第3話・独り占めの原因
前回の冒険のことを晩御飯を食べてながら熱く語ったユウノスケとピコル、母ユウリはとても楽しそうに話を聞いているようです。
「どんな冒険だったのかしら?」
「何か、ピピカルっていう宇宙人と仲良くなってさ、しかもとても強いんだ! ねピコル」
「そうなんですよ! ピピカルさんとはまた会いたいです!」
「あらそう、たくさん仲間ができているようね、それもユウノスケとピコルちゃんが頑張ったからだよ。今日も冒険で疲れたと思うからゆっくり休んでね」
そして、晩御飯を食べ終わったユウノスケとピコルは二階に上がり、布団の中に入りました。
「ねえピコル……」
「何?」
「本当はピピカルちゃんのこと気になってるんじゃないの?」
「えっと……そんなことないよ! 何でそんなこと言えるのさ」
「他の宇宙人には、『宇宙人をフィギュアにしますか』ボタン使わなかったじゃん、何でピピカルちゃんにだけ言ったの?」
「それは……ピピカルさんの『おすわり』が強いからだよ!」
「またそんなこと言ってから、まっ今日のとこは寝よーっと」
「いきなりビックリすること言うなーーユウノスケ君は、お休み」
ピコルの本当の気持ちはピピカルのことが少し気になっているようで、また会える日を楽しみにしてます。そんな夜中にユウノスケがピコルの寝言で起きたようです。
「ピピカルさんうれぴいです」
さっそくピコルはピピカルが夢に出てきているようでとても心地よく寝ているようです。
「プッ」
手を口元に当てて笑ったユウノスケは、その後朝までゆっくりと寝ました。そして次の日の夜……
映像を映し出したピコルその先にはいつもの、
「わがなはゴールデンピコール、黄金惑星の取締役だ」
「知ってるから早く次の日の指令出してよ」
とユウノスケは早く指令がしたいようです。
「その前に! そう言えばゴールデンピコール様はピピカルさんのこと知ってるんですね」
「おおっピピカルは元気じゃったか、あの惑星の高層ビルに買い物に行った時、ワシの友人の娘が迷子になったから探しに行ったんじゃよ」
「やはりそうでしたか、ピピカルさんをフィギュアにしたのでいつでも呼べすよ。呼びますか?」
「ただ、ピコルが会いたいだけなんじゃないの?」
ユウノスケは、ピコルの気持ちが分かるようです。
「それもあるかもだけど、ゴールデンピコール様も久しぶりに会いたいんじゃないですか?」
「そうじゃなあ、なら呼んでくれるかな?」
それを聞いたピコルは、
「ユウノスケ君、ピピカルさんの名前でベルトの下の『宇宙人に助けてもらいますか』ボタンを押してみて」
そう言われたユウノスケはベルトの下のボタンを見てみると……
「こっこんな所にボタンが!」
「……」
「ピコル何か言ってよなーー、それじゃあピピカルのボタン押すね」
そしてボタンを押すと、シューシューシューピピカルが出てきました。
「やっほーー、さっそく呼んでくれたね。ってゴールデンピコール様いるじゃん!」
「おおこれはこれは、ピピカルじゃないか。久しぶりじゃのう元気にしとったか?」
「私は相変わらず元気ですよ。ちなみに父は以前よりも元気だと思います」
「そーかそーか、それならわしは安心じゃ、ピピカルの顔が見れて嬉しかったぞよ、元気でなーー」
そう言って、ピピカルとゴールデンピコールはその場から消えたのだった。とっさにまた映し出すピコル。
「ゴールデンピコール様ーー、指令のこと忘れていませんか」
「すまないすまない、ピピカルに会えたことで満足しとったわい」
「もうしっかりしてくださいよーー、しかしピピカルさんは可愛いかったな」
「ピコル顔がにやけてるぞ」
ユウノスケはピコルを細い目で見ているようです。
「次の指令はこれだ、『独り占めの原因』だ。この独り占めしている宇宙人は誰なのか調べてくるのじゃ」
「分かった、行こうぜピコル!」
「頑張ろうねユウノスケ君!」
そして、タンスの裏の扉を開けて次の指令『独り占めの原因』に挑戦したのだった。
その後、扉が消えて惑星に到着した瞬間……鳥のような大きな生物がいきなり襲ってきました。
「ユウノスケ君! 『家帰りのボタン』を押すんだ!」
「分かった!」
早くも家に帰ってきた二人は、さっそくゴールデンピコールにいちゃもんをつけるため映像を映し出したのだった。
「何かいきなり襲われたんだけど!」
「ゴールデンピコールさま、聞いてないですよーー」
「そうか、油断大敵ってことじゃな。自分たちで考えてなんとかするのじゃ」
と言い姿を消しました。
「ピコル、どうする? あんなでかい鳥……」
ユウノスケはかなり大きな鳥の生物に驚き、震えています。
「そうだなあ、ならニャンタロウに助けてもらおうか、きっとすばしっこくて捕まえられないと思うから、相手が疲れるはずだよ!」
「よしのった!」
また二人は指令『独り占めの原因』に向かったのだった。
キーーキー、するどいかぎ爪で襲ってくる大きな鳥、それに対してユウノスケは、
「かぎ爪ならこっちも、あいつで……」
と言おうと思った瞬間、
「ニャンタロウを出すんだユウノスケ君!」
とドラブラゴを出すのをためらい、ニャンタロウを出現させました。
「ニャーーニャーー」
走り回るニャンタロウ、それには大きな鳥のような生物も捕まえられません。すると……見事にピコルの予想が的中し、相手は疲れているようです。
「ユウノスケ君今だ! これを使うんだ!」
「またいつものやつね」
ユウノスケはまた剣のフィギュアを渡されました。
「それはね、『雷ゴウ舞』剣をふると雷を落とせるよ!」
「えっ最強じゃん!」
それを聞いたユウノスケは雷ゴウ舞を相手に向かってふると……ドーーン!大きな音と雷鳴により、相手が倒れました。
「雷ゴウ舞つえーー! てか始めてスムーズに敵を倒せれたんじゃい?」
「そうだね、作戦をねったかいがあったね」
「ニャーーアーーン」
とその場からニャンタロウは消えて、お決まりの儀式をやるようです。
ユウノスケが『フィギュアにしますか』のボタンを押すと……シューシューシューと大きな鳥のような生物を吸い込みはじめました。
「俺の名前は、バードよろしくな」
と言いベルトの中に入っていきました。
「何か、仲間にしたやつの名前もおもしろくなかったし、スムーズにいきすぎて逆に怖いな」
「そうだね、でも何か嫌な気がするのは僕だけかな……」
そして二人は歩き出したのだった。
その惑星の周囲を見てみると、何やら木がお菓子で作られているようです。
「ねえピコル、この木何か甘い匂いがするんだけど!」
「ほんとだ! 食べてみよーっと」
そう言ったピコルがお菓子で作られている木を食べてみると……
「おいしい! ユウノスケ君、これ全部お菓子で作れているみたい」
「えっ! なら食べてみよっと、本当だ! おいしい!」
二人はそのお菓子で作られた木を食べて、大満足のようでたらふく食べて歩き出しました。
「しかしお菓子の木は美味しかったなー。でもこんな所に誰か住んでいるのかなーー」
「お菓子で作られているんだから、きっと誰かいるよ、歩いて探してみよ」
そう何キロか歩いてみると……そこにはお菓子で作られている街がありました。
「おお! お菓子で作られているじゃんこの街! この壁食べれるんじゃい?」
「誰かが作っているんだから、怒られるよユウノスケ君……」
とユウノスケがお菓子で作られている壁を食べようとした瞬間。
「何者だ!」
その街の住人が声をかけてきたようです。
「えっと……僕は地球から来た、ユウノスケと言います」
「僕の名前はピコルと言います。ビックリさせちゃってごめんなさい」
「そうか、俺の名前は『スイツ』よろしくな、その壁はここの宇宙人たちが毎日汗水たらして造った壁なんだ」
とその住人が言うとユウノスケは、
「ごめんさい、お菓子で造られていた壁だから食べようとしてた」
「まあな、始めて見ると食べたくなるもんな、なら街に入ってごちそうするよ」
その宇宙人は心が広いようで、中に入ってごちそうしてくれると言うのです。その言葉に感激し二人は街に入って行きました。
「ねえユウノスケ君、この家もお菓子で作られているみたいだね」
「わお、本当だ美味そう」
ユウノスケは、お菓子を食べることしか頭にないようです。
そして数歩あるいていると、
「ここが俺の家だ、これを食べながらゆっくりしていけ」
と言われさまざまなお菓子を出されました。
「わーー、いただきます!」
ユウノスケとピコルはその出されたお菓子を食べながら、指令の内容を伝えたのだった。
「独り占めしてるやつか……そんなやついるのかなこの街に、みんなお菓子がたくさんあって分け与えているからそんなことはないと思うがな」
とスイツが言うと……
「確かに聞いたんです。この街にきっといるんですよ独り占めしている宇宙人」
ピコルはもうひと押し聞いてみると……
「そうか、昔聞いた噂話なんだが、このお菓子の街に特別なアメがあると、でもそんなアメなんか見たことないんだ」
なんと特別なアメがあるとのことです。
「きっとそのアメにヒントがありそうだな、よしピコルもう少しこの街を探索してみよう!」
「分かったよ!」
「ごちそうさまでしたーー」
二人はお菓子をくれたスイツにお礼を言い、スイツの家を後にした。
「わーー、スイツ仲間にすればよかったな。いつでも呼んでお菓子くれそうなのに」
「実はね、宇宙人は五人しか仲間にできないんだ。だからよく考えて仲間にした方がいいよ」
「えーーそうなの?」
それを聞いてよく考えて仲間にするように決めたユウノスケであった。
そして少し歩いていると、そこにはお菓子で作られた大きな屋敷が見えてきました。
「わーーなんだここ、とても大きいな」
とユウノスケが言うと、
「ちょっと屋敷の前に立っている宇宙人に聞いてみようか、すみません」
「なんだね君たちは」
そう言われ二人は屋敷の門番に事情を説明した。
「そうだったのか、なんかこの屋敷のぼっちゃまがいつも美味しそうにアメを食べているんですよ」
「それ!」
ピンときた二人は、門番に頼んでみた。
「そのぼっちゃまに会うことはできますか?」
「おねがいします」
と言うと、屋敷の中から男の子の宇宙人が出てきました。
「ねえねえ、何してるの?」
中から出てきたのは、特別なアメを食べているぼっちゃまでした。
「あらこんにちは、君の名前は何て言うのですか?」
とピコルが聞くと、
「僕の名前は、『ぼぼちゃま』です。よろしくお願いします」
礼儀が正しいぼぼちゃま、こんな宇宙人が本当にアメを独り占めするのでしょうか。
「ぼぼちゃま、いいんですか。見ず知らずのお二方に名前を教えても」
「いいんだよ、ちゃんと自己紹介してるじゃん。てか一緒に遊ぼうよーー」
ぼぼちゃまは、誰かと遊ぶのが何より好きみたいで、一緒に遊ぶことになりました。
「ぼぼちゃま、捕まえたーー」
「えーーん、お兄ちゃん走るの速いよーー」
「ピコルとぼぼちゃま、どれだけ体力あるの……はあはあ」
ユウノスケは息を切らしたようで、庭の端で休むことにしました。そして数時間後……
「お兄ちゃんこれあげる!」
と渡されたのは虹色に輝くアメでした。
「本当にいいの? これ大事なアメじゃないの?」
ぼぼちゃまが独り占めしているとうすうす聞いていたので、本当に貰っていいのか確認したピコルだった。
「全然いいよーー。これ食べると体力が回復するんだ。食べてみて?」
と言われたのでピコルはアメを食べてみると……みるみる体力が回復し、おにごっこをまたし始めたのであった。
そしてまた数分後に……
「このアメ凄いね! ありがとうぼぼちゃま」
「いいよ、遊んでくれたお礼だよ」
ピコルはアメをくれたお礼を言って、寝ているユウノスケを起こしました。
「カーカーカー」
「ユウノスケ君! そろそろ帰るよ」
「うんと……えっ俺寝てたみたい」
「あれ、クリアが聞こえて……こないね」
「ピコル、クリアしたのかい?」
「ぼぼちゃまからアメを貰って食べてみると体力が回復したんだ、なのに」
「指令の内容は、『独り占めの原因』だろ、だから違うじゃん」
「そうだったねーー」
とそこに一人の宇宙人がやってきました。
「お兄ちゃんたち何してるの?」
そこにはぼぼちゃまによく似た宇宙人の姿がありました。
「君は誰なんだい?」
とユウノスケが聞くと、
「僕はぼぼちゃまの兄で、『ぼぼっちゃま』です。あっぼぼちゃまそのアメは俺のだぞ! 何かってに食べてるんだよ」
「これお兄ちゃんと分けて食べてって言われたからいいじゃん」
「ダメだ、返せ」
「もう食べちゃったし、ごめんない」
「もう怒った、俺とバトルしろ」
「無理だよ、お兄ちゃんになんか勝てないよーー」
とケンカじゃなく宇宙人バトルになりそうです。しかし、弟のぼぼちゃまは兄には勝てないというのです。それに対しピコルは、
「まあまあケンカしないで、半分こしたんだからこれでいいんじゃないの?」
とピコルは、ぼぼちゃまのかたをもつようです。
「はあ? なら、俺とバトルしろ」
と言われたのでピコルは、
「いいですよ、でも勝ったらぼぼちゃまのこと許してくれますか?」
「おう、全然いいよそれじゃあ始めようか」
なんと、ピコルとぼぼっちゃまのバトルが決定しました。
「でもどんなバトルするんだい?」
そうピコルが聞くと、
「じゃんけんで勝負だ!」
「望むところです!」
この時ユウノスケは手を頭の裏で組み、庭の片隅で勝負を見守っていました。
「じゃーんけんぽん! あいこでしょ!」
そしてしばらくあいこが続いた結果……ピコルが勝ちました。
「やったーー! 僕の勝ちだからぼぼちゃまのこと認めてあげてよね」
「くそーー、負けてしまった。分かったよすまなかった弟よ」
意外と兄のぼぼっちゃまは素直であっさりと負けを認めたようです。
するとユウノスケの方から音が聞こえてきました。
キュイン! ユウノスケの頭を見てみると、レベルが3に上がっていました。
「ピコルじゃんけんナイス!」
「何か勝負っておもしろいな。だから、俺冒険してみたい!」
負けたのに勝負がおもしいというぼぼっちゃま、それに対しピコルは、
「なら僕たちの仲間に入る?」
「本当にいいのかい? じゃあこれからよろしくね」
あっさりとぼぼっちゃまを仲間に入れようとしているピコル、ユウノスケはいいよと言うのだろうか。
「ボタン押すよーー」
ユウノスケは庭の隅で眠気を我慢しながら待っていたようで、あっさりと仲間にすることを決めていました。
「ユウノスケ君、本当にいいの? よく考えて仲間にするっていってたじゃん」
「いいんだよもう俺眠いし、それと、ピコルが言ったことなら信じようと思ってさ」
ユウノスケはピコルと出会って共に過ごしたことで、信頼関係が深くなったようです。
ポチっと『宇宙人をフィギュアにしますか』ボタンを押すと、シューシューシューぼぼっちゃまがベルトの中に吸い込まれていきました。
「俺の名前はぼぼっちゃま、これからの冒険を楽しもう、よろしくね」
「お兄ちゃん頑張ってね」
ぼぼちゃまは兄が仲間に入ったということで応援しているようです。
『指令クリア』この言葉がどこからか聞こえてきました。
「ぼぼちゃまありがとな、ピコルがお世話になりました」
「なんか、別れるのが寂しいな……」
ピコルは、ぼぼちゃまと離れるのが少し寂しいようです。
「僕もだよ、また遊びに来てね。これあげるね」
とぼぼちゃまから、一つの虹色に輝くアメをピコルが受け取りました。
「ぼぼちゃまありがとう。これで体力回復できるよ」
宇宙人は体力ゲージがないとのことでいざという時、このアメを食べて回復できるという技を習得したピコルでした。
「またねーーバイバイ」
ユウノスケとピコルは手をふると、ぼぼちゃまも手をふりながら送ってくれました。その後、母ユウリの待つ家に帰ってきました。
「あらお帰りなさい、今回の冒険はどうだったの?」
ユウリがそう聞くと、晩御飯を食べながらユウノスケとピコルは熱く語ったのだった。
その頃別の惑星では……
「はい今日は特売日ーー、安いよ安いよーー」
「もっと安くしてくれないかな」
何やら値切りをしている宇宙人がいるようです。
次回に続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます