふん。そうか?俺はお似合いだと思うのだがね」

「…………」

「そちらのお嬢ちゃんは相当頭の中でパニクっていると思うのだがね」

「………………」

「本当に良い娘だな」

「ですよね」と嘆息をする。

「じゃあ、失礼します」と言い楓さんの家に入る。

 ぼくの家とさぞ変わりのない風景。本当に綺麗だ。

 それに続きさなちゃんも「失礼します」と言い家に入る。

「あ、そうだ。雫の昼ごはんなんだけれども、それはキミ達に任せるよ。特に少年の場合は料理が得意と聞いているのでね」

 一体誰から聞いたんだ……

「あ、はい。分かりました」

「飲み物は何がいいかな?」

「何でも良いですよ」

「私も何でも……」

「うーん。オレンジジュースで良いか」

 楓さんは冷蔵庫の中を見て眉を潜める。

「「はい」」

 ぼくたちは適当に席へ座り、その隣にさなちゃんが座る。

「そう言えば今日何されるんですか?……そのお仕事の方を」

 楓さんは両手にオレンジジュースを持ちぼくたちの方へ歩いてくる。

「うん?今日はね。俺の因縁の場所に行くんだよ。風華かとな。因縁と言ってもそこまでの因は無いんだがね。色々と上の人達に呼ばれてね」

 ……因縁ね。

「そうですか。それは一体、何時にお仕事は終わるのでしょうか?」

「あぁ、今のところは二十時三十分と聞いている。あの人たちの時間配分は正確では無いから。ちょっと困ったものなんだよ。だから、二十一時とキミに言ったんだよ。まあ、遅れが分かった時には連絡するよ。まあ、遅れるであろうな」

 少し困った感じに言う楓さん。

 あの学校か。上の人たちとはそう関わっていないからどう言う人なのか全くもって分からない。

 上の人たちと言ったら校長以上の地位クラスタだろう。職員たちには一切絶対目の届かないように聞こえないようにしているらしい。と言うことは、やはり、楓さんも風華さんもその地位クラスタの人員なのだろう。

 …………これの関わりに関して言えばさなちゃんに悪いことしたな。

「そうですか。分かりました」

「イエス……おっ、雫が起きたようだな。俺はもう行くさ。キミの事はちゃんとに伝えておくよ」

 楓さんは二階の方を見てもう一度ぼくたちの方を見る。

 あの女性ね……。とため息を吐く。

「分かりました」

「あの、翠くん。あの女性ってもしかして……?」

 さなちゃんもようやく気づいたようだ。

 これは答えを言ったほうが良いのだろうか。

 それに、楓さんと一里塚先生が関わっていたなんてな。

「……あの、楓さん。あの女性ってもしかして……」

「あぁ、一里塚のことだよ。あいつが真っ当に教師を勤めていることに驚きだよ」と肩を竦める。

「でしょうね」

「一里塚とは一応関わりがあるんでね」

「………………」

「――おはよう……楓お兄ちゃん。お腹空いたよ……」

 左手で目を擦りながら、そして右手で階段を下ってくる。

「雫。おはよう。来たぞ」

 目を擦るのを辞めぼくの方を見る。そして、両の目をクリクリとして突進してくる。……可愛い。

「おっ!おはようー。お兄ちゃんー」

「ぐはっ」と強く押された。だけれどもそんなに痛くも無い。

「お、おはよう。雫ちゃん」

「うんっ!」と満面な笑顔で頷く雫ちゃん。

「……うん?この人だぁれ?」

 さなちゃんの方へ指を指す。

「ぼくの友達だよ」

「……ふうん」と目を細めぼくの後ろへと行く。

「よ、よろしくね。雫ちゃんっ!」と先程の雫ちゃんの満面な笑顔に続きさなちゃんも満面な笑顔で対抗する。

「よ、よろしくお願いします。お姉ちゃん」

 さなちゃんは一人でピョンピョンとジャンプしていた。それほど、『お姉ちゃん』と言う言葉にやられたのだろう。

「じゃあ、よろしくな」

「はい。分かりました」

 楓さんと風華さんは家を出て学校の方向へ向かって歩いて行った。

 そして、今の時間は、九時十二分。

「じゃあ、雫ちゃん。顔を洗いに行こっか」

 ぼくは雫ちゃんの背丈まで膝を曲げ両肩に手を置く。

「うんっ!」と言いスタタッと走っていた。

「翠くんって本当に子供に優しいよねー」とさなちゃんは言う。

「うん?」

「だってさー、前回の時も子供が泣いていた時一緒に探してくれてたよね。私一人じゃ無理だったよ。本当、色々と翠くんには惹かれちゃうよ」

 ニコニコするさなちゃん。

「あぁ、あの時はさなちゃんがいたからできたことだよ。ぼく一人じゃできなかったことだよ。あの時は本当に助かったよ。ありがとう」

「翠くん……」

「多分ね。あのことが無かったら、こうしてさなちゃんとも出会わなかったと思うな。あんな、因果な人生に…………こんな良いことが、こんな面白いことに巡り会えるなんて、微塵も思わなかったな――ふん」

「未来なんて誰にも分からないからねー」

「――そうだね。分からない方が最高だね。何にしたって――解答が出た時は、なんて言うのか……最高なんだけれども、終わった気がするかな」

「うーん」と少し唸るように言うさなちゃん。「まあ、そうだね。分からなくもないけれども……」困ったように言うさなちゃん。

「終わったよー。お兄ちゃんっ!」とまた、ぼくに突進する雫ちゃん。

「ぐはっ!」と倒れるぼく。

「だ、大丈夫?翠くん」

 心配そうに肩に手をやるさなちゃん。

「あぁ、大丈夫。いつものことだから」

「い、いつも…………」と怪訝そうに言うさなちゃん。

「お兄ちゃんっ!遊ぼっーー!!」

 雫ちゃんはぼくの胸辺りに頭をグリグリとする。そして、「えへへっ」とニコッと笑う。

 うん。可愛い。

「うん。そうだね。と、待ちたまえ、自分。まず、時間配分をしないと、だね」

「うん?」と雫ちゃんは首を傾げる。

「雫ちゃん。ちょっと待ってて、さなちゃんと遊んでてくれるかな?」

「うんっ!」と元気よく頷く。

「さなちゃん。悪いけれども雫ちゃんと遊んでてくれるかい?」

「うん!分かったよ!私、頑張る!」

「さな姉ちゃーん。遊ぼっ!」

「うんっ!遊ぼ。遊ぼ」と言い彼女らは奥の方へと走って行きぼくの視界から居なくなった。まるで、姉妹だな。ぼくだったら、兄妹なるのか、な。

「――はん」

 よし、やるか。

 時間配分を。

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