第6話 恥(始)
キミのことがすき!!
だいすき!!
だーいすきっ!
人間には生き残れるリミットがある。ただ、それがいつまでかは分からない。
それと同じでぼくは待つのは嫌いではないが嫌いだ。
それは未来が分かって待つのは嫌いではないが、未来が分かってない状態で待つのは嫌いだ。
だけれど、人生はそう甘くないものだ。
だから、あえて言おう。死ね。
何も無い一日を迎えることが誰よりも嫌いだ。
ぼくは何をしてるんだろうな。
本当に、
全く、
彼女に振り回されて、
期待しているのか、
いや、
そうじゃない、
だったら……、
なにをして、
あの時のようにぼくはなりたくないし、ならない。
甘えるな。
ぼくはインターホンの音で起こされた。時間は六時前だ。多分、佐々昏さんだろうと思いつつ、ぼくは目をこすりながら玄関を開けた。
「やあ、佐々昏さん」
「ごめんね」
しおらしく、ちょっと舌を出し謝ってきた。
「いや、良いですよ。この時間帯には起きてますから気にしないでください」
ぼくは嘘をついた。本当は一時間ぐらい寝ている。
「おはよう、翠くん。その……家の中を見たくて早く来てしまって、その朝食を済ませてないと思い、おにぎり作ってきたんだけど、食べる?」
「朝食は済ませてないので、有り難く頂きます」
ぼくは佐々昏さんをリビングの方へ誘導し席へと座る。
そして、弁当箱を開けた。
そう、真っ白いおにぎりが三個。焼き海苔に包まれているおにぎりが二個。おにぎりは綺麗に整っており、ぼくよりも上手くバランス良く三角形だった。見事な物だと思い。一瞬、佐々昏さんの方を見る。
「うん?食べないの?それとも、もう朝食済ましちゃった?」
佐々昏さんは不安そうな顔をして言う。
「……いや、そう言う訳ではありません。なんと言うのか、もったいないなと思っただけです」
「……うん?」
何故ここで佐々昏さんは首を傾げたのだろうか。それはぼくには分からなかった。もう一度佐々昏さん見る。やはり、疑問を抱いている表情だった。
「……いただきます」
ぼくはおにぎりを口にした。何だろう……美味しい。
佐々昏さんがぼくの横顔を見てニヤニヤしていた。あまりにも嫌な趣味だなと思ってしまった。だけれど、ぼくは気にせず自然におにぎりを取っては食べを繰り返していた。
一つ、二つと手を伸ばし、咀嚼していく。そして、最後の一つも食べ終わる。
「佐々昏さん。ありがとうございます。美味しかったです」
ぼくは佐々昏さんの方へ顔を向けたらゴッツんこしてしまい、佐々昏さんの額が少し赤くなっていた。
「あ、えーと大丈夫ですか?」
ぼくは慌てて佐々昏さんの前髪を上げてじっと見ていた。腫れても無かった。ただ、やけに赤くなっていたので少し手の甲で触ったらやっぱり熱かった。あとで、氷袋を渡すことにしよう。
あとは、大丈夫だろうと思い額から距離を置こうとした時、佐々昏さんの顔が真っ赤に染まっていて、目がキョロキョロしていた。
「あっ、ごめんなさい。ぼくの不注意で……」
「あ、いえ。その、私の方もごめんなさい……」
「わ、私探索してくるっ」と手で顔を少し隠しながら二階へと向かった。
「……あ、仕方ないよな。ぼくが悪いんだし。変なことしたかな……」
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