第10話・暴走を止めるのじゃ

 前回の話では黄金に光る生物の正体とされていたのはなんと……ピコルのお父さんでした。そして、ゴールデンピコールが戦った相手はピコルのおじいちゃんでした。さてこのことはゴールデンピコールは知っているのでしょうか。


 ユウリとピヨキチが一生懸命作ったご飯を食べ終わりました。

「ごちそうさま! 美味しかった!」

「美味しかったです! ありがとうございました!」

ユウノスケとピコルは大満足です。

「あら二人ともいつも以上に笑顔ね」

「美味しかったなら良かったピヨ、皿洗いはよろしくピヨーー」

ユウリとピヨキチもご飯を作ったかいがあったようです。そして次の日の夜……


 「わがなはゴールデンピコール、おお帰ってきたのか。どうじゃったかね黄金に光る生物に勝てたのか?」

絶対勝ててないような顔つきで映像に出てきたゴールデンピコール、さてユウノスケとピコルはどのような返答をするのでしょうか。


 「とても強かった! てか黄金に光る生物はピコルの父さんだったよ!」

とユウノスケが言うと、

「そうなんですよ! お父さんだったことゴールデンピコール様は知っていましたか?」

とピコルが聞くと、

「知っておったぞ、わしはピコルのおじいちゃんと戦ったからのお」

「なんで言ってくれなかったんですか?」

ピコルは少し頭を横にして聞いてみると、

「それはな、ピコルの父ちゃんゴールデンメンは、わしの前の取締役から指令を受けておる。そしてピコルの父ちゃんから昔こう言われてたんじゃ、俺と会うまではピコルが心配するからこのことは言わないでくださいとな、隠していてすまなかった」


 「そうだったんですね。でももう僕大人になったので! しかしかっこよかったなお父さん」

ピコルは目を輝かせながらそう言いました。

「そうじゃろーー、これがピコル家の定めなのかもしれんの、いずれはピコルもそのようになってみたいと思わんか?」

とゴールデンピコールが聞くと、

「なってみたいです! みんなにもお父さんのように僕に勝ったら黄金に光る素材を渡してみたいです!」

ピコルはガッツポーズをしながらそう言いました。


 「ピコルちゃんならきっと大丈夫よ!」

「応援してるピヨ!」

ユウリとピヨキチは笑顔で応援してくれているようです。

「よしピコル! まずはゴールデンメンに勝つために俺たちも強くなろう!」

「うん!」

今以上に気合いが入っているユウノスケとピコル、これからの指令に期待です。


 「よし次の指令じゃ、何やらある惑星で生物が暴れておるらしい、その生物を確認してその暴走を止めてくるのじゃ」

「分かりました!」

そしてユウノスケとピコルはタンスの裏の扉の前に行きました。

「頑張るのよ!」

「頑張ってピヨ!」

ユウリとピヨキチは見送ってくれました。


 「あれ? ピヨキチは一緒に行かないの?」

とユウノスケが聞いてみると、

「僕はユウリさんとご飯作るのを頑張るピヨ! 僕あんまり戦うの嫌なのピヨーー」

「あらピヨちゃんは私と一緒にいてくれるのね、嬉しいわーー」

ピヨキチは戦うことが嫌いなようで、指令には行かないみたいです。


 「そっか、なら美味しい晩御飯作って待っててね!」

そしてユウノスケとピコルはタンスの裏の扉に入り次の指令『暴走を止めるのじゃ』に挑戦しました。

その惑星に入ると見渡す限りの草原が広がり、空気が透き通るような感じでした。


 「わーー! 何か背伸びしたくなってきた」

ピコルは清々しい気持ちになったみたいで、背伸びをしました。

「本当にこんな所に暴走している生物とかいるのかなあ」

ユウノスケは見る限り何もない景色を見て疑い始めました。するとそこに……


 「オラオラーー、そこで何やってんだよ! もしかして俺と戦う気か? そうかかかってこい!」

勝手にいちゃもんをつけてきたのは、まるでタヌキのような生物でした。

「何でかってに勝負になってるの? まあいいか、ピコルいいよね?」

「望む所です! 頑張ろうユウノスケ君!」

そして勝負をすることになったユウノスケとピコル、さて勝つことはできるのでしょうか。するといきなり……


 「ポンポンポンポン!」

そのタヌキのような生物がお腹を叩き始めると、すさまじい衝撃波がユウノスケとピコルに襲い始めました。

「うわあなんだこれ! 吹き飛ばされるーー!」

ユウノスケとピコルはそのタヌキのような生物の衝撃波でその場に立っているのが精一杯です。


 「もっと行くぞ! ポンポンポンポン!」

ようしゃなく攻撃してくるタヌキのような生物、これにはユウノスケとピコルも困っているようで、その場で作戦をねりました。

「ユウノスケ君どうする? このままじゃあ何もできないよ!」

「よし! 仲間に助けてもらおう!」

ユウノスケはベルトのピピカルのボタンを押しました。すると……シューシューシューと音がなってベルトの中からピピカルが出てきました。


 「あら久しぶりね、呼んでくれてありがと! 今回はどんな要件なの?」

とピピカルが聞くと、

「久しぶりだね! 今回はその目の前のタヌキのような生物と戦っているんだ。なんとかしてくれないかな?」

とユウノスケが言うと、


 「何こそこそ言ってるんだよ、また行くぞーーポンポンポンポン!」

またタヌキのような生物がお腹を叩き始めました。するとピピカルが、

「おすわり!」

いつものようにピピカルの必殺技が炸裂です。

「ごめんなさい……悪気はなかったんです。許してください」

とタヌキのような生物は謝ってきて、勝敗はピピカルの勝ちです。

「やっぱりピピカルちゃんは最強だね! いつもありがとうね」

ピコルはまたピピカルに会えて嬉しいようです。


 「こんなことならいつでも呼んでね、ていうかそこのタヌキ! 何で私たちに攻撃してくるの?」

とピピカルが聞くと、

「ごめんなさい、実は僕のお腹を叩いたら衝撃波が出るのを知って、それから面白くていろんな生物に勝負を挑んでたんだ。悪気はなかったんだけどね」

しょんぼりして話すタヌキのような生物、これに対してピコルは、


 「ダメですよ、見ず知らずの相手にいきなりそんな衝撃波で攻撃したら……」

ピコルは少し説教じみた言い方をしました。

「本当にごめんさい」

タヌキのような生物の目からは少し涙が溢れ出しました。

「真剣に反省しているならいいじゃん、何か君のような素直な性格気に入った! 俺たちの仲間に入らない?」

ユウノスケがタヌキのような生物を誘うと……


 「いいんですか?」

タヌキのような生物は涙をふきとりながらこちらを見ています。

「全然いいよ! これからよろしくね」

ピコルとピピカルもそれには納得しました。

「ありがとうございます!」

タヌキのような生物はお辞儀をしながら、ユウノスケたちの仲間になったことをとても喜んでいます。

そして、ユウノスケがベルトの仲間にしますかボタンを押すと、シューシューシュータヌキのような生物がベルトの中に入っていきました。するとそれと同時に、


 「僕の名前はポンポンマル、よろしくね!」

とお決まりのセリフを言いながら入っていきました。

するとどこからともなくこれが聞こえてきました。『指令クリア』


 「今日は特別可愛いよピピカルさん、また会える日が待ち遠しいです」

ピコルはたそがれた顔つきで言うと、

「私もよ、ピコルに会えて嬉しい。それじゃあまた呼んでね」

そしてピピカルはベルトの中に入っていきました。

にやついているピコルを見てユウノスケが思うことは、

「もう慣れた」

と思っているようでした。


 その後ユウリの待つ家に帰ってきました。

「あらお帰りなさい、早かったわねーー」

「お帰りピヨ! でもまだ晩御飯できてないピヨ」

今回の指令は非常に早く終わったために、晩御飯がまだできていません。

「ユウノスケ、ピコルちゃんと一緒にお風呂にでも入ってきなさい」

「はーーい」

ユウノスケとピコルはお風呂に入りながらこんな会話をし始めました。


 「ポンポンマルってお腹を叩くと衝撃波が出るってすごくない?」

とユウノスケが話すと、

「うん! みんなそれぞれ違う技があってみんな違ってみんないい!」

ピコルは頭を上下に振りながら答えました。

「そうだね、個性ってやつかな」

ユウノスケも頭を上下に降り始めました。そんな会話をしながらも晩御飯ができたみたいで、お風呂から上がり台所の机に座りました。


 「わーー! すごい!」

ユウノスケとピコルはその日の晩御飯を見て感動しています。

「これが、高級ステーキ肉」

「これが僕が作った肉じゃがピヨ!」

ユウリとピヨキチはドヤ顔をしながら晩御飯を指差しています。


 「すごいよ二人とも! ありがとう!」

ユウノスケは作ってくれた晩御飯に感謝しています。

「ありがとうございます! いただきます!」

ピコルも晩御飯を作ってくれた二人に感謝をして、その日は大満足そうにベッドに入り眠りにつきました。


その頃別の惑星では……

「よいしょよいしょ!」

何やら地面を潜れる生物がいるようです。


次回に続く。

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